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内閣府との意見交換会~20mSv強制帰還~(その3)

1月6日に内閣府と20mSv帰還について意見交換を実施した。
事前の提出していた質問に内閣府が回答した後
質疑応答・意見交換会を実施した。
長文なので後半部分を2回にわたり掲載。

その2は以下ご覧ください。

http://nimosaku.blog.so-net.ne.jp/2016-02-25
からの続き

前半部分(その1)は以下ご覧ください。
http://nimosaku.blog.so-net.ne.jp/2016-02-01


質問(長谷川):
静岡から来ました。私は原発事故のあつた年の8月に福島県郡山市から家族4人で避難をしていました。
富士宮市で自主避難という形で生活をしています長谷川といいます。
政府の方とお話する時に感情論も持ち出しても、とは思うが先程の福島の佐藤さんの話の中で6番の所に回答して下さった時に、二つほど心に残ったところがある。
一つは、作業者に関する法律であるので、この考え方に基づかないという立場をとる、というところでお話だったと思うのですが、私も小さな会社を経営していて常に組織にたって考える時と、一人の国民になって考える時がある。
会社に行けば、当然、組織論の中で物を考える所に立つので、一人一人の我儘に付き合う訳にはいかない事もある。
ただ子どもが10歳、3歳で居まして子どもが居る時、居ない時の価値観が非常に変わった。
自主避難をした理由は当時も福島に居た時にこの法律1mSvか20mSvかという所で、論議があり、私は1mSvの方で、ものをつめて考えた上で、出ようと思い自主避難をした。
                                 
何故かというと、一人の人間として捉えた時に、やはり原発作業員の方々に課せられた法律があると。
そこで決められた基準値があると。
でもそれは原発作業員に対する法律だから、残念ながら法律上はあなた達の考え方に該当しないと。
理論的には理解する。ただ、自分の子どもをみた時、原発作業員がこの法律で縛られているのに自分の子どもが、それ以上の数値の中で生活をするというのは、親としてこれはリスクを非常に背負うという考え方に立ちます。

100mSvの中に健康被害が隠されていると、わからないといわれています。
明らかにされていないだけであって、将来的にこれが本当に明らかにされるのかどうか分からないが、その時に「いや、実は色々科学的に調べたらリスクはあったけれど30年前は分からなかったんですよ」では、自分の子どもは守れないと思って避難をする。
親としての、人としての気持ちで今の20mSv、1mSvを考えた時に1mSvを基準にしなければ動けない親御さんの気持ちも十分理解した上での行政を行って欲しい。

もう一つ。法律が争点になる。
再度聞きます。何ら違法ではないという言葉がありました。(はい。)
この法律に対して、こう見解をするから、何ら違法でないと考えるのかを再度説明をして欲しい。
それを聞いた上で、それを飲み込めれば納得するし、理解できない話であれば法的に争う手段をとらなければはならないとも思うので。
                               
回答:
原子炉等規制法全体の話から説明させていただきたい。法律の中で放射線管理区域という区域を定めています。
その放射線管理区域の中で働く事業者の線量管理だとか、あとは区域外に放射性物質とか出て、外にいる人達が被ばくしないようにという考え方の下で、管理区域が設定されている部分については事業者に対して、しっかり放射性物質の管理をしなさいと。
そういう意味で規制を課すものです。この法律はそういう全体の主旨に則って規制を課すもの。
ここで働く事業者については1年間で最高50mSv、5年間で合計100mSvという線量限度があります。
これは労働者への規制。
管理区域の外については、1mSvを下回るように管理を行うように事業者に対して規制を課していると。
そういう類いの法律。

したがって、事故が起きた時に、原子力災害対策本部がどう対応をとるのかは、その原子炉等規制法の中に書かれているわけではない。
この法律はICRP勧告に基づいて元々は定められた法律。そのICRP勧告の哲学は先程述べた通り。
計画被ばく状況、平時における被ばくをコントロールする規制と、緊急時被ばく状況と、緊急時が通常に戻ってゆくまでの回復過程(現存被ばく状況)において課される、措置というのはまた別に考えなくてはならないと。
平時における規制をそのまま緊急時、その後の状況に適用するのはいけませんよと、
という哲学の下、ICRP勧告は出されている。
原子力災害対策本部を縛る法律は、原子力災害特別措置法。
原子力災害対策本部はこの法律に基づいて設置がされている。この法律に全ての根拠がある。
                                
原子力災害対策本部は総理を本部長とする組織。
この本部長の権限の下にかなり強い権限を行使して、原子力災害の対応にあたる事が出来る法律。
その法律の中で避難指示、避難指示解除を含む原子力災害対策本部としての行動については必要に応じて、原子力安全委員会であるとか、その後継組織である原子力規制委員会の提言、助言を受けながら原子力災害対策本部において決定しなさいと書かれている。
避難指示については、原子力安全委員会の提言を踏まえ、20mSvという基準を設けて避難指示をだした。
避難指示解除も同じ20mSvを下回る事が必須の要件であるとの原子力安全委員会の提言を踏まえ、これを含む避難指示解除の要件を原子力災害対策本部決定した。

避難指示出す時については20mSvという基準で原子力災害対策本部として決定を行って避難指示を出しましたし、解除についても、20mSvを含む解除の要件を原子力災害対策本部として決定した。
いずれも原子力災害対策特別措置法に基づく行為であり、法的に何ら問題はない。
避難指示の解除の要件、原子力安全委員会の提言の中でこれは平成23年の8月に出された。
平成25年11月の原子力規制委員会の提言においても、20mSvを解除の要件にすることは妥当であると。
そのように評価を貰っている。
内閣官房のワーキンググループという検討会の中で、国内の専門家の方々の議論を経て
20mSvというのは今後より一層の線量低減を目指すに当たってのスタートラインとしては適切であるとの評価がなされた。
これらを踏まえて原子力災害対策本部として空間線量率で推定された年間積算線量が20mSv以下になることが確実ですという事を一つの要件として、それ以外の要件も含めて避難指示解除の要件を決定した。

質問(鈴木):
オリンピックの話が出ている。
なんで原子力災害の話を2020年を見据えなくてはならないのか。
帰還を強制するものではないと。あくまで住民が判断するので、戻りたい人の為にと。
であれば帰る人も、自分は帰らないという人も、同じだけの支援は受けられる事でいいですか。
強制するものでなければ、この両者は平等に扱われるはずです。その認識で良いのか。

回答:
解除にあたっては、例えば賠償の問題とか、そういったところは、期限があるもの。
避難指示が解除されて相当期間を過ぎたら賠償については期限を迎えるという事です。
政府として実施して放射線リスクコミュニケーションにかかる支援だとか、
帰ってからの放射線に対する不安等、相談、傾聴であるとかそういった住民一人一人の不安に対応していくような親身な取り組みは引き続き予算措置も含めてさせて頂く。
また帰還を選択した住民だけではなく、避難を続ける不安に思う方々への対応もやっていく。
金銭的な面で避難指示が解除されて賠償等が期限を迎える所もあるが、総合的な取り組みとして住民が帰還をする、しないに関わらず支援させて頂く。

質問(鈴木):
そこに差は付かないのか。

回答:
基本的には。

質問(鈴木):
戻る人であっても一定期間を過ぎれば当然賠償は終わるし、戻らないで自主避難扱いされる県内に生活拠点を置いたとしてもどこかで賠償は終わるので、そこに差はつかないという事か。

回答:
賠償という仕組みについては平等。  
            
質問(鈴木):なぜオリンピックが原子力災害と関連するのか?

回答:
国内外の注目が福島を含め被災地域に向くというところが事実であるので。そうした機会を活用して、復興している部分はしっかりアピールすることも重要なのでないかという問題意識。

質問(田口):
それが分からない。復興をアピールすることが分からない。逆にこういう悲惨な状況ですと世界の人に見せたらいい。復興する事をなぜ見せなきゃいけないんだ。復興の定義はなんですか。(時間がなく返答求めず。「人間なき復興!」を推進する政府)

質問:(辺見):
先程7Pの説明があった。平成29年3月までに避難指示を解除し住民の方々の帰還を可能にしていけるようにという事が書いてあって、このことが帰還を強制するものではないというが政府の方針が打ち出されたという事、仮設住宅が借り上げ住宅支援が終わるという事は、避難者は強制と感じていることを分かって欲しい。

回答:
帰還をしたいという風に心から願っている住民の方々、帰還が出来ないと考えている方々、どちらもいらっしゃる事はわかっている。
特に後者の方々。すごくプレッシャーを受けて無理に帰還しなければならないのだと思わないように、我々としてもしっかり一人一人の声を聞いてしっかり支援させて頂きます。
                                
質問:(辺見):
米沢市も避難者へ住宅提供。使わない公営住宅などを対応している。
そういう支援が続いていけば避難者は十分とまではいかないが自分たちの自由が保障されている、選ぶ権利が保障されている。と思えるのではないか。
賠償の問題ではなく、衣食住の住むところをまず保障して欲しい。避難者の切実な声。
実際に山形県の避難者の会では、一番に住むところがどうなるのかが不安だと。
住宅の支援を継続して頂きたいという声は、届いていると思う。
公平に権利が保障されるのであれば、強くおねがいしたい。
行政から福島に帰還する場合は公営住宅が建てられる、こういう措置がありますなど聞くが、避難を続けている方達に対する行政の措置はあるかというと、29年3月で終わりと。
選択は決まってしまう。戻るか、自腹切って留まるか、移住するかとなってしまう。
私達は、そこが強制と感じる。

質問(田口):
帰るか帰らないか。これを決めるのは政府ではない。本来、個人個人で決めるべき話。
子どもたちには被ばくに対しては慎重にあるべき。決めるのは政府ではない。個人である。ということは、政府は、正しい情報を出すことがやるべき事。それをやらずに「帰っていいよ」と「帰りなさいよ」という言い方は、帰りたくない人からみれば強制である。政府が決めたのなら政府の偉い人は20mSvの所に、小さな子どもや、孫と1年住んで見て欲しい。それから帰還を決めたらいいじゃないですか。
霞ヶ関の人達は被ばくしていないんだから。ずっと住んでいる人の身になって欲しい。
帰りたい人が帰るのは良いと思いますが、帰還したくない人の気持ちになって欲しい。
政府と福島県の関係は、どうなっているのか?(時間なく回答もとめず)

質問:(辺見):
放射線被ばくが空間線量の話しだけ。Svとかだけでは無く、Bqに関しても考えて頂きたい。
特に子どもは地面から近い。子ども達に自然体験も非常に大切な時期。
子ども達に土を触ったり、虫に触ったり花をいじったり、土壌汚染とものすごくかかわっている。そのことに対して政府が触れていない。福島県も。非常に問題である。

回答:
Bqを軽視している訳ではない。モニタリングは政府もやっている。公開もしている。
他方で、住民の被ばくの状況を把握する際に、何が適切かといえば、我々は空間線量でもなく、個人線量だと思っている。住民一人一人、例えばお子さんがどこに遊びに行くのか、どこの学校に行くのか、そういった状況に応じて被ばく線量が違ってくる。
個人線量計を持ってもらい被ばく線量がどの程度かと測りながら、もし線量の高い所に行っても今の線量計は分かりますので。そのような状況をみながら下げてゆく必要があると思っています。
県内避難者、県外避難者に関わらず福島県の被災自治体の皆様については個人線量計による測定結果を含めて丁寧に説明させて頂きたいと考えている。これは、国の支援で活用出来ます。個人線量をしっかり測りながら、様々なご不安も含めて丁寧に対応したい。
                                
質問:(辺見):
子ども達が自然の中に出かけていない状況で被ばく線量を図っても無意味。実際、山の中にいつも子供たちが遊んでいるとか、遊んでいて被ばく線量がどうなのか。全く分かっていない。そのリスク。子ども達が本当に自然の中で遊べるのか、通学路のどこが安全か。分かっていない状況で、ガラスバッチが有効かどうかは疑問です。

質問(田口):
山で駆けずり回れば土埃がたつ。土埃を吸う。そういう不安を持つ人が多く居る。
単なる空間線量だけで、またガラスバッチ(の線量値)だけで決めることも問題がある。
ガラスバッチにも不備がある。小生のブログに記載した内容は読んでご存じの事と思うが・・

回答:
科学的な議論をする必要がある。

質問(田口):
それだけで安心とはならない状況。不安を持つ人はたくさんいる。強制ではなく、決めるのは、正しい情報があっての事。偏った専門家の意見だけではなく、色々な人の意見を聞いて決めるならいいが、一方的な原子力村の人達、御用学者が決めて、その専門家の意見を聞いたと、コミットしてもらいましたという政府のやり方は問題である。幅のある決め方をして欲しい。

お渡しした資料の最後。(読み上げ)
『そもそも国の原発の責任は国と東電に責任があるのだから、ありとあらゆる選択肢を用意して帰還したい人はどうぞ、という話だと思う。
だけどここに住みたくない、心配だから出たい、という人の事も優先すべきだと思う。
それをしないで線量が下がったから戻っていいぞと、心配するなと。色々考えすぎだと。
安全かどうか国が、東電が決める話ではない。「俺が決めるんだと。理屈が合う、合わないではない。」』

これが7割位の福島県民の気持ちではないか。内閣府として原発を推進した訳ではないから関係ないと言うでしょうが、だけど我々からみれば内閣府も、原子力規制庁も経済産業省も国である。そこを考えて欲しい。


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