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東電の責任を追及す

原発事故が発生し今年の3月で10年となる。何一つ東電は責任を果してしない。当時の東電の中堅社員が朝日新聞の取材で東電の杜撰な管理を語っている。東電は今だにふくしま県民にその責任を果していない。
全国各地で数多くの裁判が起こされていて、ほとんどの裁判の一審では東電や国の責任を断罪しているが、いまだに東電と国はそれを認めようとはせず、控訴している。ふくしま県民の心はは10年経っても晴れない。満足は補償もされないままだ。


以下は朝日新聞デジタル記事を転載(記憶と記録の為に)

「原発事故、起こるべくして起きた」東電元エースの告白
:朝日新聞デジタル / https://digital.asahi.com/art.../ASNDS2HMPNC5ULFA036.html...

かつて東京電力の中堅社員として幹部候補の一人と目されていた50代の男性が、東電福島第一原発事故から10年近くを経て、初めて取材に応じた。男性は待ち合わせの都内のホテルの喫茶店にスーツ姿で現れ、落ち着いた口調で語りはじめた。

未曽有の原発事故から3月で10年になります。東電の関係者への取材などをもとに、当時の状況を振り返り、事故処理を担う東電の現状や抱える問題を6回シリーズで考えます。ただ、勝俣恒久・元会長ら取材に応じてもらえなかった関係者もいました。「今思えば、あの事故は起こるべくして起きた。すべて過去とつながっていて、東電はそこに向けてずっと進んでいたんです」

男性はバブル期に入社してから、ほぼ一貫して企画部に在籍していた。企画部は経営計画づくりや国との交渉などを担う東電の司令塔。そこで順調に出世街道を歩んでいた男性の人生もまた、あの日を境に大きく変わってしまった。

2011年3月11日午後2時46分。大きな揺れを受け、福島第一原発では、運転中だった1~3号機の原子炉が緊急停止した。男性は当時、東京・内幸町にある本店9階でいつも通り仕事をしていた。大きな揺れを感じ、すぐにテレビをつけて震源地が三陸沖であることを知る。しばらくすると、原発が無事に停止したとの報告が入った。「これで大きな影響はないだろう」。しかし、本当の危機がやってきたのは地震発生から約50分後だった。原発敷地内に最大15・5メートルの高さの津波が押し寄せ、配電盤や非常用発電機が水没。1~3号機は全交流電源を喪失した。

その後、男性が次々と目の当たりにした光景は、東電の中枢にあって全く想定していない事態だった。翌12日午後に1号機の原子炉建屋が水素爆発し、14日午前に3号機、15日午前に4号機の原子炉建屋が相次いで吹き飛んだ。1~3号機がメルトダウン(炉心溶融)する未曽有の原発事故となった。

3カ月後、政府などの調査とは別に、東電は自らも「福島原子力事故調査委員会」を立ち上げ、事故の究明に乗り出した。計画停電の対応などに忙殺されていた男性は、上司から調査報告書をとりまとめるよう命じられた。しかし、調査は事故の経過や現場で起きていた事実の積み上げに多くの時間が割かれ、肝心の事故原因の分析になかなか進まない。男性が報告書の原案で事故原因に触れようとすると、会長の勝俣恒久ら経営陣からは厳しい言葉が飛んできた。

「事実に立脚していないことは書く必要はない」
「なんでお前が勝手に決めるんだ」
男性は「事故は天災で防ぎようがなかったというシナリオを求めている」と感じたという。なぜ、事故を防げなかったのか。事故以来、日々の仕事に追われつつ、ずっと自問自答してきた男性には、経営陣の態度は納得できないものだった。

「02年に発覚した原発のトラブル隠しがすべての始まりだったんです」。男性が東電の報告書の原案に書こうとしたのは、そんな過去の不祥事から福島事故へと至る原因分析だった。02年、福島原発や柏崎刈羽原発(新潟県)で、自主点検の記録をごまかし、トラブルを隠していたことが発覚した。相談役などとして会社に残っていた4人の歴代社長らが総退陣に追い込まれ、新たに社長に就いたのが勝俣だった。

企画部出身の勝俣は、閉鎖的な原子力部門に対し、企画部の統制を強めていったという。原子力部門に人を送り込み、膨大な規定やマニュアル類を整備。原発施設で起きた機器の故障やトラブルはすべて報告を求められ、現場は報告のための書類づくりに忙殺されていったと、男性はいう。

「細かい不具合をゼロにすることばかりに集中し、大きな視点で安全を考える余裕がなくなっていました。不具合がゼロであれば、大きいリスクなんてあるはずがないと。それで、津波という最も肝心なリスクに向き合えなかった。不具合を何件減らしたということの方が重要になっていったんです」

専門家集団で、社内での独立性の高さから「関東軍」とも呼ばれていた原子力部門に根付いた「安全神話」も大きな原因と思われた。04年ごろ、男性が全社の危機管理を担う部署の担当だったときのことだ。想定しうる最も重大で影響度の高いリスクを各部門から聞き出すのが任務だったが、原子力部門はいくら催促しても小さなリスクしか出してこなかった。

あるとき、男性は原子力の担当者に問いかけた。「何らかの原因で原発が事故を起こし、放射能を外部に放射するようなリスクシナリオはあるのではないですか」旧ソ連のチェルノブイリや米スリーマイル島の原発事故を念頭においた質問だった。返ってきた答えは「そういうリスクはありません」。男性が納得できずに重ねて尋ねると、担当者はこう言い切ったという。「そういうリスクは全部排除されていますのであり得ません。安全はすでに確立されています」

男性は「あの時もっと頑張ってリスクを引き出せていれば、原発事故は防げていたかもしれない」と悔やむ。
その後も07年に東電を含む電力各社で原発の検査データの改ざんなどが相次いで発覚。東電は同年7月に新潟県中越沖地震で被災した柏崎刈羽原発での対応も後手に回り、批判された。何度もリスク管理を抜本的に改めるべき契機があったが、そうはならなかった。むしろ、いったん全基停止した原発が順次動きだし、企画部が主導したコスト削減もあって、10年3月期に3年ぶりに純損益が黒字化すると、東電内には02年から相次ぐ原発トラブルをようやく乗り切ったという安堵(あんど)感が広がったという。

東電は、ここで反転攻勢に出る。20年に向けた経営方針を打ち出した。10年9月に公表された「東京電力グループ中長期成長宣言 2020ビジョン」では、「頼りになる原子力」をうたい、既存プラントの安定した高稼働運転▽既存プラントの安全かつ長期間の運転▽計画どおり新増設を推進――を目標とした。そこには、後に立ち消えとなった福島第一原発7、8号機の増設も含まれていた。

そのころ、地球温暖化に対応するため、原発を推進する「原子力ルネサンス」が国内外でもてはやされ、旧民主党政権の成長戦略として政府が原発輸出に力を注いでいた時期でもあった。東電が福島第一原発で事故を起こすのは、ビジョン公表からわずか半年後のことだった。

後に明らかになることだが、事故の前から東電社内では最大15・7メートルの津波被害がありうるとの報告がなされていた。事故から10年近くを経たいま、東電の旧経営陣3人が業務上過失致死傷罪で強制起訴された刑事裁判(一審は無罪判決)では、最大想定の津波を予測して対策をとるべきだったかを巡って争いが続いている。

一方で、東電はいま柏崎刈羽原発の再稼働をめざし、政府もそれを後押ししている。そうしたなか、数年前に東電を退社した男性が、あえて今回取材に応じたのは、再び同じ過ちを犯してほしくないという思いからだという。

「安全重視の文化が本当に東電に浸透したのだろうか。事故を教訓にして本当に変わったと言えるのか、私は分からないんですよ」=敬称略、肩書は当時

     ◇      

未曽有の原発事故から3月で10年になる。東電の関係者への取材などをもとに、当時の状況を振り返り、事故処理を担う東電の現状や抱える問題を考える。ただ、勝俣恒久・元会長ら取材に応じてもらえなかった関係者もいた。(大津智義、グラフィック・小倉誼之)」

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