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国連科学委員会への公開質問(1)

『将来にわたり被ばくを直接原因とするがんなので健康影響が増加する可能性は低い』として日本語のプレスリリースを発表し、日本のメデイアや国民にミスリードを誘導した国連科学委員会に以下の公開質問を出す。その前半を掲載。今後若干の追記・修正を加えて9月下旬に国連科学委員会に送付予定。尚、別紙はここでは掲載しません。
【国連科学委員会(UNSCEAR)2020レポートへの疑問と質問】(公開質問)

 .初期の経口摂取線量の過少評価

【質問1】 

「UNSCEARがモニタリングデータによる詳細な評価を組み合わせて、より現実的で頑健な推計を行った」としていますが具体的記述はありません。以下の事実①~⑥について、UNSCEARはどう評価しましたか?

 

①浪江町民が津島に避難した3月12日以降、避難先で路地野菜の炊き出しを食べた。(3月15日、38km北西部の雑草は123万Bq/kg★

★この雑草と同じ汚染の野菜を幼児が200g摂取した場合に甲状腺等価線量は51.7mSv。400g以上摂取すれば100mSvを超える。

 

②3月16~17日の川俣町の原乳(ヨウ素131は1,190~1,510Bq/kg、3月20日は最大で5,300Bq/kg)が福島県内でヨーグルト加工し出荷。(注1)

⇒原乳2L(毎日200ml×10日(注1))で約1万Bq。乳児で甲状腺等価線量が60mSv程度(4Lなら120mSv) 

注1:3月21日:出荷制限(ホウレンソウ、原乳)

  3月23日:出荷制限、摂取制限(ホウレンソウや小松菜等葉物野菜)

 

③未公開福島県中央卸市場データ(3月19日)

 福島市のアサツキ     ・I-131   48,000Bq/kg   ・I-132     76,000Bq/kg

※出荷制限なし(注1)   ・Cs-134   64,000Bq/kg  ・Cs-137  64,000Bq/kg

★大玉村のホウレンソウ ・I-131  43,000Bq/kg   ・I-132     73,000Bq/kg

※3月23日まで流通 ・Cs-134    90,000Bq/kg  ・Cs-137  89,000Bq/kg

福島県内各地で10,000Bq/kg以上の野菜が3月22日まで出荷されていた。(注1)(詳細は別紙1-3及び以下OurPlanetTVのURL)
 http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/2597

出荷制限の3月23日まで大玉村のホウレンソウ―★と同等レベルの汚染された野菜を1日200g(大人は400g)摂取すれば、13日(爆発は12日)から23日までの11日間のI-131の平均汚染度は19日(8日目)の約1.1~1.15倍程度とすれば

例1:幼児が1日200gを摂取した場合の甲状腺等価線量は 

 43,000×0.2×12日×1.15=118,680Bq
     118,680×2.1E-06 Sv/Bq=249mSv 

  ( 注:摂取量が400gになれば498mSv

例2:大人が1日400gを摂取した場合の甲状腺等価線量は 
   43,000×0.4×12日×1.15=237,360Bq
           237,360×4.3E-07=102mSv 
            (注:摂取量が800gになれば204mSv)     
   いずれも甲状腺等価線量は100mSvを超える

④福島県の基本調査結果はどのように線量評価に反映しましたか?

避難地域住民は40シナリオの中にランダムに取り入れたようですが、ランダムでは高線量被ばく者が漏れている可能性もある。又汚染された野菜が流通していた中通り地区住民はどのように評価されましたか? 具体的なデータを開示し解説ください。

 

⑤事故後10日間廃棄処分の牛乳を3世帯で飲んでいた。

★原乳2リットルで約1万Bg。乳児だと甲状腺等価線量が60mSv程度 (4L120mSv)

⑥京都大・今中氏の飯館村個別訪問インタビュー結果

(3月15,16日何をしていたか、何を食べたか、いつ避難したか?)

 ・給水を待つ間に屋外で飲食した。

 ・当時淡水魚を食べていた。           

 ・イノシシを食べた。

★摂取制限が出る3月22日まで汚染された路地野菜を食べた事も想定される。
 
【質問2】
「食品のモニタリングデータによる詳細な評価も組み合わせて、より現実的で頑健な推計を行った」とありますが、いつ、どこで、誰が何をどのように測定したのか等全ての具体的なデータを開示ください。特に初期被ばくのI-131に関する出荷制限の3月23日までのデータ
•150. Further information has since become available that has enabled the Committee to make more realistic and robust estimates of doses from ingestion. For radiocaesium, this includes WBC measurements made on people; measurements made on food actually consumed by people, either from market-basket or from duplicate-diet surveys; and detailed assessments based on measured levels in food in Japan. For radioiodine, this includes: measurements of the radioiodine content of thyroids; and detailed assessments based on measured levels in food and drinking water in Japan. Appendix A provides further details about these sources of information. Making use of these different sources of information to estimate doses is complicated by factors such as the timing of the measurements, and the different routes of intake and the different radionuclides included in each case.
.吸入摂取量の矮小化

【質問3】

避難地域の対象者の40のシナリオの選定方法に関する以下の疑問(①~⑤)についてUNSCERARの見解をお聞かせください。

①40のシナリオでのサンプル抽出が10万人以上の避難者の全てを表しているとは言えない。対象数シナリオが40と少なすぎ、高線量被ばく者の存在等全容が見えにくく、データを意図的、恣意的に捻じ曲げていないか?

②甲状腺がんの関係を追及するなら高線量被ばく(内部被ばくも含めて)の地域住民を主に対象とすべき?又少なくとも対象者の数は当時の住民の人口にも比例させるべき。

③比較的線量の低い相馬市、楢葉町、小高地区、川内村住民を多数対象としているが恣意的なデータ改ざんに当たらないか?

④線量の高い、避難地区となっている浪江町(特に津島地区)、双葉町大熊町飯舘村川俣町山木屋地区の住民を重点的に対象とすべきではないか?

⑤質問1の①や質問4の①~④の住民は40のシナリオに含まれているか

【質問4】

1号機のベントや水素爆発後の以下(①~④)の住民の被曝線量値(内部被ばく+外部被ばく)をどう評価したのかのデータ等を具体的に開示ください。

・1号機のベント3月12日 14:30頃

・1号機水素爆発3月12日 15:16

①爆発当時300人が北西3kmの双葉町役場に残っていた。

②双葉町民の一部は12日12:00~18:00に避難開始。

③双葉町民の一部には13日以降に避難した住民もいた。

④原発から北西部にあたる浪江町赤字木地区3月16日には最大170μSv/hであった。津島地区100μSv/hを超えていた。(3月13日には220μSv/h程度と予測)

【質問5】

初期被曝(ヨウ素)は外部被ばく(Cs)から推定していますが、地域によっては外部被ばく線量(Cs)とは必ずしも比例していない地域(最大で30倍の開き)があり(森口教授らの論文)ますが、その事を考慮しているか等、I-131に関する線量評価方法を開示ください。UNSCEARではその比率はいくらにしているのでしょうか?

この係数(倍率)によって吸収摂取量は大幅(最大30倍まで)に変わり、内部被ばく(甲状腺等価線量)もUNSCEARのレポート結果も大幅に変えざるを得ません。  

放医研の栗原治氏のパワーポイント★によれば、I-131とCs-137との比率がいわきでは18.7倍程度、川俣では4.6倍程度、飯舘では3倍程度といったデータがでています。

                         ★ https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/50320.pdf


【質問6】

40シナリオだけの被ばく線量値を平均化する事は被ばくの実態全容を表しているとは言えません。TableA12及びTableA13のEvaculation(期間)の線量評価(経口及び吸入摂取による内部被ばくと外部被ばく線量値)のすべてのシナリオの計算過程やサンプルも含めた詳細データを開示ください。

特に初期被ばくが大きいと思われる地域住民はどのように抽出されているのでしょうか?

【質問7】

避難者への甲状腺内部被ばくモニタリング基準13,000cpm(甲状腺等価線量:100mSv相当)に関し、政府事故調のヒアリングで当時現場に立ち会った放医研の立崎氏は『かなりの割合で13,000cpmを超えていた。』と説明しています。この事は相当数の避難者が甲状腺等価線量が100mSvを超えていた事になります。

1)UNSCERARはこの事実を40のシナリオの中ではどのように評価しましたか?

2)基準値を3月14日以降10万cpmに引き上げましたが、この基準値変更をUNSCEARは正しい判断だったと評価しますか?

3)又10万cpmは甲状腺等価線量は何mSvと判断しますか?計算方法を開示ください。

 

4)基準値を上げた事によって多くの住民の初期内部被ばくの実態は把握されずに、闇に葬られたままになっていますが、UNSCEARとしてこの事実を、報告書では触れていません。アンフェアではないかと思いますが、UNSCEARとしての見解をお聞かせください。 

※あまりにも多くの住民が13,000cpmを超えたので、3月14日以降、放医研(福島県)は『10万cpmに達しても0.17mSvに過ぎない』(注)とし、17日には10万cpmに引き上げた通知文書を出し、「避難者はどんな値でも問題ない」とされてしまった。住民の初期内部被ばくの実態は把握されずに、闇に葬られたまま。

注:放医研の細井 義夫.福島県のスクリーニングレベル引上げについての証言も重要。立崎氏の証言と一致。

   https://www8.cao.go.jp/genshiryoku_bousai/fu_koukai/fu_koukai_2.html

 

【質問8】(質問7と関連)

3月24日~30日に政府によって実施された1,080人のスクリーニングで、甲状腺等価線量で100mSv※を下回った為に、全体的に問題ないとして、その後のスクリーニングを中止。この一連の役割を当時放医研の明石氏らが深く関与★しています。

更に、UNSCERA2020レポート作成にも関与しています。この事実によってUNSCEARの中立性や信頼性が揺らいでいます。(多くの専門家や市民が危惧)本件に対するUNSCEARの見解を聞かせてください  

★この一連の重要な役割?を果たしたのが『放医研』(明石氏ら)

・「10万cpmでも0.17mSv」の文書作成に関与。

・「半減期の問題で測る時間が残されていない」と政府に進言

・放医研は被害の過少化や測定中止へ働く

・UNSCEAR2020レポートに放医研の明石氏が深く関与 

 (上級技術顧問、日本人作業部会で文献調査を指揮)

 ⇒自らの不作為を消し去る為のマッチポンプとも受け取られていますが???

 

続き(後半)は以下ご覧ください。

 https://nimosaku.blog.ss-blog.jp/2021-09-20

 

 

 


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