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福島県への要請

原発事故後10年経過した。福島県の放射線モニタリング活動に対する自己評価、失敗や成功等の反省や改善すべき点のまとめ、国の責任、県の責任、市町村の責任、国全体の組織や責任体制の問題、震災時の通信インフラの冗長等の問題、情報の伝達や共有化の問題、指示・命令に関する問題点等々・・・
原発事故時の記録を後世に残す事は現代を生きる人たちの責務。そして福島県の大きなミッションでもある。まとめて公開する事が後世に残す福島県の責務ではないか。以下につて福島県広聴室に提出した。2週間後には何らかの回答が届く予定。


福島県・広聴室

危機管理部・放射線監視室作成の」『福島県の放射線モニタリング活動の記録』読ませていただきました。まずは、このような記録をまとめた事に感謝と敬意を表します。大変なご苦労があった事と察しいたします。原発事故時の記録を後世に残す事は現代を生きる人たちの責務でもあります。そして福島県の大きなミッションでもあります。その上で全体的な感想と要望・提案を以下記しますので、ご検討いただきたくお願いいたします。

1. 具体的な測定データが少ない。特に初期被ばくに関するデータがほとんど無いのが残念。初期被ばくに関する具体的なデータをもっと掲載すべきだったと考えますが、別途データ集(特に初期被ばくに関する経口摂取と吸入摂取について)を作成すべきです。是非ご検討お願いいたします。

2. 『福島県の放射線モニタリング活動の記録』のP162、図4-4のような他の地域のデータが欲しい。最も甲状腺等価線量の高い(大野局?)のデータが掲載されていないのは残念。掲載しなかった理由は何でしょうか?データは隠すことなく全て公開すべきです。本件について元東大M教授にも質問したところ、このデータはM教授の論文をもとにしたようです。
以下の【注】でPを採用すれば、甲状腺等価線量値はこの大野局では2倍以上になっています。

 【注】:P162の内容はM教授の以下の論文からのものです。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0265931X19309920

M教授に以下質問したところ以下の回答が届きました。
① Fig5におけるBとPの違い。特にPについいて。Bは比率を10倍として算出したものと理解。
② Based on MMEとありますが、MMEとは??
③ Fig6におけるシナリオ9のB,P、Kの違い。(B,Pは質問1と同じ)
④ UNSCEAR2020レポート(公開質問と回答を添付)はBとPとKのいずれを採用したか?その理由は?

M教授からの回答
①Fig5におけるBとPの違い。特にPについいて。Bは比率を10倍として算出したものと理解。
【回答】BはBase(基本)、PはPlume Specific(プルームごとに固有のI/Cs比を設定)の意味で、Bは10倍という理解で結構です。

②Based on MMEとありますが、MMEとは??
【回答】マルチ・モデル・アンサンブルの略です。1Fから放出された放射性物質の大気中での拡散や降雨による地表の沈着をコンピュータ上で再現するモデル(大雑把にいえば天気予報に使われるモデルに近いです)による計算結果を用いているのですが、単独のモデルだと、現象の再現が不十分なことがあり、複数のモデルの平均(厳密には単純な平均ではないのですが)のほうが、再現性がよくなることが、(少なくとも1F事故の予測に関しては)わかっています。この研究では、国立環境研究所の2つのモデルを用いています。(最近の私自身の研究では、10以上のモデルによるMMEの再現性の評価も行っています)

③Fig6におけるシナリオ9のB,P、Kの違い。(B,Pは質問1と同じ)                                                                                【回答】B,Pは上記1.のとおりで、国立環境研究所を中心とする研究チームの成果、Kは放医研のKimさん(栗原さんのチームです)の先行研究の成果です。

④UNSCEAR2020レポートはBとPとKのいずれを採用したか?その理由は?
【回答】UNSCEARは独自の計算を行っているので、どれでもありませんが、I/Cs比については、BよりもPに近い条件で計算しています。
避難のシナリオは、Kをもとにさらに細分化したものを使ったはずです。

3. 野菜等の出荷制限(2011年3月23日)までの経口摂取について、特にヨウ素とセシウムに関するデータの記録集が欲しい。(HPに掲載されいるようですが、目的別にまとまったものが欲しい)特に中央卸市場からの各野菜毎に出荷量や出荷先(市町村別に)も明記したもの。
(当然ヨウ素とセシウムの測定データ含む)

4. 避難者へのスクリーニング(1080名+弘前大の調査結果等)の結果のデータも加えて欲しい。

5. またこの時の規格(13000cpm:甲状腺等価線量で100mSv)を10万cpmにアップした根拠と、その計算過程を開示してください。

6.放射線モニタリング活動に対する自己評価、失敗や成功等の反省や改善すべき点のまとめ、国の責任、県の責任、市町村の責任、国全体の組織や責任体制の問題、震災時の通信インフラの冗長等の問題、情報の伝達や共有化の問題、支持・命令に関する問題点等々・・・

7.先日、大玉村にある環境創造センター・野生生物共生センターを見学し、以下のデータがまとまっていない事を確認しました。放射線モニタリング活動の記録と同じように、野生動物に関する初期被ばくも含めたデータをまとめた冊子の製作が必須です。逃げ場がなく、摂取制限もない野生動物には人間以上に甲状腺がんが見られるはずです。他の地域との比較も必要です。
本件については東北大学が牛の健康影響を研究・調査中※のはずです。可能なら東北大と共同研究もご検討ください。

※動物の内部被ばくの研究は、東北大におられたF先生が精力的に取り組んでいます。
http://www2.idac.tohoku.ac.jp/hisaidoubutsu/seika.html

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