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国連科学委員会2020レポートへの公開質問と回答(改訂版・前半)

文字数の制限で2分割して掲載します。

後半はhttps://nimosaku.blog.ss-blog.jp/2022-01-20-1 をご覧ください。


国連科学委員会(UNSCEAR)2020レポートに対する公開質問を実施している。2022年1月20日現在、UNSCEARから得られた一部の回答も含め、以下まとめた。尚、すべての質問に対する項目毎の回答を求めているが、本日現在得られていない。


【国連科学委員会(UNSCEAR)2020レポートへの公開質問と回答】
                                            
国連科学委員会は2021年3月に『UNSCEAR 2020レポート』を発表。『将来にわたり被ばくを直接原因とするがんなどの健康影響が増加する可能性は低い』との、日本語のプレスリリース(☆)を発表し、日本のメデイアや国民にミスリードを誘導した。
                          
このレポートには、特に野菜や生乳が出荷停止になる2011年3月23日までの11日間の野菜等からの経口摂取と、地域によって異なるヨウ素とセシウムとの比率の違いによる吸入摂取の内部被ばく評価、日本人は日頃から昆布を食べているからとして、甲状腺等価線量係数を西洋人(ICRP基準値)の1/2にし、更に事実とは異なる日本人は鉄筋コンクリートの住居に住んでいるからと、屋内退避効果で吸入被ばくを1/2にした。その結果2013レポートから内部被ばくの評価線量を約1/4に下げてしまった。

避難地域住民の40のシナリオ(代表的な避難経路によって住民の被ばくを推定)には、避難が遅れたり、一時避難先で、炊き出しで出された高濃度に汚染された野菜を食べたりした住民が考慮されていない等、多くの疑問・疑惑がある。そこで2021年9月下旬、UNSCEAR事務局長宛 に『公開質問』を提出した結果、3週間後に回答が届いたので、その内容について報告する。
但し、20以上の質問に対し、項目ごとの質問には答えず、2021年12月に発行予定(2022年1月17日現在未発行)の電子アタッチメントを読めといった回答で、満足な回答は得られていない。

また、主に量子科学技術研究機構(以後量研・元放医研)の明石真言氏らで構成されているUNSCEAR日本人作業グループはレポートを直接執筆はしていないが、詳細分析や情報提供に強く関与している。

そこで作業グループが都合の良い論文やデータを意図的・恣意的に選択して、結論を誘導していないか?また量研・明石真言氏と国際医療福祉大学(甲状腺評価部会長)・鈴木元氏との個人的な関係によって、鈴木氏の論文を意図的に忖度・優先した事実は無いのかをUNSCEARに質問すると同時に、日本国内で定期的に開催されていた、明石氏らが主導している『国内対応委員会議事録』の情報公開請求を実施しながら、検証も試みた。

尚、実際に公開質問した内容の一部(別紙や英文部分等)は、この報告書からは省略し、後日明らかとなった事実も一部追記した。
 ☆:Microsoft Word - ous419jp ys2 (unscear.org)

【UNSCEARへの疑問・質問】

1.初期の経口摂取線量の過少評価
【質問1】                                                           「UNSCEARがモニタリングデータによる詳細な評価を組み合わせて、より現実的で頑健な推計を行った」としていますが具体的記述はありません。以下の事実①~⑥について、UNSCEARはどう評価したか?

①浪江町民が津島に避難した3月12日以降、避難先で路地野菜の炊き出しを食べた。
https://www.asahi.com/articles/DA3S14471890.html
https://withnews.jp/article/f0210106000qq000000000000000W0f710601qq000022255A
 (3月15日、38km北西部の雑草は123万Bq/kg★)
★:この雑草と同じ汚染の野菜を幼児が200g摂取した場合に甲状腺等価線量は51.7mSv。400g以上摂取すれば100mSvを超える。

②3月16~17日の川俣町の原乳(ヨウ素131は1,190~1,510Bq/kg、3月20日には 最大で5,300Bq/kg)が福島県内でヨーグルト加工し出荷。
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000015iif.html(厚労省HP)
⇒原乳2L(毎日200ml×10日(注2))で約1万Bq。
 乳児で甲状腺等価線量が60mSv程度(4Lなら120mSv) 
注2:3月21日:出荷制限(ホウレンソウ、原乳)
    3月23日:出荷制限、摂取制限(ホウレンソウや小松菜等葉物野菜)

③未公開福島県中央卸市場データ(3月19日)
福島市のアサツキ      ・I-131  48,000Bq/kg    ・I-132 76,000Bq/kg     
※出荷制限なし(注2)      ・Cs-134 64,000Bq/kg  ・Cs-137 64,000Bq/kg       
大玉村のホウレンソウ(注3)・I-13143,000Bq/kg    ・I-132 73,000Bq/kg                 
※3月23日まで流通    ・Cs-134 90,000Bq/kg ・Cs-137 89,000Bq/kg 
 福島県内各地で10,000Bq/kg以上の野菜が3月22日まで出荷されていた。
詳細は以下Our Planet TVのURLを参照ください。
 http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/2597

出荷制限の3月23日まで大玉村のホウレンソウ―(注3)と同等レベルの汚染された野菜を1日 200g(大人は400g)摂取すれば、13日(爆発は12日)から23日までの11日間のI-131の1日あたりの平均汚染度は19日(8日目)の約1.1~1.15倍程度と想定されるので
例1:幼児が1日200gを摂取した場合の甲状腺等価線量は                  
   43,000×0.2×12日×1.15=118,680Bq
    118,680Bq×2.1E-06 Sv/Bq=249mSv                   
   ( 注:摂取量が400gになれば2倍の498mSv)
例2:大人が1日400gを摂取した場合の甲状腺等価線量は 
   43,000×0.4×12日×1.15=237,360Bq
   237,360×4.3E-07=102mSv 
   (注:摂取量が800gになれば204mSv)     
  いずれも甲状腺等価線量は100mSvを超える

④福島県の基本調査結果はどのように線量評価に反映したか?避難地域住民は40シナリオの中にランダムに取り入れたようですが、ランダムでは高線量被ばく者が漏れている可能性もある。又汚染された野菜が流通していた中通り地区住民はどのように評価したか?具体的なデータを開示し解説ください。

⑤事故後10日間廃棄処分の牛乳を3世帯で飲んでいた。
原乳2リットルで約1万Bq。                                       
乳児だと甲状腺等価線量が60mSv程度 (4L飲めば120mSv)

⑥元京都大・今中氏の飯館村個別訪問インタビュー結果                      
(3月15、16日何をしていたか、何を食べたか、いつ避難したか?)   
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/ISP/ISPmemo12126.pdf               
 住民の答えが以下。              
・給水を待つ間に屋外で飲食した。                                  
・当時淡水魚を食べていた。         
・イノシシを食べた。  
尚、飯館村住民は摂取制限が出る3月22日まで高濃度に汚染された路地野菜を食べていた事が想定される。

【質問2】
「食品のモニタリングデータによる詳細な評価も組み合わせて、より現実的で頑健な推計を行った」(150)とありますが、いつ、どこで、誰が何をどのように測定したのか等全ての具体的なデータを開示ください。                                          特に初期被ばくのI-131に関する出荷制限の3月23日までのデータを開示ください。

2.吸入摂取量の矮小化
【質問3】                                                   
避難地域の対象者の40のシナリオの選定方法に関する以下の疑問(①~⑤)についてUNSCERARの見解をお聞かせください。
①40のシナリオでのサンプル抽出が10万人以上の避難者の全てを表しているとは言えない。対象数シナリオが40と少なすぎ、高線量被ばく者の存在等全容が見えにくく、データを意図的、恣意的に捻じ曲げていないか?

②甲状腺がんの関係を追及するなら高線量被ばく(内部被ばくも含めて)の地域住民を主に対象とすべき?又少なくとも対象者の数は当時の住民の人口にも比例させるべき。

③比較的線量の低い相馬市、楢葉町、小高地区、川内村住民を多数対象としているが恣意的なデータ改ざんに当たらないか?

④線量の高い、避難地区となっている浪江町(特に津島地区)、双葉町、大熊町、飯舘村、川俣町山木屋地区の住民を重点的に対象とすべきではないか?

⑤質問1の①や質問4の①~④の住民は40のシナリオに含まれているか?
【質問4】                                                     
1号機のベントや水素爆発後の以下(①~④)の住民の被曝線量値(内部被ばく+外部被ばく)をどう評価したのかのデータ等を具体的に開示ください。
・1号機のベント :3月12日 14:30頃
・1号機水素爆発:3月12日 15:16

①爆発当時300人が北西3kmの双葉町役場に残っていた。
②双葉町民の一部は12日12:00~18:00に避難開始。
③双葉町民の一部には13日以降に避難した住民もいた。
④原発から北西部にあたる浪江町赤字木地区は3月16日には最大170μSv/hであった。津島地区も100μSv/hを超えていた。(3月13日には220μSv/h程度と予測)

【質問5】                                                    
初期被曝(ヨウ素)は外部被ばく(Cs)から推定していますが、地域によっては外部被ばく線量(Cs)とは必ずしも比例していない地域(最大で30倍の開き)があり(森口教授らの論文)ますが、その事を考慮しているか等、I-131に関する線量評価方法を開示ください。    UNSCEARではその比率はいくらか?
この係数(倍率)によって吸収摂取量は大幅(最大30~100倍まで)に変わり、内部被ばく (甲状腺等価線量)に関するUNSCEARレポート結果は大幅に変えざるを得ません。  
放医研の栗原治氏のパワーポイント(注4)によれば、I-131とCs-137との比率がいわきでは18.7倍程度、川俣では4.6倍程度、飯舘では3倍程度といったデータがでている。
注4: https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/50320.pdf


更に東電発表の報告書では50倍。元東大・森口氏らの以下の論文では栗原氏らの倍率よりも更に高い数値が出されている。https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0265931X19309920
注5:以下の8行は新たに判明し追記したもの(公開質問には含まれていない)
『この論文のFig5におけるBはBase(基本)、PはPlume Specific(プルームごとに固有のI/Cs比を設定)、Kは放医研のKimさん(栗原さんチーム)の先行研究の意味で、Bは10倍にて甲状腺等価線量を算出。UNSCEARはI-131とCs-137との比率は独自の計算を行っており、I/Cs比については、BよりもPに近い条件で計算しているとの事。避難のシナリオは、Kをもとにさらに細分化したものを使ったはずです』との情報を得た。

【質問6】                                                     
40シナリオだけの被ばく線量値を平均化する事は被ばくの実態全容を表しているとは言えまない。レポートのTableA12及びTableA13の避難期間の線量評価(経口及び吸入摂取による内部被ばくと外部被ばく線量値)のすべてのシナリオの計算過程やサンプルも含めた詳細データを開示ください。特に初期被ばくが大きいと思われる地域住民はどのように抽出されたのか?

【質問7】                                                    
避難者への甲状腺内部被ばくモニタリング基準13,000cpm(甲状腺等価線量:100mSv相当)に関し、政府事故調のヒアリングで当時現場に立ち会った放医研の立崎英夫氏は『かなりの割合で13,000cpmを超えていた。』と説明(※)している。この事は相当数の避難者の甲状腺等価線量が100mSvを超えていた事になる。
※:https://www8.cao.go.jp/genshiryoku_bousai/fu_koukai/pdf_2/186.pdf

1)UNSCERARはこの事実を40のシナリオの中ではどのように評価したか?
2)基準値を3月14日以降10万cpmに引き上げましたが、この基準値変更をUNSCEARは正しい判断だったと評価するか?
3)又10万cpmは甲状腺等価線量で何mSvと判断しますか?計算方法を開示ください

4)基準値を上げた事によって多くの住民の初期内部被ばくの実態は把握されずに、闇に葬られたままになっているが、UNSCEARとしてこの事実を、報告書では触れていない。アンフェアではないかと思いますが、UNSCEARとしての見解をお聞かせください。 

※あまりにも多くの住民が13,000cpmを超えたので、3月14日以降、放医研(福島県)は 『10万cpmに達しても0.17mSvに過ぎない』(注6)とし、17日には10万cpmに引き上げた通知文書を出し、「避難者はどんな値でも問題ない」とされてしまった。             この結果、避難住民の初期内部被ばくの実態は把握されずに、闇に葬られたままとなった。

注6:放医研の細井 義夫氏の福島県のスクリーニングレベル引上げについての証言も重要。立崎英夫氏の証言と一致。
https://www8.cao.go.jp/genshiryoku_bousai/fu_koukai/fu_koukai_2.html
https://www8.cao.go.jp/genshiryoku_bousai/fu_koukai/pdf_2/761.pdf

【質問8】(質問7と関連)                                           
3月24日~30日に政府によって実施された1,080人のスクリーニングで、甲状腺等価線量で100mSv※を下回った為に、全体的に問題ないとして、その後のスクリーニングを中止。 この一連の役割を当時放医研の明石真言氏が深く関与(注7)しています。
更に、UNSCERA2020レポート作成にも関与しています。この事実によってUNSCEARの中立性や信頼性が揺らいでいます。(多くの専門家や市民が危惧)本件に対するUNSCEARの見解を聞かせてください。 
 
注7:以下の一連の重要な役割を果たしたのが『放医研』(明石氏ら)
https://www8.cao.go.jp/genshiryoku_bousai/fu_koukai/pdf_2/761.pdf
・「10万cpmでも0.17mSv」の文書作成に関与。                          
・「半減期の問題で測る時間が残されていない」と政府に進言
・放医研は被害の過少化や測定中止へ働く
・UNSCEAR2020レポートに放医研の明石氏が深く関与 
 (上級技術顧問、日本人作業部会で文献調査を指揮)
 ⇒自らの不作為を消し去る為のマッチポンプとも受け取られていますが、UNSCEARとしてはどのようにお考えでしょうか?

3.線量推計値の矮小化(係数を1/2)
【質問9】                                                    
放射性ヨウ素の体内摂取量から甲状腺に集まる係数をICRP係数の1/2 を採用し、以下の ①~③の理由で被ばく線量値を矮小化したと考えます。本件に対するUNSCRARの説明を聞かせてください。                        
※日本人は西洋人に比較し昆布の摂取量が多い為に甲状腺に集まる放射性ヨウ素が甲状腺に集まるのは西洋人(注8)の半分(15%)とした。                         
注8:西洋人は30%としている。 

①最近の研究(2015年学術誌論文:K5)によると「特に若い人に食事パターンの変化に伴い、ヨウ素不足が徐々に増加しうる」とある。
K5 Katagiri, R., K. Asakura, K. Uechi et al. Adequacy of iodine intake in three different Japanese
adult dietary patterns: a nationwide study. Nutr J 14: 129 (2015)

②日本人が放射性ヨウ素を摂取した場合に甲状腺への取り込みは、16.1±5.4%や、12.8±5.7%とした。この時の被験者は15人及び6人のみで、日本人全体の平均とは言えない。

③福島県によるとがん患者の尿中の安定ヨウ素は1Lあたり「100μg」台と少なかった。
  (日本人は300μgと言われてきた。)
https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/240821.pdf

4.内部被ばくの線量評価(線量係数)の矮小化
【質問10】                                                  
 内部被ばくの線量評価に関するICRPの線量係数について、UNSCRARはどのように評価しましたか?
・例えば放射性微粒子がホットスポット的に集中し、被ばくが生じる不均一被ばく時の内部被ばくの実効線量の計算方法について開示ください。特に線量係数について 。
・黒い雨裁判の判決ではICRP勧告・見解(内部被ばく等)を否定
・ECRR,矢ケ崎氏(琉球大名誉教授)、西尾氏(元北海道がんセンター所長)等多くの有識者や市民からの不信感。
・ICRPの甲斐倫明委員は7年前に見直しを検討すると小生に回答

5.外部被ばく線量値の矮小化
【質問11】                                                   
以下の①,②に関するUNSCEARの見解をお聞かせください。
①各自治体の外部被ばく線量値の平均値では個人の被曝線量の実態を示せない。自治体毎の最大被ばく線量値(95パーセンタイル)と最少被ばく線量値も示すべき。

②個人線量測定時のバックグラウンド値は過剰に引き過ぎている。
バックグランド値は空間線量値ではなく、子ども達が装着している状態のオンファントムで測定した線量値を採用すべき。
また子ども達の行動パターンも考慮すべき。
  ⇒バックグラウンド値は0.54と0.63 mSvとしているが ⇒0.24mSv程度が妥当(注9)
注9:詳細は以下をご覧ください。
https://nimosaku.blog.ss-blog.jp/2021-04-22
https://userdisk.webry.biglobe.ne.jp/003/302/01/N000/000/000/161906861162644080329.pdf
後半はhttps://nimosaku.blog.ss-blog.jp/2022-01-20-1をご覧ください。

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