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国連科学委員会2020レポートを全面否定

『甲状腺がんは放射線との関係は考えられない』とする、国連科学委員会(UNSCEAR)2020レポートを全面否定する『個人線量と甲状腺がんの発生割合とが相関がある』とする論論文が公開された。

Individual Dose Response and Radiation Origin of Childhood and Adolescent Thyroid Cancer in Fukushima, Japan

福島県における小児・思春期甲状腺がんの個人線量依存性と放射線被ばく起因性
DOI: 10.31487/j.COR.2022.02.02

論文は以下ご覧ください(日本語でも見れます)

https://www.sciencerepository.org/individual-dose-response-and-radiation_COR-2022-2-102

昨日、UNSCEARにこの論文を送付し、見解を求めた。UNSCEAR2020レポートの根幹にかかわる内容なので、すぐの回答は無いはず。
数年後のレポート見直しまで(今後の見直しは無いと福島医大の国際シンポジウムで議長が強気の発言をしていましたが・・)は、内容が覆される事はないだろう・・・

 但し、UNSCEARのHP上で公開されるはずのQAに、掲載すべき事を再三に渡って今後も要請していく。更に日本で6月~7月に開催予定のアウトリーチについても、以下質問しているが、今のところ回答はない。 

  1. 開催日時
  2. 開催場所
  3. 開催方式(リアル+リモート?)
  4. 内容、特に質問(Q&A)の形式
  5. 事前質問の受付の可否
  6. 当日のUNSCEAR側の出席者、特に日本人

日本でのアウトリーチで質問攻めにあい、UNSCEARの信頼失墜(隠蔽がばれる?)を恐れて、アウトリーチを開催しない事を危惧。また、アウトリートに向け、日本側市民の組織的な準備が必要だろう

論文の結論は以下
2 巡目スクリーニングにおける個人線量群の甲状腺がん発生率が個人外部被ばく線量に比例して増える高い相関を示し たことは、甲状腺がん発生率の増加が原発事故による放射線被ばくによるものであることを示唆するものであった。

これは、福島原発事故後、小児甲状腺がん発生率と個人線量の間に線形関係があることを示す初めての知見である。線量群の甲状腺がん発生の相対リスクRRは平均外部被曝線量に比例して増加し、2.5 mSv以下の範囲ではERR/mSvは1.43 (95%CI: 0.87, 1.99)であった。

低線量域での強い線量依存性(例えば1-2mSv、2mSv 以上の線量群の相対リスクは非 被曝の群の3-4 倍)その結果としての高いERR/mSv は、「これまでの疫学研究で100mSv 以下の線量では有意な健康 影響はないとされてきたため、これまでに推定された放射線量は健康に悪影響を与える可能性は低い」というFHMS の 7 結論と矛盾する[1, 2]。

このFHMSの意見に基づき、日本政府は年間20mSv未満の汚染地域への住民の帰還を推進していることは極めて危険であることを示している。 個人線量群の甲状腺癌の相対リスクは換算甲状腺線量yに比例して増加し(y = 0.0067x 、x は外部被ばく量)、ERR/Gy は 213(95%CI: 129, 297)であった。

福島の甲状腺がん発生率と個人線量との比例関係に見られたERR/Gy 213 の概算値は、チェルノブイリ事故後 5-14 年間の小児期の放射性ヨウ素被曝の研究による ERR/Gy= 5.25-23 の約 10-40 倍で ある[13, 17, 18]。

ERR/Gy が高い理由の一つは、UNSCEAR 2020/2021による甲状腺線量推定値が低すぎたためである可能性がある。 UNSCEAR 2020/2021は、被ばくした子どもたちの間で検出された甲状腺がんの大幅な増加は、超高感度スクリーニン グとその結果の過剰診断によって、これまで認識されていなかった集団における甲状腺がんの有病率が明らかになった 結果であると結論付けた([4]の268(q))。
UNSCEAR 2020/2021による過剰診断の定義は、症状や死亡に至らないよ うな診断であった。2 巡目の甲状腺がん発生率は、がん登録から推定される発生率の数十倍であった[3]。1 巡目でがん が十分に発見された後の 2 巡目での高い発生率は、甲状腺がんの増加が超音波スクリーニングとその結果としての過剰 診断の結果ではなく、原発事故による放射線被曝が原因であることを示すものである。

FMU 病院での術後病理診断で は、125 例のうち89%にリンパ節転移と肺転移を含む甲状腺外浸潤が認められ、過剰診断の証拠はないことが明らかに なった[19]。

日本における10~24 歳の診断時若年層のがん罹患率が、2005~2010 年の平均罹患率1.03/10万人から事故後(2011~ 2018 年)の平均罹患率2.06/10万人に急増したことは、福島など東日本の汚染県で原発事故の放射線被ばくにより甲状 腺がんの発生率が上昇したことを示唆した。

UNSCEAR 2020/2021では、被ばく時年齢による甲状腺がんの年齢分布が福島とチェルノブイリで3カ国の平均分布が異なることから、甲状腺がんの過剰は放射線被ばくと無関係であろうとした([4]のXXI、226(c)図)。

しかし、チェル ノブイリ事故後 10 年間の被ばく時、子ども青年であった人の甲状腺がん患者数と(UNSCEAR1008 より)、9 年間の福島 8 での患者数を比較すると、福島、ウクライナ、ロシアでは被ばく時年齢が最も高い層(15~18歳)で甲状腺がん発生率 が高く、ベラルーシでのみ最も低い年齢層(0~4 歳)でがん患者数が多くなっている(図 3)。

UNSCEAR が甲状腺がんの年齢分布で放射線被ばくの影響を判断したのは間違い(むしろ被ばく由来でないことを主張するために無理にチェ ルノブイリ3国の平均値を出して福島と比較した意図的なものと考えられる)。

福島における甲状腺がん患者の被ばく時年齢別分布は、1 巡目の平均年齢(最小-最大)14.9(6-18)から4巡目+25歳 節目検診(2017-2021 年度)の9.9(0-18)へと若年化した[1, 20].放射線による甲状腺がんは小児や思春期に多く発 生するが、自然発生する甲状腺がんは年齢とともに徐々に増加し、65歳前後で最も高い発生率になる。ウクライナやロ シアと同様に、福島でも甲状腺がん発生率の低年齢へのシフトが観察されたことは、甲状腺がんの放射線由来を示唆し た。

なお注意すべきこととして、福島県の小児甲状腺がん患者数は、ロシアの3汚染州の合計より多く、ベラルーシ・ウクラ イナ全土の患者数の約 3 分の 1 にも上った。このことは、福島原発事故後の日本における全放射線関連甲状腺がん患者 数が、チェルノブイリ事故後のベラルーシとウクライナの患者数に匹敵していた可能性を示唆している。

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