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甲状腺評価部会への公開質問と要請

日本人は昆布を食べているからとしてUNSCEAR報告者では、甲状腺への取り込み率を1/2に矮小化している。最近の世界のデータや国内のデータからも、日本人(子ども)が体内へのヨウ素(昆布等から)を極端に取り込んでいるとのデータは出ていない。WHOが規定する標準値内である。

UNSCEARに1/2を提案したのが、甲状腺評価部会長の鈴木元氏である事が、いわき市でのパブリックミーテングで明らかとなった。しかにこの事実の検証もなく、評価部会や検証委員会はUNSCEAR報告書があたかも間違いがないものと信じ込んでいる。

甲状腺評価部会の無知・無能さにも呆れている。

そこで UNSCEAR 2020/21報告書検証ネットワークは以下の公開質問を実施した。

    ーーー   ーーーー

「県民健康調査」甲状腺検査評価部会 鈴木元部会長
「県民健康調査」甲状腺検査評価部会の部会員のみなさま
「県民健康調査」検討委員会の委員のみなさ

 

          【公開質問と要請】

 

福島「県民健康調査」での実測値を活かし,UNSCEAR2020/2021福島報告書が日本人のヨウ素摂取量を過大評価(ヨウ素取り込み率を半分に過小評価)している問題の解決を


 「県民健康調査」甲状腺検査評価部会の鈴木元部会長はじめみなさまの大変なご活躍,いつも拝見いたしております。

 私ども「UNSCEAR 2020/21 報告書検証ネットワーク 」は同報告書を様々な角度から検証するために立ち上がった研究者・市民科学者によるネットワークです。UNSCEARの報告書は各国政府や原子力事業者らによって「権威」として活用され,社会に及ぼす影響は甚大なものがあります。したがってUNSCEARの報告書はその内容に誤りや漏れがあってはなりません。しかし,UNSCEAR 2020/21 報告書には基本的で深刻な誤りや被害の過小評価,疑問点が多数あることがわかりました。

 当ネットワークでは同報告書のデータ,グラフ,内容の問題点,疑問点,構造的な課題についてUNSCEARに公開質問状を送ると同時にウエブサイトに掲載,UNSCEAR に回答をもとめています。同時にそれらに関する資料の公開や共有を図っております。

 7月19日には記者会見を開き,「UNSCEAR 2020/21 報告書に対する緊急声明 被曝影響に関する結論の撤回を求める」を発表しましたので添付致します。公開質問状への回答,UNSCEARアウトリーチ(東工大,いわき両会場)での委員とのやりとりの結果判明した問題点を,貴評価部会開催に先立ち7月中にサイトに公開,記者発表する予定です。例えば,UNSCEARの「独立」に関する質問で,UNSCEARに情報提供されていた鈴木部会長,明石眞言元検討委員会委員が,長崎被爆体験者訴訟において政府側証人として証言したり,意見書を提出したりしている事実に,ハース元UNSCEAR議長は「知らなかった」と驚き,「それは日本側の問題」だと参加者に提起するといった場面もありました。

さて,UNSCEAR2020/21報告書のパラグラフ148には「日本人集団には,伝統的に,1日に最大で数万マイクログラムの安定ヨウ素を含有するヨウ素が豊富な食習慣があり,その含有量は世界平均より約2桁高い[K5, L3, N2, Z6, Z7]。結果として,日本人集団の間での経口摂取または吸入を介した摂取による放射性ヨウ素の甲状腺への部分的な取り込みが,UNSCEAR2013年報告書[U10]で用いたICRPの基準値よりも低いとの予想が可能である」とあり,その結果,一般的な日本人の食事や吸入から得られる線量係数をUNSCEAR 2013報告書で用いられた線量係数の 1/2にしています。

7月21日にいわき市で開催されたUNSCEAR パブリックミーティングで私どもは添付した資料をUNSCEAR委員たちに手渡ししました(来場者にも配付)。スライド資料にあるとおり,世界の学童の尿中ヨウ素濃度の中央値の比較では,日本の学童(6~12歳)は世界174か国中23番目であり,ヨウ素摂取量は標準範囲内であって2桁も多くはありません。また,「県民健康調査」検討委員会・甲状腺検査評価部会で集計・報告されている実測値でも標準範囲内であることも示しました。その上で同報告書パラグラフ148の日本人のヨウ素摂取量は間違いであり,それを基準に放射性ヨウ素の取り込みを1/2にしたのは大幅な過小評価になるため訂正すべきではないかという質問をしました。

質問に対し,主執筆者のバロノフ博士は,日本人特有のヨウ素代謝のモデルは鈴木元博士の提案によると回答されました。

【鈴木部会長ほか委員,部会のみなさまへの公開質問と要請】

質問1:
甲状腺検査評価部会,「県民健康調査」検討委員会で配布している資料に悪性ないし
その疑いが見つかる毎に,尿中ヨウ素量が報告されています。その中央値は世界の標準範囲内であり他国の2桁も多くはありません。みなさんはこのことをご存じなかったのですか。

質問2:
鈴木部会長は論文(Gen Suzuki,2021) で日本人の食物からのヨウ素摂取量が多い
ために甲状腺のヨウ素取り込み率はICRPモデルよりも低いと述べられています。しかし、県民健康調査検討委員会・評価部会で集計・報告されている実測値は標準的なヨウ素摂取量であることを示しています。

これは,鈴木部会長が貴評価部会の代表者として,県民健康調査の実測値をUNSCEARに情報提供せず,その実測値によって否定されるヨウ素代謝モデルだけをUNSCEARに提供した事実の存在を意味します。これは,部会長として,あまりに無責任ではありませんか? 貴部会のみなさま,検討委員会委員のみなさまは,この問題をどう受けとめられるでしょうか。

要請:
日本人のヨウ素摂取量を過大評価することにより甲状腺被ばく線量を1/2に過小評価する結果になり,放射線起因性を否定する根拠にされています。これは重大な誤りです。したがってUNSCEARに対しパラグラフ148の訂正を要請してください。

ご多忙のところ恐れ入りますが,ご回答をネットワーク連絡担当までお送り願います。

鈴木部会長と貴評価部会のみなさまには部会開催後の8月2日までに,「県民健康調査」検討委員会の委員のみなさまには,お盆休みもあける8月22日までのご回答をよろしくお願いいたします。

敬具

        
                 2022年7月25日
             UNSCEAR 2020/21報告書検証ネットワーク

[2] Journal of Radiation Research, Volume 62, Issue Supplement_1, April 2021, Pages i7–i14, https://doi.org/10.1093/jrr/rraa097










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