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環境省への情報提供と要請

環境省   
環境保健部・神ノ田昌博部長殿

 cc放射線健康管理鈴木章記参事官殿、
    三沢参事官補佐・参事官補佐各位殿 

日頃のご尽力に感謝申し上げます。

昨年12月2日に開催された福島県・県民健調査検討会では、アンケート調査の質問事項を巡り議論が白熱しました。その中で神ノ田委員が『アンケ―ト項目に「放射線被ばくによる健康影響は将来的にもみられそうにない」としているUNSCEAR2020/2021報告書の結論について理解しているかを追加すべきだ』と何度も強く主張しておられました。

この発言で、神ノ田委員は「UNSCEAR2020/2021報告書」の本文を全く読んでいない事が明らかとなり、国民やメディアをミスリードした2021年3月に発表された「日本語のプレスリリース」のみを拠り所に、このような発言をしている事に愕然と致しました。更にこのプレスリリース内容だけで国の政策を決定し、HP等で国民へ間違った情報発信をしている事にも驚きと失望、更に不信感を禁じ得ません。

 『福島原発事故による甲状腺被ばくの真相を明らかにする会』(明らかにする会)は、福島原発事故の甲状腺がんと放射線被ばくの因果関係について研究してまいりました。更に、2020年3月に「UNSCEAR2020/2021報告書」が発行されてからは、他の多くの研究者らと共にUNSCEAR報告書の検証をしてまいりました。

 その結果、「UNSCEAR2020/2021報告書」には多くの間違い・歪曲・捏造等、特に初期内部被ばくは約1/70(2桁以上)の矮小化が確認され、昨年7月にいわき市等で開催された、UNSCEAR主催のパブリック・ミーテングでの質問や事前の公開質問の結果、その間違いや歪曲・捏造が明らかとなりました。その科学的な検証結果の正しい情報を添付により提供いたします。
 環境省内部で情報共有いただき、正しい情報のもとで以下要請いたします。

【要請事項】

UNSCEAR 2020/2021報告書全文と以下提供資料の確認
②県民健康調査検討委員会等での発言の修正(発言撤回含む)
③「UNSCEAR 2020報告書の概要」等、UNSCEARに関するHPの内容修正
  (本文とは内容が異なる日本語のプレスだけを記載。政策の見直し・変更含む)

UNSCEAR2020/2021報告書のパラグラフ222には『5歳以下で被ばくした女児集団を生涯追跡すれば、16-50件の甲状腺がんが生ずる可能性がある』とも記載されています。
                                                                              

2023年1月16日

         福島原発事故による甲状腺被ばくの真相を明らかにする会
                   

        http://fukushimakyoto.namaste.jp/akiraka/


【情報提供】

 

1.「推定甲状腺被ばく量1/70の過小評価」は本当か
 大阪大医学部本行名誉教授の資料
http://natureflow.web.fc2.com/HP/HT221203.pdf

2.チェルノブイリ並み初期被ばくで多発した福島甲状腺がん
  加藤聡子氏(独立研究者・元短期大学教授)の資料http://natureflow.web.fc2.com/HP/KTS221203.pdf

3.「明らかにする会」HP
http://fukushimakyoto.namaste.jp/akiraka/

4.講演会の動画
 「チェルノブイリ並み初期被ばくにより多発した福島甲状腺がん
 ―被ばく由来のがん発生を否定するUNSCEAR報告は崩れた」 https://1drv.ms/v/s!AiyrfJVqEqO5h6wkg-tVnf5TgaM0kQ?e=uBoVcw

331日まで閲覧可能ですが、ダウンロードをお勧めします。

5.『UNSCEAR2020/21レポート検証ネットワーク』のHP
   (UNSCEARへの公開質問と回答等)
  https://www.unscear2020report-verification.net/

6.「UNSCEAR2020/21レポート検証ネットワーク」記者会見資料
https://jimdo-storage.global.ssl.fastly.net/file/f155d871-a6c9-4ba1-ba8d-4dd60ed09d52/UNSECEAR%E6%A4%9C%E8%A8%BC2022%E5%B9%B47%E6%9C%8819%E6%97%A5%E5%A3%B0%E6%98%8E%E5%85%AC%E9%96%8B.pdf

7.『UNSCEAR2020/21レポートに日本側はどう関与したか』(簡易版)
https://nimosaku.blog.ss-blog.jp/2022-09-24

8.UNSCEAR2020/2021報告書日本語版https://www.unscear.org/unscear/uploads/documents/unscear-reports/UNSCEAR_2020_21_Report_Vol.II_JAPANESE.pdf

尚、「明らかにする会」で、現在小冊子の発行を企画(4月発行予定)しております。その中で「UNSCEAR2020/2021報告書に日本側はどう関与したか」の論考の「はじめに」の部分を抜粋したものを添付いたします。ご参考として頂ければ幸甚です。


【ご参考】

はじめに

国連科学委員会(UNSCEAR)は2021年3月に『UNSCEAR2020/2021報告書』を発表した。
「放射線被ばくが直接の原因となる健康影響(例えば発がん)が将来的に見られる可能性は低い」との日本語のプレスリリース[i]を発表し、メディアや国民を意図的にミスリードした。英語の本文とは大きな齟齬があるものだった。

この報告書は、日本人は日頃から昆布を食べているからとして、甲状腺等価線量係数を西洋人(ICRP基準値)の1/2にし、長時間屋内に留まった場合の屋内退避効果はほとんど無いにもかかわらず、屋内での吸入被ばく線量を1/2にした。更に特に3月15日、16日の大量のプルーム(ヨウ素等)の沈着量や沈着速度を改ざんし、更に避難区域住民は3月15日までに全員避難完了したとして、吸入摂取内部被ばくを3桁程度過小化した。

 更にUNSCEARは野菜や生乳が出荷停止になる3月23日までの11日間の野菜等からの経口摂取を無視するなど(注5)、
あらゆる手段で内部被ばく線量の矮小化を図り、内部被ばく線量値UNSCEAR2013報告書からも劇的(注1)に引き下げ、より現実的な線量推定を実施したとしている。

注1:約1/70に矮小化との加藤氏、山田氏の論文[ii]もある。UNSCEAR(40の避難シナリオ)が3月15日までには避難完了したとされた避難区域住民は、必ずしも全員避難したわけではなく、また避難途中に高線量地域に駐車した車内で過ごした住民も多い。高線量の浪江町津島住民は3月16日までには全員避難していない可能性が大きい。

注5:
①この改定されたデータや現実的な線量推定値は、大量のプルームによる吸入摂取や野菜等からの経口摂取内部被ばくを矮小化した結果、内部被ばく線量は劇的に減少。3月15~16日にかけての大量のプルームの沈着量や沈着速度から推定すると、避難が遅れた住民は吸入摂取による甲状腺等価線量が大阪大医学部本行名誉教授からは、2桁以上矮小化されている可能性も示唆されている。

②飯館村の避難所閉鎖は3月18日。大量のプルームが流れたのは15日~16日。飯館村の避難所に避難していた住民や飯館村民は大量の内部被ばくしている可能性が大きい。国やUNSCEARが避難区域住民は15日までに全員避難完了しているから内部被ばくが無かったとの歪曲は、事実に反している事が明らかとなった。

UNSCEA報告書のパラグラフ「153」と付属資料 の「A8 2」に 「避難前や避難途中に食べ物 による線量は無視できる」とある 。しかし、東京新聞こちら特報部(2021年4月5付け)によると、浪江町津島地区には避難途中の町民八千人が立ち寄った。津島地区内のIさんが「露地栽培の野菜を炊き出し用に持ち寄った。」と証言。

 


[ii] T. Kato and K. Yamada, CLINICAL ONCOLOGY AND RESEARCH 2022 5 May. https://www.sciencerepository.org/individual-dose-response-and-radiation_COR-2022-2-102


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