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甲状腺評価部会長・鈴木元氏への公開質問(その1)

391名もの甲状腺がん患者が出ているにも関わらず、未だに放射能の影響を認めていない。それは甲状腺検査評価部会長の鈴木元氏が、誤った食被ばく線量評価と真っ当な疫学の基本知識がない事によりものである。福島医大から出て来る資料も鈴木元の誤った知見の影響を受けている。そこで以下の公開質問を福島県に提出した。


福島県・県民健康調査課 
佐藤課長殿                         
cc甲状腺検査評価部会 鈴木元部会長殿   2024年11月19日
              委員各位殿
  県民健康調査検討委員会 委員各位殿
      福島医大・県民健康管理センター長殿


   鈴木元氏への公開質問(その1)
~第23回 甲状腺検査評価部の記者会見時の質疑応答から~

11月15日に開催された第23回甲状腺検査評価部会の記者会見時の質問(初期被ばく線量評価に関する)に対する、鈴木元・評価部会長の発言・回答を多くの学者らに動画を見てもらい(文字起こし:添付参照)、検証したところ、鈴木元氏の発言には多くの間違いや誤認(確信犯?)がある事が明らかになりました。

 また鈴木元氏はUNSCEAR2020/2021報告書に強く関与している事が明らかになっています。そこで、その『問題点と誤り』について、以下まとめ、更に疑問について『公開質問』を作成しました。

 2週間を目途に公開質問に、ご回答いただきますようお願いいたします。
今後の甲状腺検査の在り方や甲状腺がん患者への支援に大きく影響を与えるものですので、福島県には従来のような個別には対応しないというものでななく、真摯な対応が求められます。
 今回の公開質問によって、隠された真相が明らかになり、正しい次のステップに進む事ができます。

この矮小化された初期被ばくが正しく評価されていれば、検討委員会も評価部会も福島県も、とっくに甲状腺がんと被ばくの影響を認め、甲状腺がん患者への支援や、適切な甲状腺検査がされる事になり、より早期発見、早期治療、早期支援が実現したはずです。
 一刻も早く、正しい結論に導き、福島県(医大や委員会含む)を信頼回復させ、391名もの甲状腺患者や、今後発見される甲状腺がん患者への、迅速で適切な、抜本的な施策を実施してください。


尚、記者会見での質疑応答の書き起こし(一部)は別紙をご覧ください。
鈴木元氏の発言の問題点と誤り(環境省の包括研究論文含む)を下記します。

     【問題点と誤り】

1. 初期被ばく評価における問題

   寺田2020のシミュレーションを基にした初期被ばくの線量評価が過小評価であることを指摘されながら、これを正当化し、代替となる再現性の高いシミュレーションを使用しない理由が不明確。


   ATDM(大気拡散モデル)で評価していると述べているが、その不確実性や補正プロセスの詳細な根拠が示されていない。

寺田2020の評価モデルは、中通り地域における空間線量率と地表沈着密度 が実際よりも1/10程度低く見積もられているという指摘がある。 それ以前の寺田2013UNSCEAR2013のモデルでは中通りを広く覆うプルームが考慮されており、吸入による内部被ばくの評価がより正確であった可能性がある。

★中通りにおける沈着スケーリングの適用(包括研究論文)

※甲状腺評価部会で報告されている県立医大大平氏らの症例対照研究で甲状腺線量として使われている鈴木氏らの論文[]では、沈着スケーリング補正をする前の寺田ATDMを直接採用して個人線量をシミュレーションしているため、UNSCEAR2020/2021よりも大幅過小評価(福島市(約1/301/50)である。

※更に、鈴木氏らは「将来的には、寺田2020ATDMと個人行動記録を組み合わせて個人被ばく線量を推定するこの方法論はFDNPS事故後の甲状腺がんの疫学調査に役立つだろう。」と言っている。

[1] Estimation of childrens thyroid equivalent doses in 16 municipalities after the Fukushima Daiichi Nuclear Power Station accident
Gen Suzuki, Tetsuo Ishikawa, Takashi Ohba, Arifumi Hasegawa, Haruyasu Nagai, Hirokazu Miyatake, Nobuaki Yoshizawa

https://academic.oup.com/jrr/article/63/6/796/6701780

2. 甲状腺被ばく実測値のサンプルサイズの問題

   長崎大学のWBC(ホールボディカウンター)および床次氏の実測値を引用して、被ばく評価の正当性を主張しているが、19歳以下のサンプル数が8名と非常に少数であり、これをもって評価全体を代表するのは統計的に不適切である。


   数少ないサンプル数で、中央値4.2mSv、最大値23mSvという結果を評価全体と一致していると結論づけるのは、学術的にも不適切である。

3.内部被ばく評価の欠如

     呼吸(吸入摂取)による初期内部被ばく評価が省略・矮小化され、汚染された露地野菜や3月22日の出荷制限まで市場に出回った野菜や牛乳を摂取したにも関わらず、水道汚染のみで評価している点が科学的に不十分。


    「中通りまでいくと大気中の空気からの吸入線量はμSvレベルで非常に低くなっている」という事は、寺田ATDMによって極めて低く評価したので、たとえ10倍にしても問題にならないほどの線量であるという事になる3月15日~16日のプルームを捉えていないTerada2020を根拠にしているとすれば、線量評価を矮小化している、鈴木元氏の論文や発言の責任は重大。

寺田2020ADTMで、その根拠となるデータや計算プロセス、当日の気象条件によって霧箱効果が発生し、SPM検出がゼロになるという検証(※)も、十分に説明されていない。

霧箱効果がサイクロン内で起これば、SPMは濾紙まで到達できない。故に、SPMが濾紙まで到達できないかどうかを、福島市中部近くにある南町局について調べると、最も多量の放射性物質が放出された315 日から16日にかけては,霧箱効果が起こりえる気象条件であり、プルーム中のSPM検出はほぼゼロである。
  (詳細は添付資料 黒川資料を参照)

4. UNSCEAR報告書との関与の透明性

   「私たちUNSCEAR」という発言が、鈴木氏自身がUNSCEAR報告書の線量評価に深く関与していることを暴露している。この場合、評価の中立性や公正性が損なわれている可能性がある。


②鈴木元氏は国内対応委員で、現在は甲状腺評価部会長である。更に鈴木氏が書いた避難地域住民の被ばく線量値を矮小化し纏めた『40の避難シナリオ』論文をUNSCEARは全面的に採用している

③2022年7月21日にいわき市で開催されたパブリック・ミーティングで執筆者の一人であるバロノフ氏が、日本人の甲状腺への取り込み率を1/2にしたのは鈴木氏の提言を採用したものだったと暴露した。この暴露で鈴木氏の強い関与が実証された。

④屋内退避による吸入被ばくの線量低減係数が 、2013年報告では 福島県民全員が寒空の中、屋外にいたという評価になっていた。それを 50%の屋内退避効果があるとして再評価し、被ばく線量値を1/2にした。

       ※屋内退避効果を1/2にした理由や背景について、ある専門家は、「屋内退避による吸入の低減効果0.5は、JAEAの実験データに基づきUNSCAERが決定したものであり、正確には、JAEAの実験データに基づき、鈴木元先生がばらつき(0.1から1)の中央値として用いたものを、UNSCEARが採用したのです。」ここでも鈴木氏の線量矮小化工作が暴露された。

5.過剰な自己正当化

10倍の誤差があっても問題にならないという説明は、被ばく影響が健康や住民の信頼に直結する点を軽視している。これは中通りの住民の内部被ばくを矮小化している結果である。

    【公開質問】

質問1: 寺田2020の評価基準の過小評価について

   寺田2020のシミュレーションが空間線量率や地表沈着密度で実際の値の1/10という過小評価であるとの指摘があるにもかかわらず、そのデータを基にした評価を続けている理由は何ですか?

※寺田2020では、315日の最大プルームが、浜通りに集中し、福島市・郡山市のある中通りに殆ど流れていない。寺田2020以前のATDMではUNSCEAR2013で使われた寺田2013を含めて、殆ど中通りを覆っており、吸入による内部被ばくを寺田2020よりはよりよく評価できる可能性がある。寺田2020を採用したのはなぜか。

   なぜ寺田2020という過小評価が疑われるモデルを採用したのか。特に最大プルームが中通りをほとんど流れていないとする事実に反する寺田2020ATDMを採用したのは、福島県全体の被ばくを過小評価する意図であったと考えられるが如何か。

   過小評価の可能性が指摘される中、再現性が高いシミュレーションデータを採用しない理由を具体的に説明してください。

   なぜUNSCEARが大幅修正した値よりもさらに低い線量を採用し、個人線量のシミュレーションシステムを構築したのか。その妥当性について説明してください。

質問2: 甲状腺被ばくの統計的妥当性について

1080人の甲状腺直接測定値を再現するためとの記載があるが、BG値の測定方法に問題があり、BG値を引きすぎており、半数以上がマイナス値を示した1080人測定が全く誤りであることは周知の事実である。1080人の甲状腺直接測定値が正しいとする科学的根拠を示してください。
(詳細は添付本行資料『福島原発事故の線量評価について』P13,P14,P15をご覧ください。)

   長崎大学WBCおよび床次氏の実測値が評価と一致していると主張されていますが、床次氏の実測値は19歳以下のサンプルが8名に過ぎない点を踏まえ、それが全体の評価と一致しているとする科学的根拠を明確にしてください。

   非常に少ないサンプルサイズでの一致を主張することが、評価全体を代表するものとして適切だと考える理由は何ですか?

質問3: 内部被ばくの評価手法について

①呼吸による内部被ばく評価を「μSvレベルで問題ない」と述べていますが、その具体的なデータおよび評価プロセスを示してください。          

②最大の放射性物質が放出された3月15日~15日のプルームを捉えていない原因は何かを示してください。

※中通り地方のプルームを捉えていないTerada2020を前提とした誤った線量評価である事が明らかとなりました。最も多量の放射性物質が放出された315 日から16日にかけては,霧箱効果が起こりえる気象条件であり、プルーム中のSPM(大気浮遊粒子)検出はほぼゼロである可能性がある事が判明しました。(詳細は添付『黒川資料』をご覧ください)

③水道汚染のみを基に経口摂取の初期内部被ばくを評価する手法の妥当性について、科学的な根拠を説明してください。(以下④の関連性についても説明下さい)

④避難者は避難所(津島)で汚染された露地栽培の野菜を食べています。また出荷制限(3月24日)が出るまで、道の駅や地元販売所等で汚染された野菜や牛乳を摂取しています(詳細下記)。
これらの経口摂取の内部被ばくを無視(注)していますが、その理由を説明ください。 
 
 注:20113月に自家栽培の野菜を摂取した住民がいたと言われているが、その割合、あるいは摂 取量や摂取期間は不明である。 (鈴木元 2021年環境省報告書より)

★ 経口摂取実例の詳細は以下をご覧ください。
(詳細は添付本行資料『福島原発事故の線量評価について』のP7をご覧ください。

 ※福島県内各地でI-13110,000Bq/kg以上の野菜が3月22日まで出荷されていた。
  OurPlanet-TV  https://www.ourplanet-tv.org/44603
 ※浪江町民が津島に避難した312日以降、避難先で路地野菜の炊き出しを食べた。
     https://www.asahi.com/articles/DA3S14471890.html
 ※31617日の川俣町の原乳が県内でヨーグルト加工し出荷(注)
     https://togetter.com/li/677668
 ※事故後10日間廃棄処分の牛乳を3世帯で飲んでいた。         https://www.asahi.com/articles/DA3S14471890.htmlhttps://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000015iif.html (厚労省HPより)
 ※農産物や牛乳等の出荷制限(323日)や摂取制限(324日)まで自家栽培 や市場で出回った野菜を食べていた。

 またUNSCEARへ提出した以下の公開質問をご覧ください。
   【国連科学委員会2020レポートへの公開質問と回答】
    前半:https://nimosaku.blog.ss-blog.jp/2022-01-20
    後半:https://nimosaku.blog.ss-blog.jp/2022-01-21

⑤ 甲状腺への取り込み率を1/2にした科学的根拠を明らかにしてください。

※日本の小児のヨウ素子摂取量は世界標準範囲です。県民健康調査の小児の尿中ヨウ素摂取量も世界標準です。(詳細は添付本行資料『福島原発事故の線量評価について』のP5をご覧ください。)

※2022年7月21日にいわき市で開催されたパブリック・ミーティングで執筆者の一人であるバロノフ氏が、日本人の甲状腺への取り込み率を1/2にしたのは鈴木氏の提言を採用したものだったと暴露した。この暴露で鈴木氏の強い関与が実証された。

   屋内退避効果を1/2にした科学的根拠を明らかにしてください。
(0.1~1.0の中央値の0.5を採用した科学的な根拠)


※屋内退避後プルーム過ぎ去っても窓を閉じたままであると、プルームが室内に滞留し、長時間内部被ばくを続ける事になり、屋内退避効果はまったくない事が名古屋大学の山澤教授の資料から明らかになっています。

(詳細は添付本行資料『福島原発事故の線量評価について』のP6をご覧ください。)

※屋内退避効果を1/2にした理由や背景について、ある専門家は、「屋内退避による吸入の低減効果0.5は、JAEAの実験データに基づきUNSCAERが決定したものであり、正確には、JAEAの実験データに基づき、鈴木元先生がばらつき(0.1から1)の中央値として用いたものを、UNSCEARが採用したのです。」ここでも鈴木氏の線量矮小化工作が暴露された。

⑦ 23回甲状腺評価検査評価部会の資料7-3,7-4の推計被ばく線量は内部被ばくと外部被ばくの合算値を使用とあります。以下について開示ください。
1)内部被ばくを算出した根拠としたデータ
2)その計算過程・計算方法・計算式(浜通り:3例程度、中通り2~3例程度、会津2例程度)3)その計算結果が正しいとする科学的根拠も示してください。

UNSCEAR2020/2021報告書AttachmentA21 FigA-21..58によれば、避難者の甲状腺推定被ばく線量のうち、例えばシナリオ29(南相馬小高区→原町区宇→いわき市→県外)の1008名の住民の最大被ばくは1歳児で700mGyです。央値や平均値では個人の被ばくは考慮されていません。平均値とは23倍、中央値とは100倍の差があります。それぞれの最大被ばくをした個人はどのように考慮したのか、教えてください。
(詳細は添付本行資料『福島原発事故の線量評価について』P10,P11,P12をご覧ください。)

質問4: UNSCEAR報告書との関与について

①「私たちUNSCEAR」という表現は、鈴木氏が報告書の内容に直接関与していることを示唆しています。UNSCEAR2020/2021報告書への鈴木氏の役割と関与の程度について具体的に説明してください。

※鈴木元氏はUNSCEAR2020/2021報告書に関する、放医研の明石眞言氏(★)らと共に、日本側の国内対応委員を務めており、現在は甲状腺評価部会長でもある。
鈴木氏が書いた避難地域住民の被ばく線量値を矮小化し纏めた『40の避難シナリオ』論文をUNSCEARは全面的に採用している

★明石眞言氏はUNSCEAR内の調整専門家グループ(全体の統括)及びUNSCEAR内の組織である日本作業グループと国内対応委員と3つのポジッションを兼務しており、UNSCEARの内外から被ばく線量を小さく見せるような論文や、鈴木元氏の線量矮小化論文を優先して取り上げ、執筆者の専門家グループに提供し、被ばく線量の矮小化に誘導する事は容易な立場であった。

UNSCEAR報告書の作成において、初期被ばく影響評価に中立性を確保するための対策はどのように講じられたのか明らかにしてください。

③外務省は『放射線の影響に関する過度の不安を払拭すべく、国内外への客観的な情報発信を促進する』報告書作成目的でUNSCEAR2013年度に約700万円の資金を提供。2017年度には改訂版作成の為、新たに7000万円拠出しています。

一方、鈴木元氏は環境省の資金を使った包括研究(平成26年度~令和3年度の8年間)で、多数の論文等だし、それがUNSCEAR2020/2021に採用されています。
いわゆる、マッチポンプとの批判も出ています。本件についても公正・中立性に関し、説明してください。

④その構図を簡単にまとめた以下の利益相反図に関する、見解をお聞かせください。
また反論する場合は利益相反が無いという事実を解説ください。

質問5: 対話集会(公開)の開催について

    鈴木氏の発言内容や論文に対し、専門家や県民から多くの疑問が寄せられています。疑問を明らかにし、鈴木氏及び福島県の信頼回復の為にも、鈴木氏に対し、専門家+県民との間で対話集会(公開)を開催する事を要請します。主催は福島県を希望します。都合の良い日程を2~3案、提示ください。


    対話集会(公開)が実現しない場合、その理由を具体的に説明してください。

関連資料は以下よりダオウンロードしてください。
(
データ量が大きい為、添付できません。本行資料のみ添付しました)

「福島での甲状腺がんをどう考えるのか?」                      

★濱岡 豊(慶應義塾大学教授、CCNE福島原発事故部会)濱岡資料
種市靖行さん(医師)              種市資料 
津田敏秀さん(岡山大学名誉教授、医師・医学博士)
 津田資料   
 ★本行忠志さん(大阪大学名誉教授、医師)     本行資料                            
★黒川眞一さん(高エネルギー加速器研究機構・名誉教授)黒川資料 

 2週間を目途に公開質問に、ご回答いただきますようお願いいたします。

今回の公開質問は、いずれも今後の甲状腺検査の在り方や甲状腺がん患者への支援に大きく影響を与えるものですので、福島県には従来のような個別には対応しないというものでななく真摯な対応求められます。隠された真相を明らかにする為の意見交換・議論によって、正しい次のステップに進む事ができます。

一刻も早く、今までの間違いを認め、是正する事により、福島県(医大や委員会含む)を信頼回復させ、391名もの甲状腺患者や、今後発見される甲状腺がん患者への、迅速で適切な、抜本的な施策実施するようお願いいたします。

尚、公開質問(その2)、公開質問(その3)も提出予定です。


質問者:UNSCEAR2020/2021報告書検証ネットワーク世話人一同
https://www.unscear2020report-verification.net/

 連絡先:×× ×
UNSCEAR2020/2021報告書検証ネットワーク世話人)




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