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汚染水海洋放出に関する東電からの回答(後半)

6月上旬に東電へ質問していた後半部分の回答が約2か月経過してようやく届いた。しかしながら、質問の番号と回答の番号は不一致。更に質問の全てに答えず、回答率は半分以下

大学入試ならせいぜい100点満点の
5点といったところ。2か月かけてもこの程度の回答しか出てこない。会社として回答するなら、チェック体制の確立も必要であろう。

何故、基本中の基本が東電にはできないのだろうか?担当課長はいろいろな対応で忙しいとの言い訳を言っていたが、それは会社全体の組織の問題であろう。柏崎・刈羽原発の再稼働を目論む労力・人材を福一の原発事故の廃炉や危機管理を最優先させ、人材をシフト・補強すれば少しは解決するはずだ。

データを開示すれば、質問にも簡単に答えられる。いちいち回答書を作る必要はない。人材不足・能力不足、管理不足でプラットフォーム造りができない事が悪循環となっているようだ。そして東電のデータ・情報隠蔽体質が、更に多くの仕事量を増やしている。

このような会社が柏崎・刈羽原発を稼働させる能力が無い事は明らかであり、第二の福島原発事故を引き起こす可能性は大だ。

以下が東電からの回答書。
あまりにも酷いので、太字部分は小生が追記した箇所。(質問の番号に合わせた)

尚、東電への質問は以下ご覧ください

https://nimosaku.blog.ss-blog.jp/2023-06-12
(前半部分。今回回答の12だけ適用))

https://nimosaku.blog.ss-blog.jp/2023-06-12-1(後半部分)

    ーーー以下回答書ーーー

×××様

当社・福島第一原子力発電所の事故により、今なお、福島の皆さまをはじめ広く社会の皆さまに、大変なご負担とご心配をおかけしていることにつきまして、あらためて心より深くお詫び申し上げます。

さて、お問い合わせいただきました件(後半)について、お時間を頂戴しまして恐縮です。下記のとおり、ご回答させていただきます。

【12】
1)
ALPS7種類18塔の吸着塔を通しているが、トリチウムを除き62種類核種が本当に告示濃度限界未満まで取り除かれるのか?

★『炭素14やコバルト60、ストロンチウム90など同位元素は半減期が長く、海底堆積物や魚類への親和力がはるかに高く、人間と環境に潜在的にはるかに危険だ」と強調。
例えば炭素14の場合、トリチウムと比較すると生物濃縮指数が5万倍にのぼり、コバルト60の場合はトリチウムに比べ海底堆積土に30万倍もよく結合する。このため汚染水を放流する前に2次処理を通じてこれら放射性物質がどれほど除去されたかを公開する必要がある』と。

⇒(回答)
当社が実施した放射線環境影響評価報告書においては、トリチウム以外の放射性物質である炭素14やコバルト60も含め、海底土への蓄積や魚介類への濃縮も考慮した上で、人及び海生動植物の被ばく評価を実施した結果、国際的な安全基準を大きく下回る結果となっております。

また、この評価はIAEAの包括報告書においても、「現在東京電力により計画されているALPS処理水の放出は、人及び環境に対し、無視できるほどの放射線影響となる」と結論づけられています。

https://www.iaea.org/sites/default/files/23/07/final_alps_es_japanese_for_iaea_website.pdf

当社は、ALPS処理水の海洋放出にあたり、希釈および放出する前に必ず、測定・確認用設備で69核種を測定し、その結果を当社「処理水ポータルサイト」中の「測定・確認用設備の状況」ページにて公開します。B群については既に当該ホームページでデータを公開しておりますのでご確認ください。

https://www.tepco.co.jp/decommission/progress/watertreatment/measurementfacility/

【13】【12】2)の前半部分
★『放流される場合、海水と海洋生物、海底堆積物のモニタリングに地域の漁民と独立的な専門家が参加しなければいけない』と言っているが、JAEAは独立した第3者機関といえるのか?

⇒(回答)
希釈前のALPS処理水の分析として、東京電力ではなく国が第三者機関としてJAEAに対して委託するものであり、当社からの委託で実施するものではありません。

【14】→【12】 2)の後半部分
★『福島大学』+『他大学(東京大学等)』+『NPOたらちね』+『福島県漁業組合』+『福島県』で構成された第三者機関を設立したらどうか?

⇒(回答)
ご意見として拝聴します。

【15】→【12】3②
★放射能濃度確認はJAEAが実施するのか?この測定には第三者機関が実施すべきではないか?

⇒(回答)
希釈前のALPS処理水の放射能濃度の確認は、当社のグループ会社である東京パワーテクノロジーが実施する ほか、当社が委託する株式会社化研が実施します。当社が委託する外部機関は、当社とは資本関係が無く、分析に必要な能力(設備、力量)を有する分析機関を選定しています。さらに、国が第三者機関として選定した委託先であるJAEAも分析を実施します。

【12】3)①.③:未回答

【13】:未回答

【14】:未回答

【15】1)の上部:未回答

【17】→【15】1)の下部の質問

★港湾や外洋において放射性セシウムで汚染された魚介類が見つかる原因は何か?

2017年以降2022年末までの港湾内魚介類:22000 Bq/kg《ほぼ90%以上が検出限界値以上》(外洋においての原因だけご教示願います)

⇒(回答)
外洋において、基準値を超える魚が漁獲されることについては、汚染メカニズムの解明に向け、国にも調査いただいているところです。漁獲された魚が、港湾内に棲息していた魚が出て行ったものなのか、あるいは違うのかなど、現時点で確定的なことは申し上げられない状況と認識しています。

福島第一原子力発電所の港湾では、魚類移動防止対策として、港湾口においては四重の底刺し網等、港湾内においては多数の移動防止網や刺し網等を設置するとともに、抜本的な対策として、敷地内の放射能濃度の低減に向けた構内排水路の清掃、敷地内のフェーシングなどに取り組み、港湾内の放射能濃度低減に努めているところです。

引き続き、漁業関係者の皆さまのご意見を伺いながら、魚類の移動防止対策や、港湾内魚類の刺し網による採捕・駆除対策を継続する等の対策に努めるとともに、港湾内の放射能濃度の低減に向けた構内排水路の清掃や敷地内のフェーシングなどの環境改善に係る取り組みも実施していきます。

【16】【18】→【15】2)
2017年以降、港湾の海水と魚介類の放射性セシウム濃度は殆ど減少していない。護岸遮水壁と凍土遮水壁の設置は無意味だったのではないのか。他の対策をしないのはなぜか?(遮水壁を設置しなければもっと酷い汚染が起きていたと考えるのか?)

⇒(回答)
発電所からの放射性物質の港湾内への流出の影響については、港湾内の海水濃度は海側遮水壁の閉合以降低下しており、周辺監視区域外の水中における告示の濃度限度と比較すると、主な放射性物質であるセシウム137、ストロンチウム90の平均濃度は告示濃度限度を十分下回っている状況が継続しています。(放射線データの概要参照)

海洋への放射性物質の流出低減策として、敷地の除染及びフェーシング、道路及び排水路の清掃、建屋上のガレキ撤去、排水路及び建屋雨樋への浄化材の設置を進めており、引き続き流出の抑制に努めていきます。

放射線データの概要https://www.tepco.co.jp/decommission/information/newsrelease/radiation_data/pdf/2023/ad_20230601.pdf

【16】:未回答

【17】:未回答

【19】→【18】1)の前半部分のみ
★汚染地下水に含まれる高濃度ストロンチウム90(全ベータ)の起源はどのように考えるか放射性セシウムとストロンチウム90の濃度が炉工学的には整合していない(核分裂収率と半減期は90Sr137Csはほぼ等しいので、地下水の汚染源になったはずのデブリでは両核種の比はほぼ1になる)が、これはデブリ形成の際の溶融温度の差で両核種が分別したと考えてよいのか?

⇒(回答)
測定・評価対象核種の選定に当たって、原子炉内の放射性物質量の評価を行っており、ストロンチウム90とセシウム137の量は、ほぼ同量と評価しています。

建屋内滞留水中のこれら2核種の濃度が違う理由は、周期表上も異なる族に属する違う元素であることから、水への移行のしやすさが異なることが原因と考えられます。

 【20】→【18】1)の後半部分
★高温で溶融したデブリでは放射性セシウムは大気に揮発してデブリ中では枯渇したが、低温溶融では残っている。ストロンチウム90は全てのデブリに残留している。フクイチ構外の環境でストロンチウム90濃度が異常に低いのはそのためか?

⇒(回答)
2核種の濃度が違う理由については、周期表上も異なる族に属する違う元素であることから、水への移行のしやすさや揮発性などの物理的・化学的な特性が異なることが原因と考えられます。

【21】→【18】2)
★現在、地下水によってデブリから溶出、漏洩していると考えられる全ベータ(ストロンチウム90と放射性セシウム)については放射線防護上、リスクはないと考えているのか。リスクがあるなら早急な対策が必要ではないのか?

⇒(回答)
建屋内滞留水に含まれるセシウム・ストロンチウムについては、セシウム吸着装置(KURIONSARRYSARRY-)による浄化に加え、ALPSにより浄化した上でタンクに貯蔵することにより、敷地境界における実効線量が年間1ミリシーベルト未満となるようリスク低減を行っています。

建屋からの流出については、建屋内滞留水の水位が建屋周辺の地下水位よりも低くなるように管理しているため、考え難いです。さらに海側遮水壁も設置しており、海洋の放射性物質濃度が低いことを定期的なモニタリングにより確認しています。

【19】:未回答

【20】①、②:未回答

【22】【20】③に相当?
★廃炉まで30~40年としていますが、東電が考える『廃炉』というのはどのような状況になる事と定義していますか?

⇒(回答)
福島第一原子力発電所の「廃炉」は(放射性物質によるリスクから人と環境を守るための)継続的なリスク低減を進めることであり、福島第一原子力発電所の場合、具体的には、汚染水対策、処理水対策、プール燃料取り出し、燃料デブリ取り出し、廃棄物対策を実施することです。

【23】→この質問はしていない。
★廃炉の全体像が見えにくくなっています。あえて、全体像を見えにくくしているのでしょうか?あるいは全体像が描けない状況でしょうか 

⇒(回答)
福島第一原子力発電所の廃炉作業は世界でも前例のない取り組みであり、今後の進むべき大きな目標である中長期ロードマップや原子力規制委員会のリスクマップをベースに、徐々に得られる新たな情報や知見をふまえ、「廃炉中長期実行プラン」を柔軟に見直し、3040 年後の廃止措置終了に向け、作業員および周辺環境の安全を最優先に、計画的に対応を進めてまいります。

【24】【20】④
★廃炉まで30~40年としています。既に事故から13年以上も経過しています。現時点で廃炉(定義による)の工程の何%が進捗していると考えていますか?

⇒(回答)
既に中長期ロードマップ等でお示ししている通り、廃炉作業は 30 年から 40 年を時間軸として進めております。
また、事故発生から12年が経過し、これまでの緊急的に取り組まざるを得ない状態から、先々を見越し計画的に進めていく状態へと移り変わってまいりました。

この間、汚染水対策や使用済燃料プール内の燃料取り出しなど、相対的にリスクが高く優先順位が高いものについては、着実に進展してきたものと考えております。

福島第一の廃炉作業では今後も前例のない取り組みが続きますが、これまでの取り組みで得られた知見や経験、そして国内外の叡智を活用しながら、廃炉を着実に進めてまいります。

【21】:未回答


以上

当社は、原子力事故の当事者として、事業運営への信頼回復に努めるとともに、「復興と廃炉の両立」の大原則のもと、福島第一原子力発電所の廃炉・汚染水・処理水対策を、安全確保を最優先に一つひとつ着実に進めるとともに、処理水に関する正確な情報を、社会のみなさまへ迅速かつ透明性高くお届けする取組を徹底してまいります。

            
                 2023
87
             東京電力ホールディングス株式会社



尚、前半部分の回答は以下ご覧ください。
https://nimosaku.blog.ss-blog.jp/2023-07-03

関連記事は以下ご覧ください。
『東電が考える「廃炉」の定義唖然』
https://nimosaku.blog.ss-blog.jp/2023-08-09






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