SSブログ

海洋放出の正当化に関すると東電への質問

7月28日に東電に対し「海洋放出の正当化」について以下の質問を提出した。2週間を目途にとの要望だが、本日現在(8月18日)現在、回答は無い。
同じ内容で経産省にも質問提出している。

  ーーー以下転載ーー

福島第一廃炉促進カンパニー御中
cc廃炉コミュニケーションセンター・企画グループ
 


以下質問いたします。

2週間程度を目途に、ご回答頂きたくお願いいたします。

日本政府の正当化に関する説明はまさに『合意の捏造、歪曲』満載であり、日本の法律およびSDGs違反と考えています。

最終判断および最終責任は東電にあります。国民から納得・信頼されていない現状では海洋放出は不可能である事は明らかです。

以下質問です。

1.日本政府への疑問((詳細は注1参照)

海洋放出を閣議決定以前に、政府と東電はどのようなプロセスで正当化を検討したのか?その定量的な検討プロセスとその結果が明らかになっていない。詳細を明らかにすべき。

IAEAは『正当化の責任は日本政府にある』『日本政府がたどった正当化プロセスの詳細に関する評価は含まれていない。』※としている。

IAEAの包括定報告書の2.3項の正当化には以下の記載がある。
『日本政府からIAEAに対し、ALPS処理水の海洋排出に関連する国際安全基準の適用を審査するよう要請があったのは、日本政府の決定後であった。したがって、今回のIAEAの安全審査の範囲には、日本政府がたどった正当化プロセスの詳細に関する評価は含まれていない。

①IAEAは『ALPS処理水の管理方法に関する最終的な選択を正当化する意思決定プロセスが日本政府によって踏まれたことに留意する。』としている。

②日本政府は太平洋諸国(PIFs)の質問に対し『ALPS 処理水の排出は「個々の側面」に相当し、福島第一原子力発電所(FDNPS)の廃炉は「全体的な慣行」に相当すると理解している。』と回答。


③IAEAは『IAEAの審査を通じて、日本政府によって特定されたアプローチに基づく東京電力の申請は、規制機関である規制委によって審査・承認されたことが認められた。」と言っている

【質問1】

     IAEAは単に留意すると記載。日本政府の正当化を認めたわけではない。

IAEAと日本政府の言っている事は矛盾だらけのまやかしであり、まさに欺瞞と言っていい。
経産省や東電によって正当化?はどのように評価したのか、その評価過程も含めた資料または議事録を開示して欲しい。


2.日本政府の「正当化」主張

     太平洋諸国・近隣諸国の利害を考慮したかの質問に日本政府は日本政府は、『ALP処理水の排出は「個々の側面」に相当し、福島第一原子力発電所(FDNPS)の廃炉は「全体的な慣行」に相当すると理解している。』と文書で回答

     IAEAは『FDNPSに貯留されるALPS処理水の管理方法の最終的な選択の 正当化は、多くの利害関係者にとって極めて重要であり、日本政府から明確な説明がなされるべきものである。』と包括的報告書で述べている。

すなわち、IAEAは海洋放出に関する正当化については日本政府が明確に説明すべきと、真っ向から日本政府の海洋放出は個別問題とする事を否定している。

【質問2】
この矛盾と欺瞞・まやかしに対し、経産省及び東電は、この事に関しどう評価したのか?
そのプロセスも含めた資料や議事録を公開して欲しい。


【以下ご参考】

202361日にオンラインで実施された集中対話の中で、PIF専門家パネルのメンバーの人が、
計画されているALPS処理水の排出の正当性の問題を提起した。
その際、彼はIAEA安全基準シリーズNo.GSG-8(公衆および環境の放射線防護)の2.11項に言及
した。同項は以下の通りである:

2.11. 計画的被ばく状況において、正当化とは、ある行為が全体として有益であるかどうか、すなわち、その行為を導入または継続することによって個人および社会に期待される便益が、その行為によって生じる害(放射線による不利益を含む)を上回るかどうかを判断するプロセスである。
便益は、個人と社会全体に適用され、環境への便益も含まれる。放射線の害は、害全体のほんの
一部に過ぎないかもしれない。
このように正当化は、放射線防護の範囲をはるかに超え、経済的、社会的、環境的要因の考慮も含む。

1)専門家は、日本政府(GOJ)、特に原子力規制委員会(NRA)が、GSG-82.11項に従って、ALPS処理水の排出に起因するPICsを含む近隣諸国への利益と損害を考慮したかどうかを質問した。

2) 61日の対話終了時に、PIF事務局は日本側に対し、問題の点について日本が提供することを
望む説明や文書を提供するよう要請した。本ノートは、日本政府の立場を明確にするため、この要請に応えて作成したものである。

その文書の一部が以下。

 【6.29政府文書】 

10:
GSG-92.3項:「正当化は全体的な実施に適用されるものであり、排出のような個別の側面には適用されない」。日本政府は、ALPS 処理水の排出は「個々の側面」に相当し、福島第一原子力発電所の廃炉は「全体的な慣行」に相当すると理解している。

11:
従ってALPS処理水の海洋放出に関する日本政府の見解は、FDNPSの廃止措置プロセス全体(ALPS処理水の海洋放出を含む)についてその正当化を判断すべきである。

これに対しIAEAの包括的報告書には以下の記載がある。

『処理水をどのように扱うか、またその決定がどのように正当化されるかを決定する最終決定権は日本政府にある。とはいえ、FDNPSに貯留されるALPS処理水の管理方法の最終的な選択の 正当性は、多くの利害関係者にとって極めて重要であり、日本政府から明確な説明がなされる べきものである。』

すなわち、IAEAは海洋放出に関する正当化については日本政府が明確に説明すべきと、真っ向から日本政府の海洋放出は個別問題とする事を否定している。

IAEA安全基準GSG-92.3項の原文が以下。

2.3. Justification applies to the overall practice and not to individual aspects of the practice, such asdischarges, which can be authorized or exempted from the requirement for an authorization only if the practice as a whole is already regarded as justified.

【日本語訳】

2.3. 正当化は、実施全体に適用されるのであって、排出のような実施 の個々の側面には適用されない。これらの側面は、実施全体がすでに正当化され ているとみなされる場合にのみ、認可されたり、認可の要件から免除されたりする。

3. 海洋放出は日本の法令と国連が推奨するSDGsの14章『海の豊かさを守ろう』に違反。 

水産資源保護法違反
(水産動植物に有害な物の遺棄の制限等に関する命令)

第四条 農林水産大臣又は都道府県知事は、水産資源の保護培養のために必要があると認めるときは、次に掲げる事項に関して、農林水産省令又は規則を定めることができる。

一 水産動植物に有害な物の遺棄又は漏せ()()その他水産動植物に有害な水質の汚濁に関する制限又は禁止

ある専門家は「海洋放出は水産資源保護法違反だ」と指摘。同法は、第4条で「水産動植物に有害な
物の遺棄又は漏せつその他水産動植物に有害な水質の汚濁に関する制限又は禁止」を明記している。

「水産生物に悪影響を及ぼす汚染物質を垂れ流す東電の行為は犯罪行為。政府や東電幹部など海洋放出の責任者は刑事訴追されるべき。実際に、工場から廃液を垂れ流したことで実刑になったケースもある。」

【質問3-1】経産省及び東電はどう評価したのか?ご見解を聞かせてください。            

SDGs違反

外務省のHPには以下の記載がある。

20159月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された,2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。

17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」
ことを誓っています。
SDGs
は発展途上国のみならず,先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり,日本としても積極的に取り組んでいます。』

SDGsの『14.海の豊かさを守ろう』には以下の目標が記載されている。

14-1
2025年までに、海洋ごみや富栄養化など、特に陸上の人間の活動によるものをふくめ、あらゆる海の汚染をふせぎ、大きく減らす。

※富栄養化:水の中に、プランクトンなどの生物にとって栄養となる成分(リンやちっ素など)が増えすぎてしまうこと。赤潮の原因になるなど、生態系に影響を与えるといわれている。

14-2
2020
年までに、海と沿岸の生態系に重大な悪い影響がでないように、回復力を高めることなどによって、持続的な管理や保護をおこなう。健全で生産的な海を実現できるように、海と沿岸の生態系を回復させるための取り組みをおこなう。

【質問3-2】
海洋放出はSDGsのアジェンダと逆行し、違反しないか?経産省及び東電はどう評価したのか?ご見解を聞かせてください。

4.希釈の理由の明示が無い。(詳細は注2参照)

IAEA報告書は「希釈が放射線防護と安全の目的で行われることを意味しないように注意する必要」があり、「希釈の理由を明確に示すべきであると助言した」(41頁)と述べている。「薄めるから安全」は成り立たないのである。政府と東電は希釈の理由と正当化について説明されていない。絶対量は変わらない。尚、基準値は電力会社の都合で決めた値で、国が追認したもの。

【質問4】本件、経産省及び東電はどう評価したのか?

5.海洋放出の手段は最も高価
海洋放出にかかる費用はいくらと見積もっているか?タスクフォースで経産省の事務局が提示したそれぞれ対策費は間違っていないか?海洋放出を誘導する為の虚偽データではないか?その見積もり条件に風評被害対策費や海外からの輸入制限による損害、国内外から訴えられた場合の賠償金は含まれていない。

この事によって、34億程度と最も安い海洋放出の手段を選んだ日本は、風評被害対策費等に
,150億円(数年間?国内だけではすまず輸出分の補填も含めればこれですまない。)
中国からの輸入制限(昨年の海産物の中国への輸出額は870億円
/年間)と、香港への輸出額は
550億円/年間。総額で最も価格の高い手段を選んだ事になる。

https://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/hairo_osensui/pdf/sesaku_2301.pdf

【質問5】
経産省と東電はタスクフォースの虚偽データをどう評価したのか?タスクフォースはやり直しすべきではないか?

6.タスクフォースの検討には最初から①大型タンクの設置や②土地拡大の方策③コンクリリート固化、④タンカー保管等有識者や市民の提案が含まれていなかった。事務局(経産省)の偏った思惑で議論が進められてきた。

【質問6】
東電(または経産省)はタスクフォースの検討結果にどう関与したのか?この検討結果や検討プロセスをどう捉えてか?
タスクフォースはメンバー入れ替えてやり直すべきではないのか?

7.海洋放出時の拡散シミュレーション結果は明確になっていない。北太平洋諸国(アメリカ、カナダ、特にハワイ)や太平洋諸国、日本の漁連や市民にどう説明したのか?経産省や東電から説明を聞いた事が無い。何故説明しないのか?隠蔽していると言わざるを得ない。

【質問7】
経産省及び東電は海洋放出後の拡散をどう評価し、太平洋諸国や隣国、関係者にどう説明したのか?又、その評価プロセスと結果を開示願いたい。


注1:IAEA包括的報告書の3.2項より
正当化は、放射線防護の国際基準の基本原則である。つまり、放射線被曝の状況を変えるよう
な決定は、害よりも益をもたらすものでなければならない。GSRパート3

[8]、「政府または規制機関は、必要に応じて、あらゆる種類の慣行の正当化のための規定が設けられ、必要に応じて正当化の見直しが行われるようにしなければならず、正当化された慣行のみが許可されるようにしなければならない。

GSG-8[10]2.11項で、「計画的被ばく状況において、正当化とは、その実施 が全体として有益であるかどうかを判断するプロセスである。すなわち、その実施 を導入または継続することによって個人および社会に期待される便益が、その実施に よって生じる害(放射線による不利益を含む)を上回るかどうかを判断するプロセスで ある」と述べている。

便益は、個人と社会全体に適用され、環境への便益も含まれる。放射線の害は、害全体のほんの一部に過ぎないかもしれない。正当化は以下のようになる。

放射線防護の範疇をはるかに超え、経済的、社会的、環境的要因も考慮する必要がある」。日本政府からIAEAに対し、ALPS処理水の海洋排出に関連する国際安全基準の適用を審査するよう要請があったのは、日本政府の決定後であった。したがって、今回のIAEAの安全審査の範囲には、日本政府がたどった正当化プロセスの詳細に関する評価は含まれていない。

しかしながら、IAEAは、日本政府が公表した過去の詳細(第1部参照)、およびFDNPSにおける他の廃止措置作業へのIAEAの関与に基づき、FDNPSに保管されているALPS処理水の管理方法に関する最終的な選択を正当化する意思決定プロセスが日本政府によって踏まれたことに留意する。

さらに、IAEAの審査を通じて、日本政府によって特定されたアプローチに基づく東京電力の申請は、規制機関である規制委によって審査・承認されたことが認められた。 

処理水をどのように扱うか、またその決定がどのように正当化されるかを決定する最終決定権は日本政府にある。とはいえ、FDNPSに貯留されるALPS処理水の管理方法の最終的な選択の正当性は、多くの利害関係者にとって極めて重要であり、日本政府から明確な説明がなされるべきものである。

この説明は、20214月に日本政府が発表した基本方針、および利害関係者に提供されたさらなる説明と明確化を通じて提供されている。IAEAのレビューを通じて、タスクフォースは、計画された排出に関する利害関係者との明確で頻繁かつ適切なコミュニケーションの重要性を頻繁に強調した。この正当化決定は、放射線防護の範囲をはるかに超えており、経済的、社会的要因など、技術的な側面以外の考慮事項も多く含まれているため、IAEAがこの決定の非技術的側面についてコメントしたり分析したりすることはできない。

IAEAはまた、予想される被ばく量が少ない場合、放射線安全以外の要素(経済的、社会的など)がより重要になり、意思決定プロセスを左右する可能性があることを指摘している。さらに、GSG-9 [9]は、"正当化は活動全体に適用され、活動の個々の側面には適用されない... "と述べている。したがって、ALPS処理水の排出の正当化の問題は、本質的にFDNPSで行われている廃止措置活動全体の正当化と関連しており、より広範で複雑な検討事項の影響を受けることは明らかである。

正当化に関する決定は、利益と不利益に関連しうるすべての考慮事項が考慮されうるよう、十分に高い政府レベルで行われるべきである。原子力安全は国家的責任であるため、これは日本政府の決定事項である。

結論

・ALPS処理水の排出を正当化する責任は、日本政府にある。
・ IAEAは、日本政府がそのアプローチの正当化に至る意思決定プロセスを踏んできたことに留意する

    ⇒IAEAは日本政府の正当化を認めたわけでは無い。

注2: IAEA報告書の41ページに

The Task Force noted that applying these conservative concentration limits to discharges is resulting
in the need for dilution of the ALPS treated water prior to discharge, and that care should be taken not toimply that dilution is performed for the purposes of radiation protection and safety (the REIA considers
the amount of radioactivity released into the environment in a year rather than the concentration at which it is discharged).
The Task Force acknowledged that Japan might choose to dilute discharges for other reasons (e.g., to keeplocal radionuclide concentrations low at the point of discharge, or to manage reputational risks) and advised that the reasons for dilution should be clearly stated.

日本語訳:

タスクフォースは、これらの保守的な濃度制限を放流に適用することにより、放流前に ALPS 処理水を希釈する必要性が生じていること、および希釈が放射線防護と安全の目的で行われていることを暗示しないよう注意する必要があることを指摘した(REIA は、放流される濃度ではなく、1 年間に環境中に放出される放射能量を考慮している)。タスクフォースは、日本が他の理由(例えば、排出地点での放射性核種濃度を低く保つため、 あるいは風評リスクを管理するため)で排出を希釈することを選択する場合があることを認め、希釈の理由を 明確に示すべきであると助言した。

 

以上2週間以内を目途に、ご回答頂きたくお願いいたします。

 

 

 


nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:地域

nice! 2

コメント 0