【出版のご案内】チェルノブイリ並み被ばくで多発する福島甲状腺がん
「福島原発事故による甲状腺被ばくの真相を明らかにする会」では「チェルノブイリ並の被ばくで多発した甲状腺がんー線量過少評価で墓穴をほったUNSCEAR報告」を3月31日に出版します。
目次や申込み方法は以下ご覧ください。
http://fukushimakyoto.namaste.jp/akiraka/index.html
又は、http://natureflow.web.fc2.com/HP/index.html
『チェルノブイリ並み被ばくで多発する福島甲状腺がん』
~線量過少評価で墓穴をほったUNSCEAR報告~
出版 福島原発事故による甲状腺被ばくの真相を明らかにする会
定価1000円+税 2023年3月31日刊 印刷 耕文社
ご注文は以下で受け付けています。
https://form1ssl.fc2.com/form/?id=e5d2aa86aa692122
本書まえがき
IAEA(国際原子力機関)の1996年の会議「チェルノブイリ10年後」は、これまでの住民を放射線被ばくから防護するという任務を放棄し、原発事故の際には高汚染地帯に住民を住み続けさせる方針を決定した。この方針の大転換はICRP(国際放射線防護委員会)2007年勧告で具体化され、それが最初に福島原発事故に適用され、被ばくとその被害が系統的・組織的に隠蔽された。
2011年の福島原発事故による被ばくは本当にチェルノブイリに較べ無視できるくらい小さかったのか。本書はこの「言説」の真相に関する決定的な報告である。当会の加藤聡子・山田耕作は昨年2編の論文を発表すると共に「原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)」との論争を通じて、福島の甲状腺がんの多発がチェルノブイリ並みの初期甲状腺被ばくによることを明らかにした。
意図的な隠蔽もあり、信頼すべき被曝データがほとんど存在しない福島において、被ばくの真実の追究は極めて困難である。不確実で曖昧な暴露量と現実に発生した病気があるとき、現実に発生した小児甲状腺がんから被ばく量を推定するという方法をとり、甲状腺がん発生率をチェルノブイリと比較することによって、UNSCEAR2020/2021推定の福島の甲状腺被ばく線量が約1/50〜1/100 に過小評価されていることを明らかにした。これにより、“UNSCEARで推定された甲状腺吸収線量において、甲状腺がんの大幅な増加は予測されない、従って放射線被ばくとは無関係”というUNSCEAR2020/2021の主張のすべてが崩れた。
次いで本行論考では、UNSCEAR報告書の被ばく線量・健康影響評価に対する明快な反論がなされており、UNSCEAR報告書を読むときの座右においていただきたい力作である。
さらに本書には、UNSCEARを中心とする内外の諸組織の被ばくの過小評価の実態について、他の検証委員による詳しい報告を加えた。
これらの結果は甲状腺がんに留まらず、従来報告されている、周産期死亡率・低体重児の増加、心筋梗塞、ガンの増加などの健康被害の究明に資するものである。健康破壊が顕在化している現在、福島原発事故による健康被害の実態を明らかにし、予防・治療を支援することは緊急の課題です。それを日本政府の手で責任を持って進めるために、福島原発事故による全ての被ばく者に、安心して予防措置・検査と治療を受けられるよう健康手帳を早急に交付すべきである。
福島原発事故による甲状腺被ばくの真相を明らかにする会一同
… ……………………………………………………………… 加 藤 聡 子 3
放置を続けてはならない… 林 衛 115
チェルノブイリ並み被ばくで多発する福島甲状腺がん
http://fukushimakyoto.namaste.jp/akiraka/index.html
または
2011年の福島原発事故による被ばくは本当にチェルノブイリに較べ無視できるくらい小さかったのか。本書はこの「言説」の真相に関する決定的な報告である。
当会の加藤聡子・山田耕作は昨年2編の論文を発表すると共に「原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)」との論争を通じて、福島の甲状腺がんの多発がチェルノブイリ並みの初期甲状腺被ばくによることを明らかにした。
2023年3月
放射線による可能性を否定する証拠は存在しない
最近のツイッターの記事を転載
~非科学的な福島医大~
★『福島医大に都合の悪い論文』というのは『科学的に正しい論文』の事か?疫学学会誌の『福島特集』は、まさに非科学的論文のオンパレード。医大には自ら検証する能力は無く、すべて非科学的なUNSCEAR2020/21報告書に依拠。12年経過しても放射能との関連性が出せないでいる。県民には不幸な事!
【××医師の会】
★県民健康調査データの外部提供開始ですか。外部どころか、大学内でさえも、福島医大に都合の悪い論文は承認しないということがあったことを思い出しました。https://kahoku.news/articles/20230322khn000050.html
だんだん大学からの規制が増え、最終的には論文を専門誌に投稿することも難しくなった。
~新潟県・健康分化会の真っ当な答申~
★新潟県が原発稼働の為に健康と生活への影響を検証する健康分科会で、UNSCEAR2020/2021報告書への若干の認識不足があるようだったので、『明らかにする会』として検証結果の情報を提供した。この成果が出たのかもしれない。福島県の県民健康調査検討委員会も見習うべきだ!https://nimosaku.blog.ss-blog.jp/2023-01-13
【Mさん】
★鈴木宏・新潟大名誉教授:子どもたちの甲状腺がんについて、UNSCEARが被曝の影響ではなく「過剰診断の可能性」があるとした点に言及し、「放射線による可能性を否定する証拠は存在しない」過剰診断の割合の「定量的な検証」の必要性を指摘した。https://digital.asahi.com/articles/ASR3S6R2RR3SUOHB007.html
★津田教授の”警告!”
原因不明の病気の大多発が福島県で現在進行中。病気は不可逆的で重篤になる甲状腺がん。2015年10月にエビデンスに基づいて警告が発せられた。翌年1月に国際学会も日本政府と福島県に警告書簡を出された。それから7年半何の警告も対策もなされず病気は広がり続け数百人に達した。
原因不明ではあるが、小児青年の甲状腺がんなので原発事故が原因。しかし過剰診断という何のエビデンスもない別の原因が挙げられ、すべてがストップしている。因果推論だけして可能な対策や警告を一切しないのは公衆衛生の大失態。
原因は2つに絞られている。片方にエビデンスがないが、両方の対策をやれば良い。簡単ですぐにできる対策が警告。早く警告を発すれば、多くの患者の重症化はかなり防げる。この問題の専門分野はがんでも、放射線でも、内分泌でもない。これらの分野の無力ぶりは明らか。この専門分野はフィールド疫学。
警告!
岡山大学の津田敏秀教授が福島県内で発生している甲状腺多発の現状について、甲状腺(病気)がんのアウトブレイク(多発発症)だとして、『警告!』を発している。その警告を転載する(本人拡散希望)
福島県・甲状腺評価部会では、過剰診断と断定できる条件を提示したが、その結果がでるまでには数十年かかる。だとすれば過剰診断ではなく、放射線の影響によるものであるとする事が妥当であろう。至急対策と甲状腺患者への手厚い支援が必須だ。12年間、何一つとして進化していない。甲状腺患者を人道的にも医学的にも放置して良いはずはない。
メデイアもこの事に早く気付くべきだ。
チェルノブイリのデータでは、大人にも、事故前に比べて、事故後は3倍から5倍の多発が観察されたようだ。大人も警告が必要。
ーー以下津田教授の『警告!』を転載ーー
【警告!】
原因不明の病気の大多発が福島県で現在進行しています。病気は不可逆的で重篤になる可能性すらある甲状腺がんです。
すでに2015年10月にエビデンスに基づいて警告が発せられています。翌年1月に国際学会も日本政府と福島県に警告する書簡を出しています。それから7年半何の警告も対策もなされず病気は広がり続け数百人に達しています。
原因不明ではあるが小児青年の甲状腺がんなので、2011年3月11日の原子力発電所の過酷事故が原因です。しかし過剰診断という何のエビデンスもない別の原因が挙げられ、すべてがストップしています。因果推論だけして可能な対策や警告を一切しないのは、公衆衛生の大失態であり、やってはならないことです。
原因は2つに絞られているのだから、片方にエビデンスがないとはいえ、両方の対策をやれば良いのです。そしてまず警告です。一番簡単ですぐにできる安価な対策です。すぐに警告を発してください。早く警告を発すれば多くの患者の重症化はかなり防げまふ。そのエビデンスも出ています。
事故当時の福島県民はかなり全国に広がっています。知らない人も多い。また福島県だけではない隣接する地域も、小児青年だけではない大人に関してもエビデンスは揃っている。ここまでエビデンスが揃っているのに、黙っていてはいけません。恥ずかしがらないでください。この問題の専門分野はがんではありません。放射線でもありません。内分泌でもありません。これら分野のこの問題に関する、これまでの無力ぶりから明らかです。この専門分野はフィールド疫学です。
岡山大学環境生命科学教授
津田敏秀
311子ども甲状腺がん裁判
『3.11子ども甲状腺がん裁判』
~原告からみなさんへ~
原発事故による放射能によって300人以上の福島の子供たちが甲状腺がんに罹患しています。原発事故によって失われた彼らの人生。是非応援ください。
【311子ども甲状腺がん裁判】
3/15第5回口頭弁論の関連動画をYouTubeで公開
311甲状腺がん子ども支援ネットワーク
3/15第5回口頭弁論の関連動画(原告意見陳述、準備書面プレゼン、地裁前で流した原告からのメッセージ)をYouTubeで公開いたしました。
今回の口頭弁論で7人全員の意見陳述が終わり、YouTubeに全て公開しました。ぜひ、お聞きください。
動画はコチラから
第5回口頭弁論・第8準備書面プレゼン(只野弁護士)
<https://youtu.be/cjGOzTQVa6M>
第5回口頭弁論・第9準備書面プレゼン(井戸弁護士)
<https://youtu.be/YO44QpzGthw>
第5回口頭弁論・第10準備書面プレゼン(田辺弁護士)
<https://youtu.be/Na36zTLn2G8>
原告からみなさんへ…第5回口頭弁論
(2023年3月15日)【311子ども甲状腺がん裁判】
<https://youtu.be/XKM6IQQwuMQ>
原告1意見陳述…第5回口頭弁論
(2023年3月15日)【311子ども甲状腺がん裁判】
<https://youtu.be/hnjR9Schikc>
原告3意見陳述…第5回口頭弁論
(2023年3月15日)【311子ども甲状腺がん裁判】
<https://youtu.be/jQOMPqIGMJ0>
これまでの口頭弁論プレゼンテーションの再生リストはこちらから
<https://youtube.com/playlist?list=PL2jWFoLTxbOmdSUeA8DH1wG75eXLeX0xd>
原告意見陳述の再生リストはこちらから
<https://youtube.com/playlist?list=PL2jWFoLTxbOnB834FPkKj80HMLE1TNy4x>
311甲状腺がん子ども支援ネットワーク
事務局:さくら共同法律事務所
甲状腺多発と無能な福島医大
https://nimosaku.blog.ss-blog.jp/2023-03-14-1
甲状腺被ばく線量モニタリング実施マニュアル案に対する意見提出
「甲状腺被ばく線量モニタリング実施マニュアル案に対する意見(パブリックコメント)を提出した。但し、マニアル案はほとんど読んでいない。(読む気になれない)
所管省庁・部局名等: 原子力規制庁 長官官房放射線防護グループ 放射線 防護企画課
提出意見:
1. パブリックコメントにかける前に国民に対し
1)福島で甲状腺被ばく線量測定ができなかった(恣意的にしなかった)原因と 反省を明らかにすること。
2)このマニアルの概要を国民の前に説明する事。(パワーポイント作成は必 須)
2. この長文のマニアルを読んで誰が理解できるだろうか? もう少し理解できるように、概要をパワーポント等でまとめ自治体職員が理解で きるようにすべきだ。緊急時にこの長文マニアルは読めないし、理解できない。
3. マニアルを作成する前に基本は被ばくをさせない事が最重要。 その為には以下を実施すべき。
1)避難計画の作成(現状のインフラで100万人規模の住民を一斉に避難する 事は不可能
2)安定ヨウ素剤配布基準の見直し(PAZ住民は避難できない!)
3)安定ヨウ素剤を誰が、いつ、どのように配布するのが決まっていない状況 で、被ばくを前提とするマニアルの作成は順番が逆。このマニアルは被ばくを前 提に作成されている。
4. 甲状腺測定と体表面のスクリーニング、そして安定ヨウ素剤の配布、避難計画の提出を同時に一体的な作成が必須。
5. 上記の条件がそろっていない状況で、被ばくを前提とするマニアルは次のス テップ。パブリックコメント募集を撤回すべき。
6.このマニアル作成にあたり、検討に参加した外部専門家4人の中で鈴木元氏 はUNSCEAR2020/2021報告書作成にあたり、内部被ばく線量を無かった事 にした人物で、更に福島県の甲状腺評価部会の座長にもなっている。 このような公正・中立に欠ける外部専門家の元で作成したマニアルは信頼できな い。撤回すべきだ。
鈴木元氏がUNSCEAR2020・2021レ報告書作成に当たり、どう関与 してきたかは以下をご覧ください。
【UNSCEAR2020/2021報告書に日本側はどう関与したか(前半)】
https://nimosaku.blog.ss-blog.jp/2023-02-12
【UNSCEAR2020/2021報告書に日本側はどう関与したか(後半)】
https://nimosaku.blog.ss-blog.jp/2023-02-13
7.被ばく線量の推定方法は『今後の検討課題』としている事は、今まで鈴木元 氏らが検討してきた事は間違いだったのか?これでは対策にもならないし、マ ニュアル作成の基準値設定としても科学的根拠に欠けている。
8.『今後の検討課題』では、何の為の測定なのか、住民の健康に係る評価にはならない。
9.本人に実測値はその場で伝えなければ、目的達成にはならないし、その時に 基準や健康への被害の可能性、今後の健康管理等の資料も渡すべき。 これが医療行為(検診)の位置づけにあたるならば、検診結果を本人に伝える事 は当然の事。一体何の為の測定なのか?本末転倒になっていないか? ⇒医療法で問題にならないのか(医療行為のうちの検査結果データは本人に開 示が基本)
10.3週間以内を基本はこれで良いか(ヨウ素の線量値が4分の一程度以内に なる2週間程度を基本目標とすべきではないか? 3週間以内はマストにする必要があるのではないか?(福島の場合は1か月以上 も過ぎ、測定無意味としてしまった経緯あり)
11.避難所の規模(避難者数)と測定器(測定箇所)の数(避難者の数と2週 間以内から換算)の規定も必要。
12.19歳以下にした根拠は何か?福島では多くの高齢者が甲状腺がんになっ ている。一般的に甲状腺がんは高齢者の方が多い。 測定の優先順位は必要だが、全員測定すべき。 ヨウ素剤配布の40歳未満との整合性が取れない?ヨウ素剤は高齢者も摂取して 良い事になっている。
13.避難所の混乱が理由として19歳以下にしたすれば本末転倒であり、測定 不可能なら原発稼働を止めるのが筋だ。
14.PAZ(原発から5km圏内)住民は測定不要とした根拠は何か?PAZ住民は 取り残される可能性大。政府を信用しないPAZ以外の住民が我さきに避難し、道 路は渋滞しPAZ住民は取り残される。東海第二はまさにその典型。(100万人 以上が一斉に避難する。信頼失った政府や県の指示には従わない。個人の判断で 行動。特に高速道のインターに向かって車は渋滞し、PAZ住民は避難できない)
15.サーベイメータでの0.2μSvと甲状腺等価線量100mSvとの関係式を 明示すべき。
16.BG値をどう測定するのか?福島の1080人の例のように、BG値が大き すぎて測定結果がマイナスにならないか? →被ばく無かった事にされてしまっ た。
(このデタラメな測定結果をUNSUEAR2020/2021レポートの根拠とされ てしまった。これを主導したのが自らの失態を隠そうとUNSCEARに強く関与し た鈴木元氏と元放医研の明石眞言氏)
17.BGが0.2μSv/hの場所では0歳児の100mSvの甲状腺被ばくを測定 する事は不可能。放射能で汚染された避難所では0.2μSv以下の測定場所を探 すのは不可能。どうやって正確に測れるのか?
18.プルームが来襲してきた場合の長時間屋内退避した場合の屋内退避効果は 木造建築の家屋ではほとんどない。プルームが去ってからの窓を開けずに屋内に 留まると逆に内部被ばくが屋外よりも大きくなる。その事実がこのマニアルでは 検討されていない。UNSCEAR2020/2021報告書では鈴木元氏が屋内退避効果は 0.1から1.0の中間の0.5を採用し、内部被ばくを矮小化した。
詳細は以下ご覧ください。
【UNSCEAR2020/2021報告書に日本側はどう関与したか(前半)】
https://nimosaku.blog.ss-blog.jp/2023-02-12
19.すでに甲状腺に取り込まれたヨウ素に対する対処方法は無いのか?(24 時間以内ならば安定ヨウ素剤を飲めば少しは効果あり?)基準を超えた住民には 今後の健康管理についてもマニュアルを配布すべき
20.除染基準を40,000cpm(当初の基準の3倍)にした根拠は何か?計算式を提示すべき。40,000cpmは300mSv相当で高すぎないか?なぜ、当 初の13,000cpm(100mSv)ではなぜダメなのか?その半分の 7,000cpmぐらいにすべきではないか?
21.福島での事故時に体表面の除染の基準値を13,000cpmから 100,000cpmに上げてしまった基準との整合性は?高被ばくしながら、除 染もしてもらえなかった住民への謝罪と反省はないのか?
22.避難所の混乱を避ける為と言うなら、本末転倒。住民の健康を守る事を目的とするなら、あるべき基準(13,000cpmまたは半分の7,000 cpm)にすべき。できないなら、原発の稼働はあってはならない。
23.除染とは具体的に何を実施するのか?除染の方法も基準化し提示すべき。
福島県・検討委員会/評価部会へ「要望書」提出
1.Tsuda, Miyano & Yamamoto(2022):Environmental Health,21:77
ご検討・ご回答いただきたい大論点は以下の 3 点です。
この結果は項目3とも一致し、UNSCEAR の甲状腺線量推定値の二桁以上の過小評価をさらに裏付けるものです。この事実からも「被ばく量が少ないので甲状腺がん多発は被ばくが原因とは考えにくい」とするこれまでの見解の再検討を要望します。
この事実からも「被ばく量が少ないので甲状腺がん多発被ばくが原因とは考えにくい」とするこれまでの見解の再検討を要望します。
人体への悪影響の中には、もちろん、放射線被ばくも含まれています。医学研究者になって以来、放射線被ばくによる健康影響に関しては、私自身、研究生活の早期から研究対象の 1 つとして取り組み、この約 40 年間、研究の発展を追ってきました。そして多くの医学研究者がそうであるように、国際的に研究者や専門家により共有されているこの分野の医学知識にも通じるべく努めております。
それだけでなく、この「福島特集」の掲載諸論文での著しく均衡に欠いた引用の仕方にも気づかされます。それぞれの関係者、執筆の先生方が十分読みこなしておられない文献を根拠にしておられるようで、放射線被ばくによる健康影響を研究するために必要なはずの世界で共有されている情報が、あまり伝わっていないようです。
例えば、福島県の基本調査の要望書に毎度のように、またこの検討委員会で何度も話 題になった UNSCEAR 報告書の「100mSv 以下の被ばくではがんの多発に証明がない」という類の主張もまた、科学的根拠に反する誤った言明です。この「100mSv」という言い方については、以前から科学的根拠に反すると批判されてきており、すでに多くの論文により反証できておりました(例えば、Stewart 1958, Pierce 2000,Mathews 2013, Grant 2017 など)。
さらに、データの著しく蓄積は進み、最近では、アメリカ国立がん研究所から出された、放射線被ばくによる人体影響研究者らによる入念なメタ分析(多くの人体影響に関する原著論文を集積して定量的にまとめた系統的総説論文)の結果は(Hauptmann 2020)、明瞭に UNSCEAR による「100mSv」を反証しています。
これでは、検討委員会のご判断も大きく偏った影響を受けかねないと判断しました。これらの問題に関して、今回、UNSCEAR の報告書の解説書としてまとめたものを、ご参考のために以下からダウンロードできるようにしてあります(「UNSCEAR2020/2021 報告書・医学関係の問題点に関する簡略解説」は、現在こちらからダウンロードできます:https://x.gd/VHEXK)。
UNSCEAR は1950 年代に放射線の人体影響を問題とする科学者に対抗する形で、原子力推進の諸国からの代表を推薦するという設立経過がありますので、福島県の公衆衛生に対する関心が欠けているようにも見えます。
万一、どの情報が正しいのか分からなくなった場合は、医学的根拠、科学的根拠をたどってお互いに議論をすれば良いだけです。しかし、残念ながら現在、日本の医学会においては、医学分野全体からすると放射線健康影響というテーマが非常に限られたマイナーな存在であることもあり、その役割を十分に果たせていません。
このようなギャップを埋めるために、本書簡に添付した「UNSCEAR 報告書の解説書」以外に、私自身は、この問題に関心がおありの方々のために、公開での議論や紙上討論もお受けいたします。見解を異にする専門家同士が医学的根拠を持ち寄り、議論を交わす機会がないまま、このようなギャップが続くことは、検討委員会の審議やひいては、そして何より、福島県の皆さんに健康上の悪影響を及ぼしかねず、良い影響などありません。
すでに、このような問題に取り組む専門家が集まる国際環境疫学会 ISEE は、3年半前の2015 年 10 月に私どもが出版した論文(Tsuda 2016a,b)とそれを報告した早期公開 Early Release による警告を受けて、学会理事らが環境省と福島県に公式書簡を送っています。
そして、この共有されている情報の方が、放射線被ばくに関する研究の第一線において成果を出している研究者たちの見解なのです。
「UNSCEAR 報告書の解説書」(前述:https://x.gd/VHEXK)を御一読のうえ、ご検討の参照にしていただけましたら幸いです。
しかし、中間まとめが出された 2016 年以降、約 7 年経過しても、ほとんど何の対策も行われていません。因果推論ばかりで公衆衛生的対策が行われてない事態は、絶対に避けなければならないことを考えると、非常に残念な事態が現実のものとなっています。
漫然と会議だけを延々と続けている検討委員会の現状は、社会的に肯定できるようなものではありません。
3・3福島大シンポジウム報告
国内の疫学、物理化学、物理学、放射線⽣物学、医学など多方面の専門家が福島医大の疫学学会誌の論文集『福島特集』や『UNSCEAR2020/2021報告書』を検証した結果を、科学的エビデンスをもとに示したシンポジウムを、3月3日に福島大学で実施した。
その結果、『福島特集』も『UNSCEAR報告書』も、あまりにも杜撰(間違いだらけ)で歪曲・捏造である事を報告。
原発事故によって3月15日から16日にかけて、高濃度の放射性プルームが、福島県や関東地域を含む周辺地域にもたらされた事は事実。このプルームは、UNSCEAR2020/2021報告書の二桁以上もの放射性ヨウ素が飛散した事が明らかになってきました。UNSCEAR報告書の歪曲・改竄・偏向は明らか。
福島医大の論文集「福島特集」を基本にした、3月4日に開催された福島医大のシンポジウムは、あまりにも低レベルのもので、事故から12年過ぎても、医大は甲状腺がんと被ばくとの関係を検証・実証する事が出来ずにおり、彼らにその能力がない事も明らかとなった。
更に、福島医大には内部被ばく線量(すべてのデータの基本)を独自に検証する能力がまったくない事も、Q&Aから明らかになった。
福島医大は「検証する能力が無い、検証の仕方が分からない」と宣言する事が、福島県民の為。
※福島民報と福島民友は医大のシンポジウムの間違った結果を、検証能力が無い為に、そのまま記事にしています。このような記事が甲状腺がん患者を苦しめている。
その時の動画や資料を以下転載。是非多くに方に拡散ください。
――――以下転載―――
おかげさまで、シンポジウムへの申し込みは350件を超え、オンラインと会場で200人を超える皆様が参加くださいました。You tube公開で見ていただいた方を加えるともっと多くの皆さまが視聴くださいました。
3月4日の福島県立医大のシンポジウムが、小児甲状腺がんの多発は放射線の影響ではないとしているのに対し、3月3日の福島大で開催されたシンポジウムでは、専門家の方々が放射線の影響であることを「科学的エビデンス」を示して明確にしました。
このたび、シンポジウム当日の動画と講演者のスライドなど、資料の全てを一般公開しました。
(このメールは転送自由です)
You tubeに公開されたシンポジウム当日の動画
https://www.youtube.com/watch?v=BNgGbA-f8OY
シンポジウム前に行われた記者会見でのプレスリリース(主張の要点がまとまっています)
http://natureflow.web.fc2.com/HP/indexa.html
講演者のスライド資料などほとんどの資料はここにあります。
http://natureflow.web.fc2.com/HP/indexa.html
このシンポジウムの各専門家の講演を動画とスライド資料を利用してじっくり学習すれば、小児甲状腺がんの多発が、原発事故による放射線被ばくの影響であることを科学的根拠を持って確信できると思います。
原発事故から12年も経っていまだに福島県立医大の専門家は「現時点において、線量と悪性ないし悪性疑いと診断された結節の発見率の間において、統計学的に有意な量・反応関係は明らかになってはいない」(福島医大シンポジウム要旨集より)などと述べています。
報道関係者の皆さまは、自身で学習・納得いただき、科学的で公正な報道をよろしくお願いいたします。
福島医大への再質問
福島医大からの回答はあまりにも無責任な回答であった為に、再質問を提出した。
医大への質問とその回答は以下をご覧ください。
https://nimosaku.blog.ss-blog.jp/2023-03-04
ーーー ーーー
公立大学法人福島県立医科大学
放射線医学県民健康管理センター長殿
以下のご回答ありがとうございました。
しかしながら、以下の回答には原発事故以来12年間医大が実施してきた事とは大きな乖離と矛盾があるのではないかと考え、以下再質問いたします。
3月4日に開催された福島医大のシンポジウムでは志村教授はじめ多くの演者が、県の検討委員会の評価とは関係なく、独自の研究結果を発表しておりました。
但し、殆どが非科学的なUNSCEAR2020/2021報告書を前提としたものであり、福島医大独自に,当時の甲状腺被ばく線量の検証をしていない事が石川氏の回答でも明らかになりました。石川氏の回答はあまりにも酷いもので、福島医大の無能ぶりを露呈したと言って良いでしょう。
全てのデータ、論文は基本データである甲状腺被等価線量が正しく検証されているかにかかっています。この基本データ崩れれば、すべてのデータ、論文の正確性・正当性・信ぴょう性は崩壊します。
石川氏の発言で、福島医大にその検証能力があるのか疑わしくなってきました。その事は先日頂いた、以下の回答からも判明しました。
そこで以下再質問いたします。
以下の質問は、主に3月4日のシンポジムの要旨集と発言に対するものです。福島県民の命と健康を衛る責務がある福島医大からは、是非責任ある回答を頂きたく重ねてお願いいたします。
【神谷センター長】
「99.8%の住民は5mSv未満であった」とありあますが、これはどのようにして測定した数値でしょうか?以下質問致します。
① 5msvの吸入摂取の内部被ばく、経口摂取の内部被ばく、外部被ばく線量の内訳は?
② 1年間の被ばく線量値はいくらか?
③ またそのデータは何に基づいてものか?その精度を福島医大はどう評価したか?
④ ヨウ素の吸入被ばく。特に3月15日~16日に襲ったプルームによる内部被ばくはどのように評価しているか?
⑤ 避難場所や避難するまでに居住地で摂取した露地野菜による経口摂取内部被ばくはどのように評価しているか?
【キャリー・M・キタハラ研究員】
1.過剰診断は福島医⼤含め誰もWelchの過剰診断定義を満たす証明はしていない。医大はUNSCEAR報告書かIARCの技術報告書No.46に頼るだけのようです。
但しIARCの報告書にもUNSCEAR2020/2021報告書にも過剰診断の証明はしていないし、逆に過剰診断の反証と「過酷事故原因説」の証明は多数ある。福島の甲状腺がんは過剰診断とは言えない事は明らかですが、如何お考えでしょうか?
2.日本政府がヨウ素剤を予防投与とあますが、三春町住民等限られた住民だけで、ほとんどの住民はヨウ素剤を摂取していませんし、日本人のヨウ素欠乏症が少ないというのは数十年前のデータによるもので間違っています。
3.日本の放射線放出量がチェルウエリの1/10も間違いです。福島住民んこ被ばく線量はチェルノブイリとほどんど変わりありません。
本行論文 「 UNSCEAR 2020/2021 報告書の問題点」
http://natureflow.web.fc2.com/HP/paper/HTUN1.pdf
【志村教授】
1.①大量のプルームによる個人のヨウ素の吸入摂取による内部被ばくがUNSCEAR報告書では
二桁以上も過小評価されています。個人の甲状腺等価線量はどのように調査しているのでしょか?
②具体的な交絡因子は何でしょうか?③様々なマッチングパターンとは具体的に何でしょうか?
事故後12年も過ぎています。あまりにも遅すぎませんか?
2.福島医大は甲状腺がんの因果関係を明らかにする方法を知らない為に、事故後12年過ぎても曖昧な言い方をしているように感じます。福島医大は非科学的なUNSCEAR報告書にのみ論拠し、自らの検証はしていないようです。まずはUNSCEAR報告書の全文は読んだのでしょうか?
「因果関係がない」との証明もできていません。福島医大は因果関係を実証する事は不可能(実証能力がない?)と、正直に言うべきではないでしょうか?このままの状態が続く事が福島県民にとって不幸な事です。ご意見賜れば幸甚です。
3.甲状腺検査に関する以下のHPの『検査の目的』に 『福島県においては、チョルノービリに比べて放射性ヨウ素の被ばく線量が低く、被ばくによる健康への影響は考えにくいとされていますが』とあり、本件に関し質問したところ以下のような回答が届きました。
『ご質問いただいた、甲状腺検査に関する該当部分は、県の検討委員会の評価に基づくものであり、医大としての評価ではありません。 また、UNSCEAR報告書に関しては、医大で解説する立場にはありません。』
本件と福島特集の論文集とは大きく乖離していませんか?ご見解頂ければと思います。いったい福島医大は12年間、研究・実証してきたのでしょうか?
4.被ばく線量が低いとする根拠となるエビデンス(論文・文献・データ)を教えてください。
①その被ばく線量は、特に3月15日~16日のプルームの吸入摂取による内部被ばくは考慮されていますか?
②UNSCEAR2020/2021報告者はプルームによる内部被ばくを二桁以上も過小化されている事が国内の専門家から指摘されています。本件について福島医大はどのように評価してますか?
③その被ばく線量は浪江町民が一時避難した津島で炊き出しに出された、汚染されていた露地野菜や沢水等を摂取した口径摂取内部被ばくは考慮されていますか?
④政府や福島県及びUNSCEARは3月16日までは避難勧告が出された住民は、全員避難完了したとしていますが、避難が遅れたりその地にとどまっていた住民の被爆はどのように評価しましたか?
※UNSCEAR(40の避難シナリオ)が3月15日までには避難完了したとされた避難区域住民は、必ずしも全員避難したわけではなく、また避難途中に高線量地域に駐車した車内で過ごした住民も多い。高線量の浪江町津島住民は3月16日までには全員避難していない。
【島袋教授】
1.「99.8%の住民は5mSv未満であった」とありあますが、これはどのようにして測定した数値でしょうか?
以下質問致します。
① 5msvの吸入摂取の内部被ばく、経口摂取の内部被ばく、外部被ばく線量の内訳は?
② 1年間の被ばく線量値はいくらか?
③ またそのデータは何に基づいてものか?その精度を福島医大はどう評価したか?
④ ヨウ素の吸入被ばく。特に3月15日~16日に襲ったプルームによる内部被ばくはどのように評価しているか?
⑤避難場所や避難するまでに居住地で摂取した露地野菜による経口摂取内部被ばくはどのように評価しているか?
原発事故から12年になろうとしている段階でも、未だに甲状腺がんの因果関係を調査中としていますが、あまりにも遅すぎませんか?300人以上の甲状腺がん患者に対しての非道さを感じていないのでしょうか?
上記について2週間以内にご回答頂きたくお願いいたします。
尚、3月3日に福島大学で開催した『日本疫学学会誌「福島特集」&UNSCEAR2020/2021レポート検証シンポジウム』に関する講演要旨、記者会見・緊急声明、とシンポジウムの動画をご覧ください。
動画は以下からご欄ください。
https://www.youtube.com/watch?v=BNgGbA-f8OY&t=1020s
緊急声明や講演要旨は以下をご覧ください。
Microsoft Word - 検証ネットワーク・プレスリリース(2023.3.3発出)Ver.5.docx (fc2.com)
Microsoft Word - 要旨集20230222 Ver.5.docx (fc2.com)
http://natureflow.web.fc2.com/HP/indexa.html
日本の未来に夢を!
以下を国会議員数名にFBからお願いしてみた。是非国会で議論して欲しい。
★日本の一人当たりGDPに対し、シンガポール:2.7倍、香港:1.44倍、台湾:1.4倍、韓国:1.08倍。ここ20年間以上、日本は経済成長なし、賃金も上がらず、失われた30年。
すべて自民党政権、アベ晋三のせいです。税収も上がらない事が財政危機を招いているのです。少子高齢化で益々財政危機に・・このままでは日本はいずれ破たんするでしょう。
この危機を打破する為には経済を良い循環にする事。賃金をアップし→消費を喚起し、子育て支援して子どもを増やし→GDPをアップ→税収を増やす→国民負担率を維持か減少と給料アップ→消費の喚起→GDPアップ・・・とよい経済循環に!
(このように簡単にうまく行くかはともかく、国民に夢を!)
自民党政権のままではもっと厳しくなることを覚悟しなければなりません。失われた自民党政権の30年間なのです。まずは賃金アップさせ、税収をアップさせ、子育て支援政策をセットで、もう一度日本を浮上させてください
★人口減少で農業従事者が減る中で、食糧自給率をどうやってアップするか?まさに食糧安全保障をどう構築するのか?畜産の飼料も国産にできないか?
日本農業の生産性アップ、競争力アップ、安全性の担保とブランド力アップをどう描くのかを議論ください。日本全国にダーチャ村を作りましょう!
(詳細は以下をご覧ください)
https://nimosaku.blog.ss-blog.jp/2022-05-17-2
福島大・シンポジウム動画の公開
3月3日に福島大学で開催された『疫学学科誌「福島特集」&UNSCEAR2020/2021報告書検証シンポジウム』の動画を公開しました。是非ご覧ください。
原発事故によって高濃度の放射性プルームが3月15日から16日にかけて、福島県や関東地域を含む周辺地域にもたらされた事は事実。このプルームはUNSCEAR2020/2021報告書の推定値の二桁以上もの放射性ヨウ素が飛散した事が明らかになってきた。UNSCEARの歪曲・改竄・偏向は明らか。
福島医大の論文集「福島特集」はあまりにもレベルの低いもので、3月4日に開催された福島医大のシンポジウムからも、事故から12年過ぎても、医大は甲状腺がんと被ばくの関係を検証する事が出来ずにおり、彼らにその能力がない事も明らかとなった。福島医大は「検証する能力が無い」と宣言する事が、福島県民の為。
放射性被ばくによる甲状腺がん多発を今も否定している、UNSCEAR、日本政府、福島医大等はあまりにも非科学的であると言わざるを得ない。300名以上もの若者が甲状腺がんで苦しんでいる現実を忘れるわけにはいかない。
動画は以下からご欄ください。
https://www.youtube.com/watch?v=BNgGbA-f8OY&t=1020s
**転送歓迎****
3.3福島大シンポジウム申込者の皆さま
先日はありがとうございました。
シンポジウムでの各講演者のスライドや動画を公開したサイトを作りましたので、ぜひご利用ください。
http://natureflow.web.fc2.com/HP/indexa.html
シンポジウムには理系専門家の解説に馴染みのない市民の方や文系の方も多く参加されたと思いますが、ぜひ何度も聞き返したり、読み返したりして学習してください。決して優しくはないので、全てを完全に理解することはできなくても、その論理的本質はしっかり理解できるものと思います。
福島県立医大の専門家が彼らのシンポジウムで「現時点において、線量と悪性ないし悪性疑いと診断された結節の発見率の間において、統計学的に有意な量・反応関係は明らかになってはいない」と結論づけました。
これを「科学的エビデンス」と福島医大は主張しているわけですが、県立医大の研究者たちが12年間総力を上げて取り組んだことの結論がこれだとすれば「噴飯もの」です。それが、「噴飯もの」であることはきっとご理解いただけると思います。
また、このサイトを皆さまのお知り合いやメーリングリストでぜひ広めて下さい。
小児甲状腺がん多発を原発事故がもたらした放射線被曝によるものであることを認めさせることは、事故による
健康被害を東電や政府、自治体に認めさせる上での1丁目1番地です。また、良識ある研究者たちの力だけではまだ不十分です。多くの市民がこの科学的論理を理解することが必要だと思います。
自身で学習を深めると共に拡散よろしくお願いいたします。
ーーー ーーー
ある方がまとめて下さった記事の一部を転載。
【表題】福島第1原発事故(2011)がもたらした小児甲状腺がん
福島第1原発事故から12年が経過した。原子炉から飛散した放射性物質が人体にどの様な影響を与えているかについて、世間での評価は定まっていない;それは「健康被害がある」に対して「ない」という両方の言説が市井に流布されているからである。状況を正しく理解しなければ有効な処方ができない。福島原発事故による被ばく被害を明らかにするため、2022年7月研究者・市民科学者が中心となって「UNSCEAR 2020/2021レポート検証ネットワーク」(以下、検証グループ)が結成され、同報告書の検証と批判を行ってきた。
福島県立医科大学(以下、福島医大)の。研究者達が中心になって論文集『福島特集号-東日本大震災後の 10 年』を日本疫学会誌(Journal of Epidemiology)で公表した(2022年12月)。同特集号での判断は、県民健康調査による小児甲状腺がんの増加原因は放射線被ばくではなく高感度超音波検査スクリーニングによるものだとしている。
検証グループはUNSCEAR2020/21報告書と日本疫学会誌福島特集号(2022,12)で述べられている「被ばく原因による甲状腺がん多発を否定する」論説に科学的証拠がないとする声明を発出した(2023. 3. 3)。
そして同時に検証グループが中心になって「日本疫学会誌『福島特集号』&UNSCEAR2020/21レポート検証シンポジウム」を開催した;その動画は次のサイトでみることができる:
https://www.youtube.com/watch?v=BNgGbA-f8OY&t=1020s
このシンポジウムでは疫学、物理化学、物理学、放射線⽣物学、医学、患者支援など多方面の専門家が詳しく報告し、総合的な解説がなされた。
検証ネットワーク緊急声明
福島県立医科大学(以下、福島医大と略記)は、同医大の研究者たちが中心になって作 成した日本疫学会誌 Journal of Epidemiology 『福島特集号-東日本大震災後の 10 年』を 昨年 12 月に公表しました。その中で、県民健康調査の小児甲状腺がんの増加は、放射線 被ばくが原因ではなく、高感度超音波スクリーニングによるものであることを示唆していま す。
しかしながら、事故から12年経過してもこれらの主張には「科学的エビデンス」はありま せん。福島医大放射線医学県民健康センターは 2023 年 3 月 4 日に国際シンポジウムを開 催し、放射線被ばく起因の否定に、あたかも「科学的エビデンス」があるかのような印象操作 を行おうとしています。シンポジウムの後援には福島県や内閣府、復興庁、外務省、環境庁 などが名を連ねています。
私たちは昨年7月に研究者・市民科学者が中心となって「UNSCEAR 2020/2021レポート 検証ネットワーク」を立ちあげ、UNSCEAR報告書の検証と批判を実施してきました。今回の 『福島特集号』や「国際シンポジウム」の主張はUNSCEAR2020/2021報告書とも重なり、福島 医大はUNSCEARを利用した「権威づけ」をしているような印象も受けます。
そこで『福島特集 号』の各論文とUNSCEAR報告書を検証するとともに、多発している甲状腺がんが被ばく起 因であることを科学的に証明した結果を報告するシンポジウムを多くの研究者の共同事業と して開催します。
私たちの主張のポイントは以下のとおりです。
1.「福島特集号」の各論文における県民健康調査の分析方法は、医学における因果関係を証明 する現代の疫学の方法論を踏襲せず、古い方法に基づいている。したがって、県民健康調査検討 委員会(以下、検討委員会と略記)や同委員会甲状腺検査評価部会(以下、評価部会と略記)が数 十倍の多発を認めているにもかかわらず放射線被ばくと多発との因果関係を未だに示すことができ ていない。
疫学による因果推論の専門家が公衆衛生の見地に立って早期から警告を発しているに もかかわらず時間が無駄に浪費されている。
2.「福島特集号」の包括的総説には「検出された甲状腺がんと放射線被ばくの関連がなく、放射線 の影響はない」と結論されている。しかし、検討委員会報告の 4 地域で、1 巡目 2 巡目とも年間発 生率が UNSCEAR 推定の甲状腺吸収線量(各市町村の平均値)に比例して増え、統計的に有意な 量・反応関係が成立している。
甲状腺がんの多発は被ばく影響であり、過剰診断でないことが過小 評価の UNSCEAR 推定値を用いても示された。「福島特集」の根拠とされる医大論文においても高 線量地域と低線量地域を一つにする不合理な地域区分を修正すれば線量・効果関係は現れる。
3.被ばく由来の甲状腺がんは、主に放射性ヨウ素の甲状腺への取り込みによって生じる。原発事 故後数週間内に 35 万人の甲状腺直接測定が行われたチェルノブイリに対して、福島原発事故では 1080 人の不正確な直接測定のみで、UNSCEAR は多くの仮定の下に線量推定を行った。
甲状腺が ん年間発生率を基準にチェルノブイリのデータと比較して推定された福島の甲状腺線量は UNSCEAR の推定値の約 70 倍であった。つまり、UNSCEAR 報告では数十分の一に過小評価され ている。
4.福島原発事故後、第1原発から広がった、放射性ヨウ素を大量に含むプルームにどれだけ曝さ れたかは甲状腺被ばく線量を推定する上で極めて重要である。 しかし、UNSCEAR が線量推定を行う上で全面的に依拠していた大気中濃度の輸送と拡散、沈着モ デル(ATDM)に関する論文(Terada 論文 2020)が 3 月 15 日から 16 日にかけて福島第一原発から 北西 60 km に位置する福島市を襲った最大のプルームを捉えることができていなかったことが加速 器物理学の研究者の分析によって判明した。
このプルームがもたらしたヨウ素 131 の大気中濃度 は 1/100 程度に過小評価されていると見積もられる。
5.UNSCEAR 2020/21 報告は 2013 報告に比べ、甲状腺等価線量係数を日本人はヨウ素摂取が 多いからと ICRP 基準値の 1/2 に、屋内退避効果は殆どないにも関わらず 1/2 に、そして、経口摂 取被ばくはほぼ無かったことにし、吸入被ばく推定値も大幅に下げ、 甲状腺の平均推定吸収線量 を一桁以上減らしている。
日本政府はこの UNSCEAR がさも科学的権威が高い国際機関であるよう な宣伝をし、報道機関の多くがそれに追随している。非科学的な過小評価で固めた UNSCEAR 報告 書およびそれに完全に依拠する(福島特集号を含む)日本の組織や機関の言動は看過できない。
6.評価部会が甲状腺がんの発見が「数十倍のオーダーで多い」ことを認めた時にその原因を「被 ばくによる過剰発生か過剰診断のいずれかが考えられる」とした。その後は、過小評価した被ばく 線量を唯一の根拠として、「将来的に臨床診断されたり、死に結びついたりすることがないがんを多 数診断している」過剰診断説に固執している。
しかし、甲状腺がんを宣告され、苦しい手術や治療に 耐え頑張っている若い患者たちに向かってがんは過剰診断にすぎず手術などは必要なかったと言 えるのか。被ばくの影響ではない、甲状腺検査は縮小すべきだと主張する医師や研究者たちは、被 害に苦しむ若者たちの声に真剣に耳を傾けるべきではないか。甲状腺検査の維持・拡充はもちろ ん、甲状腺がんになった被害者たちへの公的な救済の必要を訴える。
2023年3月3日
UNSCEAR 2020/21 報告書検証ネットワーク
3.3福島大シンポジウム実行委員会
呆れた福島医大からの回答
福島医大に質問していたところ呆れた回答が届いた。この無責任な福島医大が『福島特集論文』で甲状腺がんの多発の放射線の影響を否定したり、県民健康調査検討委員会の事務局をして、放射線影響を否定するデータを提供し、議論を誘導している。更にUNSCEARにも放射線影響を否定する論文を数多く提供(選択はUNSCEAR)している。これでも決定したのは県民健康調査検討委員会やUNSCEARだと言って逃げ切る。
以下が小生に届いた福島医大からの回答。
T様
この度はご質問をいただきありがとうございます。
ご質問について、まとめて回答させていただきます。
ご質問いただいた、甲状腺検査に関する該当部分は、県の検討委員会の評価に基づくものであり、医大としての評価ではありません。また、UNSCEAR報告書に関しては、医大で解説する立場にはありません。
当センターは、県から「県民健康調査」の委託を受け、その実施機関として調査を適切に実施し、県民の皆さまの健康維持・増進の実現に貢献しているところです。
今後とも引き続き、「県民健康調査」へのご理解とご協力のほどよろしくお願いいたします。
公立大学法人福島県立医科大学
放射線医学県民健康管理センター
ーー小生が提出した質問内容が下記ーーー
甲状腺検査に関する以下のHPの『検査の目的』に 『福島県においては、チョルノービリに比べて放射性ヨウ素の被ばく線量が低く、被ばくによる健康への影響は考えにくいとされていますが』とあり、本件に関し質問したところ以下のような回答が届きました。
『ご質問いただいた、甲状腺検査に関する該当部分は、県の検討委員会の評価に基づくものであり、医大としての評価ではありません。また、UNSCEAR報告書に関しては、医大で解説する立場にはありません。』本件と福島特集の論文集とは大きく乖離していませんか?ご見解頂ければと思います。
被ばく線量が低いとする根拠となるエビデンス(論文・文献・データ)を教えてください。
①その被ばく線量は、特に3月15日~16日のプルームの吸入摂取による内部被ばくは考慮されていますか?
②UNSCEAR2020/2021報告者はプルームによる内部被ばくを二桁以上も過小化されている事が国内の専門家から指摘されています。本件について福島医大はどのように評価してますか?
③その被ばく線量は浪江町民が一時避難した津島で炊き出しに出された、汚染されていた露地野菜や沢水等を摂取した口径摂取内部被ばくは考慮されていますか?
④政府や福島県及びUNSCEARは3月16日までは避難勧告が出された住民は、全員避難完了したとしていますが、避難が遅れたりその地にとどまっていた住民の被爆はどのように評価しましたか?
※UNSCEAR(40の避難シナリオ)が3月15日までには避難完了したとされた避難区域住民は、必ずしも全員避難したわけではなく、また避難途中に高線量地域に駐車した車内で過ごした住民も多い。高線量の浪江町津島住民は3月16日までには全員避難していない。
ーーーー ーーーー
本日の福島医大のシンポジウムで発表のどの演者も内部被ばくを無視している事には呆れるばかり。間違いだらけのポンコツ発表ばかり・・・間違いだらけと改竄した医大の『福島特集論文』や『UNSCEAR2020/2021報告書』の批判『もう一つの福島特集』論文集に期待したい。
ーーー ーーー
事前の質問に加え、あきれはてて追加質問をだした。
【神谷センター長】
「99.8%の住民は5mSv未満であった」とありあますが、これはどのようにして測定した数値でしょうか?以下質問致します。
① 5msvの吸入摂取の内部被ばく、経口摂取の内部被ばく、外部被ばく線量の内訳は?
② 1年間の被ばく線量値はいくらか?
③ またそのデータは何に基づいてものか?その精度を福島医大はどう評価したか?
④ ヨウ素の吸入被ばく。特に3月15日~16日に襲ったプルームによる内部被ばくはどのように評価しているか?
⑤ 避難場所や避難するまでに居住地で摂取した露地野菜による経口摂取内部被ばくはどのように評価しているか?
【キャリー・M・キタハラ研究員】
1.過剰診断は福島医⼤含め誰もWelchの過剰診断定義を満たす証明はしていない。医大はUNSCEAR報告書かIARCの技術報告書No.46に頼るだけのようです。
但しIARCの報告書にもUNSCEAR2020/2021報告書にも過剰診断の証明はしていないし、逆に過剰診断の反証と「過酷事故原因説」の証明は多数ある。福島の甲状腺がんは過剰診断とは言えない事は明らかですが、如何お考えでしょうか?
2.日本政府がヨウ素剤を予防投与とあますが、三春町住民等限られた住民だけで、ほとんどの住民はヨウ素剤を摂取していませんし、日本人のヨウ素欠乏症が少ないというのは数十年前のデータによるもので間違っています。
3.日本の放射線放出量がチェルウエリの1/10も間違いです。被ばく線量はほどんど変わりありません。
本行論文 「 UNSCEAR 2020/2021 報告書の問題点」
http://natureflow.web.fc2.com/HP/paper/HTUN1.pdf
【志村教授】
1.①大量のプルームによる個人のヨウ素の吸入摂取による内部被ばくがUNSCEAR報告書では、二桁以上も過小評価されています。個人の甲状腺等価線量はどのように調査しているのでしょか?②具体的な交絡因子は何でしょうか?③様々なマッチングパターンとは具体的に何でしょうか?事故後12年も過ぎています。あまりにも遅すぎませんか?
2.福島医大は甲状腺がんの因果関係を明らかにする方法を知らない為に、事故後12年過ぎても曖昧な言い方をしているように感じます。福島医大は非科学的なUNSCEAR報告書にのみ論拠し、自らの検証はしていないようです。まずはUNSCEAR報告書の全文は読んだのでしょうか?
「因果関係がない」との証明もできていません。福島医大は因果関係を実証する事は不可能(実証能力がない?)と、正直に言うべきではないでしょうか?このままの状態が続く事が福島県民にとって不幸な事です。ご意見賜れば幸甚です。
3.甲状腺検査に関する以下のHPの『検査の目的』に 『福島県においては、チョルノービリに比べて放射性ヨウ素の被ばく線量が低く、被ばくによる健康への影響は考えにくいとされていますが』とあり、本件に関し質問したところ以下のような回答が届きました。
『ご質問いただいた、甲状腺検査に関する該当部分は、県の検討委員会の評価に基づくものであり、医大としての評価ではありません。 また、UNSCEAR報告書に関しては、医大で解説する立場にはありません。』本件と福島特集の論文集とは大きく乖離していませんか?ご見解頂ければと思います。
4.被ばく線量が低いとする根拠となるエビデンス(論文・文献・データ)を教えてください。
①その被ばく線量は、特に3月15日~16日のプルームの吸入摂取による内部被ばくは考慮されていますか?
②UNSCEAR2020/2021報告者はプルームによる内部被ばくを二桁以上も過小化されている事が国内の専門家から指摘されています。本件について福島医大はどのように評価してますか?
③その被ばく線量は浪江町民が一時避難した津島で炊き出しに出された、汚染されていた露地野菜や沢水等を摂取した口径摂取内部被ばくは考慮されていますか?
④政府や福島県及びUNSCEARは3月16日までは避難勧告が出された住民は、全員避難完了したとしていますが、避難が遅れたりその地にとどまっていた住民の被爆はどのように評価しましたか?
※UNSCEAR(40の避難シナリオ)が3月15日までには避難完了したとされた避難区域住民は、必ずしも全員避難したわけではなく、また避難途中に高線量地域に駐車した車内で過ごした住民も多い。高線量の浪江町津島住民は3月16日までには全員避難していない。
【安田講師】
1.内部被ばくが無かったというのは全くの間違いです。3月15日~16日のプルームでUNSCESR評価の100倍以上の内部被ばくが示唆されています。福島の被ばく線量はチェルノブエリほとんど同じとの専門家の評価結果がでています。残念ながら外部被ばくだけでの評価はまったく意味のないものです。詳細は以下の論考をご覧ください。
本行論文 「 UNSCEAR 2020/2021 報告書の問題点」http://natureflow.web.fc2.com/HP/paper/HTUN1.pdf
質問の全文は以下をご覧ください。
【福島医大のポンコツ・シンポへの質問】
https://nimosaku.blog.ss-blog.jp/2023-02-26