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廃校となる旧安達東高等学校の校舎の有効活用を中核とした 地域づくりに関する提案書(第一次)

来年4月から廃校となる福島県二本松市岩代地区にある、県立安達東高校の有効活用について、二本松市及び福島県に以下の提案書を提出した。更に直接面談も実施した。

いずれも大きな課題は長期間の管理・維持(費)をどうするかである。今後は二本松市や福島県とWinーWinの関係を築ける具体的な提案ができるかが重要となる。

今後、想定される東南海地震、首都圏直下型地震、さらに豪雨による河川氾濫時の二次避難場所や二地域居住、農場を活用した自給自足(ダーチャ村)実現の場所として、首都圏の市や区、そして国交省、あるいは農林水産省、更に文科省や内閣府、総務省からの支援や連携ができれば、実現が大きく前進する。

  ーー以下提案書(第1回目)ーーー

二本松市 
総務部長殿
秘書政策課殿

 cc三保市長殿
   生涯学習課長殿
   福島県・教育委員会・県立高校改革室・××主幹殿

廃校となる旧安達東高等学校の校舎の有効活用を中核とした地域づくりに関する提案書(第一次)
                       2024年4月5日

提案者:上田昌文(特定非営利活動法人(NPO) 市民科学研究室 代表理事
住所:〒113-0034 東京都文京区湯島 2-14-9 角田ビル2F
   HPhttps://www.shiminkagaku.org/

助言者:田口茂(NPO市民科学研究室会員)

●提案の骨子

1)教育と交流の場の創設(体験型農業プログラム)

普通校にはない設備を持つ旧安達東高校の利点を生かして、市民向けの新しい教育と交流の活動(主に体験型農業の学習と交流)の場を創設する。これを次の2)と3)につなげる。

2)二地域居住の促進:

首都圏に比較的近いという地の利を生かして、首都圏在住者らに旧安達東高校の教室を活用した二地域居住への移行を促す仕組みを創出すること。二地域居住者にとっては農場を活用し自給自足がまかなえる『ダーチャ村』としてもとらえることができる。

3)広域避難の仕組みの創出:

首都圏直下型地震や東南海トラフ巨大地震、激甚水害によって首都圏の住民らが広域避難を余儀なくされる場合に備えて、上記2)の二地域居住者は、教室を住居の一部とすることによって第2次避難所としても活用可能となる。これによって、防災面での新しい仕組みを創出することが可能となる。

●提案内容

1.教育と交流の場の創設(体験型農業プログラム)

<着目点>

   安達東高校は、調理場(真空パック機械を含む)、社会福祉実習室、農業実験室(植物バイオテクノロジー)、調理実習室、被服室、農場、畜舎、温室等、和室など、普通高校にはない設備をもっている。

  
 NPO法人市民科学研究室は、これまでに「子ども料理科学教室」や「食と農の市民談話会」などの活動を通じて、食育と農業の変革(生産者と都会の消費者との新しい連携や協力に関連する事業など)に携わる数多くの団体との連携・協力の実績がある。

   首都圏に暮らす住民のなかには、農業や(自然とのふれあいがベースになる)実践的な科学を、学びたいという要求を持っている人々が少なくない。そうした要求を満たす農業体験型の学びの場は極めて少ない。

<進め方>

1)①の現状をふまえて、③のニーズを把握したうえで、NPO法人市民科学研究室が②の実績・蓄積を生かして、「体験型農業の学習と交流」のプログラムを作成する。
そのプログラムの対象者や講師は、主に以下が考えられる。

・市民科学研究室が中心となって声がけする、食と農に関する諸団体や識者ら
・主に有機農業、不耕起栽培、EM菌の活用等専門家ら 
・二地域居住者(後述)
・二本松市や近隣都市の高校生や大学生をはじめとする若者たち住民

・関東圏のシニア(定年退職者など)や日曜日や休日に通える人々(現役の勤務者や学生など)
・二本松市を中心とする、ご協力いただける農家さん
・元農業高校教師、福島県・農業総合センターの専門家等

2)プログラムの作成、その広報、そして実際の運営などについて、そのそれぞれの内容企画、担当する人材、資金などが課題であるが、地域おこし協力隊を数名採用し、専任者として投入する。この事によって当面の専任者の人件費は国の補助金で賄える。

<意義>

首都圏北部から日帰りができる距離にある二本松市で、本格的な体験型農業の学習と交流の機会を提供できれば、二本松市に移住や二地域居住する人や二本松市で新たに農業に携わってみようとする人が増えることになる。

また、こうした一般市民向けの体験型農業の学習(ある程度の技術習得を含む)のための系統だったプログラムは、農業高校や大学の農学部での専門課程のカリキュラムの一部が重なる点があるものの、有機農業、不耕起栽培、EM菌の活用等も組み入れ、農薬や化学肥料を使用しない健康志向型農法のプログラムを組み上げれば、全国から注目され、高い評価を受けることになる。このことが2)や3)の事業にもつながる。更に、日本の農業自給率アップにもなる(化学肥料の90%以上を輸入に頼っているという現実がある)。  

2.二地域居住の促進

<着目点>

   子育て世代を中心とした地方への移住希望者の増加、コロナ禍でのオンライン活用に伴って地方に住居を持ち、そこで勤務するという、都会からの人口流出の新しい流れがある。またその動向に応じて、地域活性化の促進のための施策を打ち出す自治体、あるいは新規の支援やマッチングのビジネスに乗り出す企業も増えている。

    二本松市までは東京の中心からは250km、埼玉県からだと200km程度であり、首都圏在住者にとって、二地域居住がなし得るほど十分に近い地理的距離にある。また、大型スーパーやショッピングセンター、中規模の病院、高齢者施設などにも恵まれ、高速道路の便もよい。
さらに、裏磐梯、猪苗代湖、磐梯吾妻スカイライン、安達太良山、磐梯山等があり、周辺には多くの温泉地もある。三春の滝桜、合戦場のしだれ桜、人待ち地蔵桜
(週刊現代で絶景日本遺産として紹介)、二本松城址の桜など桜の名所も多い。

③ 「岩代おじさん図鑑」(※)に紹介されているような興味深い人たちが周りに多くいることも、新しく二本松市(岩代地区)に住みたいと考える人には魅力となる。
  ※「岩代おじさん図鑑」 https://iwashiro-ojisan.studio.site/

④ 旧安達東高校の校舎をサッカーの合宿場として利用が可能である。首都圏などのサッカークラブが二本松市のサッカー場(二本松グリーンフィールド)を練習や試合で使用する際に、徒歩でも通える距離で、自炊も可能で格安に宿泊できる合宿所があることが望ましい。

 <進め方>

1) 旧安達東高校の教室などを、二地域居住のための住居や企業のオフィス(あるいはシェアオフィスやシェアハウス)として活用する。(ただし事前に全国の遠隔ビジネスの事例を調査し、快適なオフィス環境に求められる諸要素を明らかにする必要がある。)これらは福島県からの補助金(3億円・5年間)も活用する。校舎や教室の一部をリフォーム自体も建築業者に任せるのではなく自前で行えるように学習し実習する場を設けてみるのも一考に値する(※)。

  

2) 移住者や二地域居住者には「1.教育と交流の場の創設」で述べた「体験型農業の学習と交流」のプログラムにもできるだけ参加・協力してもらう。そのことで、この2つの事業(学習と交流の場の創設、二地域居住促進)が相互に関連しあい、地域活性化がはかれる。また、こうした事業全体の管理と運営にあたる人材は数名(当面は2~3名)の地域おこし協力隊の新規採用で解決を図る。NPO法人市民科学研究室としても、地域おこし協力隊と共に可能な限り企画立案や広報等で協力していく。


<意義>

子育て世代を中心に、二本松市へ首都などから人口が流入してくることは、日本全体として望ましいことである。それを持続的に促進できる仕組み(廃校校舎の新たな活用方法など)を二本松市で作り上げ、全国に発信すれば、メディアや専門誌等で大いに注目される。このことが移住者・二地域居住者の増加にもつながる。

また校舎を高校・大学・社会人等のサッカークラブの合宿所として利用できるよう、いち早くその利用体系や設備を整えて、そこでの利用収益とそこで得られる人脈を「1.体験型農業の学習と交流」や「3.広域避難の仕組みの創出」にもつなげていくことで、事業の相互促進をはかることができる。

3.広域避難の仕組みの創出

<着目点>

   東京都全体では、公園や河川敷、住宅団地、学校などの広い場所を合計221か所が「広域避難所」に指定されているが(20227月時点)、江戸川区の水害・洪水ハザードマップの「ここにいてはだめです」(※)の指示が端的に示しているように、首都圏直下型大地震、東南海トラフ巨大地震、台風や大雨などによる洪水などが起きれば、都内に大量発生する避難者を、現在ある広域避難場所や一時避難場所に収容することは不可能である。

② NPO法人市民科学研究の「市民と防災」研究会では、種々のワークショプ活動をとおして、市民自らハザードマップの情報を読み解き、発災時のタイムラインを描き、事前の、もしくは速やかな、避難ができるようにすることが鍵になる、と強調してきた

    能登半島地震を見ても、被災地では電気、水道、ガス等の基本的インフラの復旧には数か月かかることが現実となった。首都圏の場合は人口も災害の規模も甚大で、復旧にはさらに年単位の長期間を要するものと考えられる。人間として最低限の基本的な生活を維持するには、震災の影響のないインフラが整っている地域への二次避難は必須である。

<進め方>

1)旧安達東高校の校舎内で、当面活用可能な教室は1015程度であり、1つの教室を2分割することを想定すると、二次避難者の受け入れは20から30家族が妥当である。

2) 当面は住居スペースの規模数から勘案し、民間主導ベースで、二本松市と首都圏のNPO市民団体らと「広域共助連携」を結び、見学や体験の機会を設けて、参加者を増やしていく。

3) 「1.教育と交流の場の創設」「2.二地域居住の促進」の関係者にも防災面で問題提起し、「広域共助連携」を取り入れてもらうようにする。NPO法人市民科学研究室の会員にも参加を促す。

4
) 2)の状況によっては東京都や埼玉県等のいずれかの区や市などとの「広域共助連携」が可
能かを、他地域での事例などの検討を含めて提案をまとめ、東京都23区や埼玉県の市町村に持ちかける。

<意義>

廃校となる旧安達東高校を首都圏との連携広域避難の拠点として活用する事例が成功すれば、全国的に先進的な事例としてメデイアやSNSで注目され、二本松市が全国展開の先駆事例となる。たとえ、20から30家族レベルの避難者しか受け入れることができないにしても、被災地が復旧できるまでのかなりの長期間、そこで安定的に―例えば地元の農家などとも連携して食料自給しながら暮らせる見通しが立つ、ということの意義は被災者当事者にとっては計り知れない。二地域居住地が実現していれば、この二次避難の問題は自ずと解決することになる。

●事業の運営の人材及び資金に関して

3つの事業について提案したが、これらはそれぞれ独立してすすめることができるものの、やはり統合的に全体計画のもとにすすめるのがよい。そのためには、提案の趣旨に対して二本松市から賛同が得られれば、NPO法人市民科学研究室と二本松市の間で、詳細な計画の策定に向けて、何度か会合を持ち、スケジューリング、人材(スタッフ・管理人)、資金などについて具体的に検討することにしたい。

現時点では、全体計画を立案していくなかで、校舎の維持管理に責任を持って持続的にあたることのできる管理人として地域おこし協力隊を数名採用し、この3事業の企画立案と具体化、維持管理、行政との橋渡しの役目も含めて、事務局を担ってもらう。事務局(地域おこし協力隊)の給与は国からの補助で賄える。必要に応じては(福島県との協議・要請が必要)福島県からの補助金も充てる。

   二地域居住者(災害時の二次避難場所も含む)には相応の家賃や管理費を支払ってもらう。

   首都圏の企業のオフィス(シェアオフェスやシェアハウス含む)として開放すれば、固定的な賃貸料も入る。

   サッカーの合宿場は和室や南校舎等を充当する事が可能。首都圏の大学数校との年間契約を締結すれば、固定収入も可能となる。

   「体験型農業と学習と交流」には参加費等を支払ってもらうが、ここでの収入は大きく期待はできないので、市民の人材育成(農業従事者育成他)、や二地域居住者や移住者への広報戦略と位置付ける。なお、福島県への申請により地域創生総合支援事業(サポート事業)の補助金等も充当可能である。

   ソーラーシェアリング等で電力自給(あるいは売電)が可能であれば、その収益も見込める。

●今後の検討課題

1.上記企画書へのご意見や要請事項等(継続的な意見交換の実施)
2.上記企画に関し、合宿場や住居(共同シャワーか風呂付)、企業のオフェス(シェアオフェスやシェアハウス含む:インターネット接続は必須)等のリフォーム案作成とその概算費用見積もり(福島県からの補助金3億円で抑えられるか?)

3.上記3事業(+ソーラーシェアリング)での年間収入見込み概算金額
4.運営費・維持費の年間見積もり概算金額
 (当面は地域おこし協力隊の人件費はゼロ)
5
.上記4の結果を踏まえ、人件費以外の維持費等を福島県への当面10年間の分担要請
6.数名の地域おこし協力隊の確保
7.二本松市と福島県との継続的な協議

以上、この提案に対し至急ご検討いただき、3~6か月を目途に、その結果のご報告をいただければ幸甚です。
今後オンラインを含めまして、提案内容の具体化に向けた諸方策を協議する場を設けていただければ、当NPO法人市民科学研究室のスタッフと、必要に応じてこの事業への協力者を含め協議に臨ませて頂きたいと思います。

以上よろしくお願い致します。                               









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