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なぜ国は被ばくを隠すのか?

福島原発事故以来、隠された被ばく問題等に取り組んできた。

原発事故以来、福島県内では350人以上もの若者(実際は多くの高齢者も甲状腺がんに罹患)が、甲状腺がんで苦しんでいる中で、福島県民の隠された被ばくをこのまま隠蔽させる事はできない。
既に、患者の中には肺に転移したり、再発したりしている。裁判に立ち上がった患者の応援も必要だ。

こんな中で、甲状腺がんの被ばくの影響を否定しているUNSCEAR2020/2021報告書には、100ヶ所以上の問題点(被ばく線量の過小化、歪曲、改竄等)がある事が、本行・大阪大名誉教授らによって、明らかにされている。昨年11月の日本放射線影響学会でも発表している。

福島県民の実際の被ばく線量はUNSCEAR2020/2021報告書が示す被ばく線量推定値の50~100倍の被ばくをしている事が報告された。(50~数100倍にもなり得る・・・)
http://natureflow.web.fc2.com/HP/index.html

一昨年、放医研等に情報公開請求した結果、如何にUNSCEAR2020/2021報告書が日本側によって、如何に歪められてしまったのかについて、以下まとめている。
(『明かにする会』として冊子も発売中)
https://fukushimakyoto.namaste.jp/akiraka/

★【UNSCEAR2020/2021報告書に日本側はどう関与したか】
前半:https://nimosaku.blog.ss-blog.jp/2023-02-12
後半:https://nimosaku.blog.ss-blog.jp/2023-02-13

原発事故の放射線の影響と思える以下の証言を得ている(一部の例)

1)    南相馬市民の証言
1年後に5本抜歯、不整脈、結腸癌、結節性甲状腺腫等7つの疾病、妻も高度不整脈、慢性心不全

2)    福島市民の証言
長女と三女が原発事故の年に出産予定で通院。医師から「生まれても異常児の可能性が高い」と告げられ、強制的に12週前の稽留流産(通常ではありえない措置)にされた。2人の孫の命が絶たれた。被ばく当時3人の孫は鼻血を出していた。

本人は16年に甲状腺がん、19年に前立腺がん、20年には突発性難聴、22年に大腸がん、すい臓の血液検査のマーカーが高くなった。

3)    飯館村民の証言
脳梗塞、心筋梗塞、頭髪が一度に抜けた、金属臭、待機中に肌がピリピリした。会社に勤めていた女性は1日中鼻血を出していた。避難が遅れた飯館村民が最も被ばくした。

 

 

 


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廃校となる安達東高校をダーチャ村に

能登半島地震で感ずる事は、二次避難場所の確保が重要であるという事。

今後、東南海地震や関東直下型地震の発生も予想される。電気、ガス、水、食糧、通信が確保ができる200km程度離れた二次避難場所を保有する事は家族の命を守る事、人権上も最も重要な事が認識できた。

都会の人達にとって、地震等の災害時には第二避維場所、食糧の自給自足拠点、コロナやインフルエンザの感染予防、リモートワーク拠点、第2事務所・事業所、プチ別荘といった『ダーチャ』を保有する事が、今回の能登半島地震でも大事である事が明らかとなった。
そこで1年後には廃校となる福島県二本松市岩代地区にある安達東高校を、ダーチャ村として活用を提案したい。

以下は1年以上前に福島県に提案したものである。
この提案書の実現が今必要になってきた。
https://nimosaku.blog.ss-blog.jp/2022-10-25

二本松までは東京の中心からは250km、埼玉県からだと200km程度。埼玉県からだと高速道路で2時間半程度。郡山駅までは新幹線で東京から1時間15分。大宮駅からだと1時間弱

安達東高校からはコンビ二、中型ショッピングセンター、中型ホームセンターまでは車で2分。大型スーパーや大型ホームセンターまでは車で8分。

二本松市街地までは車で10~12分、二本松城址もある。安達がふるさと村まで車で7分。福島県庁までは40分、郡山市街地までも40~50分。
福島医大病院までは20~25分。二本松市内には中型病院が3つある。枡病院、枡祈念病院、二本松病院。車で1分と3分のところには高齢者施設も・・・

以下参考情報。

★安達東高校(二本松実業高校に吸収・統合)
https://adachihigashi-h.fcs.ed.jp/

調理場(真空パック機械も)、社会福祉実習室、農業実験室(植物バイオテクノロジー)、農場、畜舎、温室等、和室等普通高校にはない設備を保有している。

★岩代おじさん図鑑(他もいっぱいあります。検索してみてください)

安達東高校やダーチャ村周辺に生息するおじさん達。
NHKの全国版(1ミリ革命)でも放送された。

https://iwashiro-ojisan.studio.site/

https://www3.nhk.or.jp/lnews/fukushima/20230905/6050023757.html

https://www.nhk.or.jp/fukushima/lreport/article/002/37/
https://www.nhk.or.jp/minplus/0027/

https://www.youtube.com/watch?v=7sgJGPPO3jo

★ダーチャ村(原発事故前のプロモーションビデオ)

https://www.youtube.com/watch?v=eAlcPG8s2zU
https://www.facebook.com/yumemiraiinakajyuku/

★原発をとめた裁判長、そして原発をとめる農家たち。二本松でソーラーシェアリングしている農家が描かれている。

 ★ゆったりとした岩代図書館(安達太良山が望めます)
https://www.homemate-research-library.com/dtl/00000000000000069285/

★小浜城
https://www.nihonmatsu-kanko.jp/?p=827
伊達政宗が19歳の時に居城したお城。

★二本松有機農業研究会
https://norganic.jp/

安達東高校から車で1.5時間以内には、裏磐梯、猪苗代湖、磐梯吾妻スカイライン、安達太良山、磐梯山等があり、周辺には多くの温泉地があります。近くに岳温泉や名目津温泉。春には三春の滝桜、合戦場のしだれ桜、二本松城址の桜、桜の名所がたくさんある。

【岩代観光協会】

https://evergreen-net.jp/

【二本松観光協会】

https://www.city.nihonmatsu.lg.jp/kankou/

【安達太良山、磐梯山、五色沼、吾妻山等】

 https://nimosaku.blog.ss-blog.jp/2023-09-26

 https://nimosaku.blog.ss-blog.jp/2022-10-26

https://nimosaku.blog.ss-blog.jp/2022-06-26

https://nimosaku.blog.ss-blog.jp/2023-06-27

https://nimosaku.blog.ss-blog.jp/2023-09-26

【桜関連】

https://nimosaku.blog.ss-blog.jp/2023-04-10

https://nimosaku.blog.ss-blog.jp/2023-04-07

https://nimosaku.blog.ss-blog.jp/2022-04-16

【秘湯】

https://nimosaku.blog.ss-blog.jp/2021-10-16

【伝統祭り】

https://nimosaku.blog.ss-blog.jp/2023-10-13

 

 

 


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同級生との初島の旅

熱海から高速船で25分、初島に渡る・・・
ふるさとの中学校の同級生たちとの5年ぶりの再会・・
みな5年前とほとんど変わっていない元気な姿・・

うまい食事、
展望風呂からの太平洋の波の音と太平洋に登る朝日を耳と目で楽しみ
太平洋を望むゆったりとしたリゾートホテルロビーでのお茶と会話
初島灯台からの太平洋の360度のパノラマ
初めて見る南アフリカ原産のキング・プロテアと亜熱帯の花々
アロエにとまるメジロ
尽きる事のない会話・・・・
小・中学校時代の思いで話は尽きない・・

しかし、小学校卒業時代のアルバムを見ると
今の小学生6年生たちと比較して、如何に幼い顔をしているか
今の小学生たちとは比較にならない程、知識は浅かった・・

熱海の町を散策し、
最後は近くて遠かった念願の?小田原城址へ・・・

昨年は同級生が3名も亡くなった・・
健康で、今ここに生かされている事に感謝しながら・・
亡くなった同級生に黙とうを捧げた・・

朝起きてやる事がある事、目標がある事、
頭と体を使う事が長生きのコツ?・・
生きた証として後世の為、日本の為に何ができるか、何を残せるか・・
そんな事を考えながらの旅でもあった。

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東電、規制庁からの公式回答と国内外の反対の動き(後半)

 海洋放出に合理性はなく、日本が失うものは甚大(後半)

―東電、規制庁からの公式回答と国内外の反対の動き―

前半に続き後半を公開します。
前半は以下ご覧ください。
https://nimosaku.blog.ss-blog.jp/2024-01-15

-3.東電からの回答(後半)(2023年8月7日)
2023年6月3日に東電へ質問していた22項目の質問中、後半部分の回答が、約2か月経過した8月7日にようやく届いた。しかしながら、質問番号と回答番号は不一致。回答率は3割程度で未回答が多い。回答番号も間違っていた。

東電への質問は未回答の質問も含め、紙面上の制約から一部省略されています。全文は「参考リンク・文献」の9項目のURLからご覧ください。

【質問12-1)】
ALPS7種類18塔の吸着塔を通しているが、トリチウムを除き62種類核種が本当に告示濃度限界未満まで取り除かれるのか?

専門家は『炭素14やコバルト60、ストロンチウム90など同位元素は半減期が長く、海底堆積物や魚類への親和力がはるかに高く、人間と環境に潜在的にはるかに危険だ」と強調。例えば炭素14の場合、トリチウムと比較すると生物濃縮指数が5万倍にのぼり、コバルト60の場合はトリチウムに比べ海底堆積土に30万倍もよく結合する。このため汚染水を放流する前に2次処理を通じてこれら放射性物質がどれほど除去されたかを公開する必要がある』と言っている。

【東電回答12-1)】
当社が実施した放射線環境影響評価報告書においては、トリチウム以外の放射性物質である炭素14やコバルト60も含め、海底土への蓄積や魚介類への濃縮も考慮した上で、人及び海生動植物の被ばく評価を実施した結果、国際的な安全基準を大きく下回る結果となっております。

また、この評価はIAEAの包括報告書においても、「現在東京電力により計画されているALPS処理水の放出は、人及び環境に対し、無視できるほどの放射線影響となる」と結論づけられています。

https://www.iaea.org/sites/default/files/23/07/final_alps_es_japanese_for_iaea_website.pdf

当社は、ALPS処理水の海洋放出にあたり、希釈および放出する前に必ず、測定・確認用設備で69核種を測定し、その結果を当社「処理水ポータルサイト」中の「測定・確認用設備の状況」ページにて公開します。B群については既に当該ホームページでデータを公開しておりますのでご確認ください。

https://www.tepco.co.jp/decommission/progress/watertreatment/measurementfacility/

 【東電回答12-1への反論・再質問】
 東電が添付しているURLの「IAEAの包括報告書の要旨(仮訳)」は経産省が訳したもので、
都合の悪いも原文の内容は含んでいない。いつもながらの恣意的な仮訳だ。(恣意的な日本語訳を、いつまでも「仮訳」のまま放置する事は彼らの常套手段)

【質問12-2)】
専門家は『海洋放出される場合、海水と海洋生物、海底堆積物のモニタリングに地域の漁民と独立的な専門家が参加しなければいけない』と言っている。
JAEA
は独立した第3者機関といえるのか?『福島大学』+『他大学(東京大学等)』+『NPOたらちね』+『福島県漁業組合』+『福島県』で構成された第三者機関を設立したらどうか?

【東電回答12-2)(前半部分)】
希釈前のALPS処理水の分析として、東京電力ではなく国が第三者機関としてJAEAに対して委託するものであり、当社からの委託で実施するものではありません。

【東電回答12-2】(後半部分)】
ご意見として拝聴します。

【質問12-3).②】
放射能濃度確認はJAEAが実施するのか?この測定には第三者機関が実施すべきではないか?

【東電回答12-3).②】
希釈前のALPS処理水の放射能濃度の確認は、当社のグループ会社である東京パワーテクノロジーが実施する ほか、当社が委託する株式会社化研が実施します。当社が委託する外部機関は、当社とは資本関係が無く、分析に必要な能力(設備、力量)を有する分析機関を選定しています。さらに、国が第三者機関として選定した委託先であるJAEAも分析を実施します。

【質問12-3)①.③】5                :未回答
【質問13.小中学校へのチラシ配布について】未回答

【質問14.汚染水濃度の上昇問題】9        未回答
【質問15-1(上部) 遮水壁効果の問題・汚染地下水について】未回答

【質問15-1)(下部)】
港湾や外洋において放射性セシウムで汚染された魚介類が見つかる原因は何か?2017年以降2022年末までの港湾内魚介類:22000 Bq/kg《ほぼ90%以上が検出限界値以上》(外洋においての原因だけご教示願います)

【東電回答15-1)(下部のみ)】
外洋において、基準値を超える魚が漁獲されることについては、汚染メカニズムの解明に向け、国にも調査いただいているところです。漁獲された魚が、港湾内に棲息していた魚が出て行ったものなのか、あるいは違うのかなど、現時点で確定的なことは申し上げられない状況と認識しています。

福島第一原子力発電所の港湾では、魚類移動防止対策として、港湾口においては四重の底刺し網等、港湾内においては多数の移動防止網や刺し網等を設置するとともに、抜本的な対策として、敷地内の放射能濃度の低減に向けた構内排水路の清掃、敷地内のフェーシングなどに取り組み、港湾内の放射能濃度低減に努めているところです。

引き続き、漁業関係者の皆さまのご意見を伺いながら、魚類の移動防止対策や、港湾内魚類の刺し網による採捕・駆除対策を継続する等の対策に努めるとともに、港湾内の放射能濃度の低減に向けた構内排水路の清掃や敷地内のフェーシングなどの環境改善に係る取り組みも実施していきます。

【質問15-2)】
2017年以降、港湾の海水と魚介類の放射性セシウム濃度は殆ど減少していない。護岸遮水壁と凍土遮水壁の設置は無意味だったのではないのか。他の対策をしないのはなぜか?(遮水壁を設置しなければもっと酷い汚染が起きていたと考えるのか?)

【東電回答15-2)】
発電所からの放射性物質の港湾内への流出の影響については、港湾内の海水濃度は海側遮水壁の閉合以降低下しており、周辺監視区域外の水中における告示の濃度限度と比較すると、主な放射性物質であるセシウム137、ストロンチウム90の平均濃度は告示濃度限度を十分下回っている状況が継続しています。(放射線データの概要参照)

海洋への放射性物質の流出低減策として、敷地の除染及びフェーシング、道路及び排水路の清掃、建屋上のガレキ撤去、排水路及び建屋雨樋への浄化材の設置を進めており、引き続き流出の抑制に努めていきます。

放射線データの概要https://www.tepco.co.jp/decommission/information/newsrelease/radiation_data/pdf/2023/ad_20230601.pdf

【質問16.米ウッズホール海洋研究所のケン・ブセラー博士のコメント9:未回答
【質問17
汚染水の行き先と収支】  :未回答

【質問18-1)(前半部分)】
汚染地下水に含まれる高濃度ストロンチウム90(全ベータ)の起源はどのように考えるか?放射性セシウムとストロンチウム90の濃度が炉工学的には整合していない(核分裂収率と半減期は90Sr137Csはほぼ等しいので、地下水の汚染源になったはずのデブリでは両核種の比はほぼ1になる)が、これはデブリ形成の際の溶融温度の差で両核種が分別したと考えてよいのか?

【東電回答18-1)(前半部分)】
測定・評価対象核種の選定に当たって、原子炉内の放射性物質量の評価を行っており、ストロンチウム90とセシウム137の量は、ほぼ同量と評価しています。建屋内滞留水中のこれら2核種の濃度が違う理由は、周期表上も異なる族に属する違う元素であることから、水への移行のしやすさが異なることが原因と考えられます。

【質問18-1)(後半部分)】
高温で溶融したデブリでは放射性セシウムは大気に揮発してデブリ中では枯渇したが、低温溶融では残っている。ストロンチウム90は全てのデブリに残留している。構外の環境で、ストロンチウム90濃度が異常に低いのはそのためか

【東電回答18-1)(後半部分)
2核種の濃度が違う理由については、周期表上も異なる族に属する違う元素であることから、水への移行のしやすさや揮発性などの物理的・化学的な特性が異なることが原因と考えられます。

【質問18-2)】
現在、地下水によってデブリから溶出、漏洩していると考えられる全ベータ(ストロンチウム90と放射性セシウム)については放射線防護上、リスクはないと考えているのか。リスクがあるなら早急な対策が必要ではないのか?

【東電回答18-2)】
建屋内滞留水に含まれるセシウム・ストロンチウムについては、セシウム吸着装置(KURIONSARRYSARRY-Ⅱ)による浄化に加え、ALPSにより浄化した上でタンクに貯蔵することにより、敷地境界における実効線量が年間1ミリシーベルト未満となるようリスク低減を行っています。

建屋からの流出については、建屋内滞留水の水位が建屋周辺の地下水位よりも低くなるように管理しているため、考え難いです。さらに海側遮水壁も設置しており、海洋の放射性物質濃度が低いことを定期的なモニタリングにより確認しています。

【質問19海洋放出で失うものは甚大。得るものは廃炉という幻想のみ:未回答

【質問20.廃炉は幻想ではないか?】
  デプリ取り出し技術はいつ完成するのか?:未回答
  ②取り出したデプリはどこで保管するのか? :未回答

【質問20.③】9,10 
廃炉まで30~40年としていますが、東電が考える『廃炉』というのはどのような状況になる事と定義していますか?

【東電回答20.③】
福島第一原子力発電所の「廃炉」は(放射性物質によるリスクから人と環境を守るための)継続的なリスク低減を進めることであり、福島第一原子力発電所の場合、具体的には、汚染水対策、処理水対策、プール燃料取り出し、燃料デブリ取り出し、廃棄物対策を実施することです。

  【東電回答20.③への反論・再質問
   東電の「廃炉」の定義の中に『燃料デプリの取り出し』という言葉があるが、その廃炉の意味は幅広く解釈されてしまう。

【質問20.④】9,10 
廃炉まで30~40年としています。既に事故から13年以上も経過しています。現時点で廃炉(定義による)の工程の何%が進捗していると考えていますか?

【東電回答20.④】
既に中長期ロードマップ等でお示ししている通り、廃炉作業は 30 年から 40 年を時間軸として進めております。
また、事故発生から12年が経過し、これまでの緊急的に取り組まざるを得ない状態から、先々を見越し計画的に進めていく状態へと移り変わってまいりました。
この間、汚染水対策や使用済燃料プール内の燃料取り出しなど、相対的にリスクが高く優先順位が高いものについては、着実に進展してきたものと考えております。
福島第一の廃炉作業では今後も前例のない取り組みが続きますが、これまでの取り組みで得られた知見や経験、そして国内外の叡智を活用しながら、廃炉を着実に進めてまいります。

   【東電回答20.④への反論・再質問】
具体的な数値には触れず、精神論と今までの経過を説明するだけの回答が続く。しかし福島第一原発の廃炉までの30~40年のいうのは廃炉の定義によってはいかようにも解釈可能だ。都合が悪くなると解釈を変えてしまうのが日本政府や東電及び原子力ムラの常套手段。あいまいのまま「廃炉」という言葉だけが一人歩きし、住民に期待を持たせ、住民はそのマジックに踊らせ、騙されている。廃炉の定義については別途質問している。詳細は
「参考リンク・文献」の10項目のURLからご覧ください。

【質問21. 札幌でのG7共同声明の誤訳(改竄)の撤回・修正について】9 :未回答

【質問22】
廃炉の全体像が見えにくくなっています。あえて、全体像を見えにくくしているのでしょうか?あるいは全体像が描けない状況でしょうか

【東電回答22】
福島第一原子力発電所の廃炉作業は世界でも前例のない取り組みであり、今後の進むべき大きな目標である中長期ロードマップや原子力規制委員会のリスクマップをベースに、徐々に得られる新たな情報や知見をふまえ、「廃炉中長期実行プラン」を柔軟に見直し、3040 年後の廃止措置終了に向け、作業員および周辺環境の安全を最優先に、計画的に対応を進めてまいります。

4.経産省・規制庁・東電への「正当化」に関する質問1,12,13
海洋放出の「正当化」に関する質問を、2023年7月24日に原子力規制庁13あて、7月27日に経産省12あて、7月28日には東電11に提出した。質問内容はほぼ同じものであった。経産省や東電には2か月後に回答を督促しているが、2023年12月31日現在、未だに回答は得られていない。

紙面の制限で詳細は省略してある。質問と回答の全文は参考リンク・文献の11、12と13のURLをご覧ください。 規制庁の公式回答は5項目をご覧ください。

経産省は「正当化」についての検討もせず12、海洋放出を閣議決定しまっているので、今更、答えられないのだろう。このデタラメさが現在の日本政府であり、中国やロシア 太平洋諸国、ドイツ等への「正当化」を説明ができないでいる。まさに外交の敗北である。


 IAEAの包括的報告書は「ALPS処理水の管理方法の最終的選択の正当性は多くの利害関係者にとって極めて重要。日本政府から明確な説明がなされるべき」としている。IAEAは日本政府の「海洋放出の正当化は個別問題」との見解を否定している。正当化を示せないままの海洋放出は国民への裏切りである。

※日本政府は太平洋諸国(PIFs)の質問に対し『ALPS 処理水の排出は「個々の側面」に相当し、福島第一原子力発電所(FDNPS)の廃炉は「全体的な慣行」に相当すると理解している。』と回答。

海洋放出を閣議決定以前に、政府と東電はどのようなプロセスで正当化を検討したのか?その定量的、定性的な検討プロセスとその結果が明らかになっていない。詳細を明らかにすべきである。

IAEAは『正当化の責任は日本政府にある』『日本政府がたどった正当化プロセスの詳細に関する評価は含まれていない。』としている。

IAEAの包括定報告書の2.3項の正当化には以下の記載がある。
 『日本政府からIAEAに対し、ALPS処理水の海洋排出に関連する国際安全基準の適用を審査
 するよう要請があったのは、日本政府の決定後であった。したがって、今回のIAEAの安全審査の 
  範囲には、日本政府がたどった正当化プロセスの詳細に関する評価は含まれていない。

5.汚染水海洋放出に関する原子力規制庁への質問と回答13
 2023年7月24日に汚染水海洋放出に関する「正当化」等に関し、原子力規制庁に質問していたところ、10日後に以下の回答が届いた。海洋放出に関する「正当化」について、原子力規制庁は関与していないとの回答であった。

原子力規制庁に質問する事で、この経産省の「正当化」問題の「まやかし」12を原子力規制庁の上層部が認識した事は成果と言える。
 
しかし、規制庁の立ち位置が一層明確になり、規制すべき部門がブレーキ役になっていず、経産省の虜になっている事が明らかとなった。

以下は原子力規制庁としての公式な回答である。紙面の制約上、詳細は省略してある。質問と回答の全文は「参考リンク・文献」の13のURLをご覧ください。
又「正当化のまやかし」については「参考リンク・文献」の12のURLをご覧ください。

1)日本政府への疑問 12  (詳細省略:4項目参照)

【質問1】 (注:経産省からの回答が得られない為、規制庁にもぶつけてみた。)
IAEA は単に「正当化する意思決定プロセスが日本政府によって踏まれたことに留意する。」としている。日本政府の正当化を認めたわけではない。
IAEAと日本政府の言っている事は矛盾だらけのまやかしであり、まさに欺瞞と言っていい。原子力規制委員会によって正当化?が審査・承認されたとの記載があるが、規制委員会は正当化をどのように評価し審査したのか?その審査の過程も含めた議事録を開示して欲しい。

2)日本政府の「正当化」主張12  (詳細省略:4項目参照)

【質問2】 (注:経産省からの回答が得られない為、規制庁にもぶつけてみた。)
この矛盾と欺瞞・まやかしに対し、規制委員会(規制庁)は、この事に関しどう評価したのか?そのプロセスも含めた議事録を公開して欲しい。

【規制庁の回答1,2】
正当化を行う主体は日本政府であり、原子力規制委員会は、政府方針によって決定されたALPS 処理水の海洋放出について、東京電力から申請があった海洋放出の設備や運用について安全性を審査し、認可したものです。

  (以下一部省略)13

【質問3-1】13
水産資源保護法違反について規制庁はどう評価したのか?(詳細省略)

【質問3-2】13
SDGsの『14.海の豊かさを守ろう』に逆行していないか?(詳細省略)

【規制庁の回答3-1,3-2】
原子力規制委員会は、水産資源保護法及び「持続可能な開発のための2030アジェンダ」を所管しておらず、お答えする立場にありません。

4)希釈の理由の明示が無い
IAEA報告書は「希釈が放射線防護と安全の目的で行われることを意味しないように注意する必要」があり、「希釈の理由を明確に示すべきであると助言した」(41頁)と述べている。「薄めるから安全」は成り立たないのである。
政府と東電は希釈の理由と正当化について説明されていない。絶対量は変わらない。

尚、基準値は電力会社の都合で決めた値で、国が追認したもの。

【質問4】13
本件、規制庁はどう評価したのか?

【規制庁回答4】
東京電力は、政府方針を踏まえてトリチウム濃度の運用の上限値を1,500 Bq/L と設定しており、規制委員会は、この上限値が規制基準を十分に満足するものであることを確認しています。

5)海洋放出の手段は最も高価(詳細省略)

【質問5】13
 
規制庁はタスクフォースの虚偽データをどう評価したのか?タスクフォースはやり直しすべきではないか?
【規制庁回答5】
 原子力規制委員会は、海洋放出に関連する費用について、お答えする立場にありません。

6)タスクフォースへの関与と評価(詳細省略)
【質問6】13
規制庁はタスクフォースの検討結果にどう関与したか?検討結果や検討プロセスをどう捉えているか?タスクフォースはメンバー入れ替えてやり直すべきではないか?

【規制庁回答6】
原子力規制委員会は、令和3年7月の日本政府とIAEA との間での取り決めに基づき、ALPS 処理水の海洋放出に関する規制についてIAEA のレビューを受けました。レビューの枠組みについて、原子力規制委員会はお答えする立場にありません。

7)海洋放出時の拡散シミュレーション(詳細省略)

【質問7】13
規制庁は海洋放出後の拡散をどう評価したのか?その評価プロセスと結果を開示願いたい。

【規制庁回答7】
原子力規制委員会は、昨年7 22 日に変更認可したALPS処理水の海洋放出関連設備の設置等に係る実施計画の審査書「第2章 政府方針に照らした確認」において、東京電力が行った放射線影響評価を確認しています。東京電力は、放射線影響評価の中で海洋拡散に関するシミュレーション結果を示しており、原子力規制委員会は、計算領域境界部(490km×270km)のトリチウム濃度が日本周辺海域の海水中トリチウム濃度を十分下回っていることを確認しています。


6.国内外の反対の動き
-1.日本国内(差し止め訴訟)14
 2023年8月24日に強行された汚染水(アルプス処理水)海洋放出をめぐって、漁業者に対しては漁業行使権の侵害と生業を破壊する人格権侵害、一般市民には平穏生活侵害を根拠に、東電に対し、海洋放出の差し止めを、国には海洋放出関連の許可の取り消し等を求め、行政訴訟と民事訴訟を福島県内外の住民合わせて363名が2023年9月8日(一次訴訟)と、11月9日(二次訴訟)に福島地方裁判所に提訴した。

-2.ドイツ・レムケ環境大臣
824日の汚染水放出当日に、ドイツのレムケ環境大臣が以下の反対声明12を出している。その日本語訳が以下。

「環境大臣として、私は放射能のあらゆる追加的な海洋放出を極めて批判的である。そのような放出は、他の全ての道が遮断されている場合の最後の選択肢としてのみ常に効果を発揮しうるのである。そのような放出が不可避な場合は、極度の周到さが必要である。それゆえ極度も周到さが必要である。すなわちこの種のあらゆる企図は、科学的な根拠に基づいて計画され遂行されなければならない。(中略)
 さらに、手続き・方法は透明でなければならない。現地の人間が決定に参加し、十分な情報を与えられていなければならない。このことを私はすでに4月中旬、札幌で開かれたG7環境大臣会合の際、日本政府に対し要求していた」

-3.マキジャニ博士 太平洋諸島フォーラム任命専門家パネルメンバー14
東電の汚染水投棄はIAEAの安全原則とガイドラインに違反。IAEAは、特に海洋投棄が正当化されるかどうかの検証を拒否することで、日本政府を支持するために、太平洋地域諸国の利益とIAEAのガイダンス文書を放棄した。

-4.韓国やフィジー
韓国やフィジーでも反対の動きがある事が差異止訴訟弁護団の情報から判明した。
 この海洋放出については、韓国の憲法裁判所に4万人の市民と160頭のイルカとクジラを原告とする「憲法訴願」が申し立てられている。
 フィジーの市民団体PANは、ドイツのOcean Vision Legalのアンナ弁護士を代理人として国連人権理事会の特別報告者に通報を行った。

-5.イタリア・メディア
処理水海洋放出開始以後、日本は国際社会の前で自らを被告席に置き、今後何年も国際的な非難に直面する。日本は"生態系の破壊者であり、地球規模の海洋の汚染者"として非難される。

7.おわりに
海洋放出の「正当化」については、経産省も東電も答える事を拒否している。IAEAも原子力規制庁も「正当化」を判断したのは日本政府(経産省)として、自らの見解を示さず、日本政府(経産省)の虜となっている。日本政府は問題の本質である海洋放出の「正当化」について、国民にもそして世界にも説明できないまま、自ら招いた失策の海洋放出を強引に押し進めている。
 デプリの取り出しは順調にはいかず、「廃炉には避けて通れない」とする海洋放出は、今すぐの必要性が無かった事に国民はいずれ気づくであろう。しかし政府は膨大な資金を電通等にばらまき、広報に力を注ぎ、自らの失敗を隠す事に躍起となるはずだ。

イタリア・メディアが「今後何年も国際的な非難に直面する。日本は"生態系の破壊者であり、地球規模の海洋の汚染者"として非難される。」と指摘しているように、日本は国際的信用も失墜し、更なる国際、財政・経済、社会、健康面でも堕落の道を進む事になるだろう。まさに日本政府の敗北となる。日本国民はこれを許した事で、いずれ日本人の敗北にもつながるだろう。日本人が敗北する前に、日本人の手(世論)で、海洋放出を止める事ができれば、日本人は国際的に信頼される国民になれるだろう。

【お願い】

質問や回答には若干間違っている可能性の部分もあろうかもしてません。
「2.公開の目的」をお読みいただき、今後の東電や経産省、規制庁との交渉の参考としてお役立て頂ければと思います。

前半は以下ご覧ください。
https://nimosaku.blog.ss-blog.jp/2024-01-15


「参考リンク・文献」
1.IAEA包括報告書 :
https://www.iaea.org/sites/default/files/iaea_comprehensive_alps_report.pdf
2.ドイツのレムケ環境大臣の声明:https://www.bmuv.de/TB3894
3.3年で437億円に増加:https://uneriunera.com/2023/07/25/kaiyouhousyutsu19/
4.4,150億円とした根拠:

https://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/hairo_osensui/pdf/sesaku_2301.pdf
5.東電への質問全文(前半部分):https://nimosaku.blog.ss-blog.jp/2023-06-12
6.福島県内自治体への世論調査:https://www.zenshoren.or.jp/2023/07/24/post-26839
7.IAEAと日本政府は出来レース』は以下:https://nimosaku.blog.ss-blog.jp/2023-05-08
8.IAEA(国際原子力機関)の立場:https://www.unic.or.jp/info/un/unsystem/specialized_agencies/iaea/
9.東電への質問全文(後半部分)   :https://nimosaku.blog.ss-blog.jp/2023-06-12-1
10.東電が考える「廃炉」の定義に唖然: https://nimosaku.blog.ss-blog.jp/2023-08-09
11.東電への正当化に関する質問全文:https://nimosaku.blog.ss-blog.jp/2023-08-18
12.海洋放出に関する政府の「正当化」説明は捏造:https://nimosaku.blog.ss-blog.jp/2023-07-19
13.原子力規制庁へも正当化に関する質問全文:https://nimosaku.blog.ss-blog.jp/2023-07-24
14.ALPS処理汚染水海洋投棄差し止め訴訟:https://alps-sashitome.blogspot.com/
15.マキジャニ博士記者会見@外国特派員協会動画:https://m.youtube.com/watch?v=yYlzuGEEdP8












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東電・規制庁からの公式回答と国内外の反対の動き(前半)

海洋放出に合理性はなく、日本が失うものは甚大

―東電、規制庁からの公式回答と国内外の反対の動き―

1.はじめに
 IAEAは「処理水放出を推奨も支持もしていない事を強調する」とし、お墨付きは出していない。中国、ロシア、韓国以外にもドイツのレムケ環境大臣や太平洋地域諸国も反対し、国際法や国内法、国連推奨のSDGsの「海の豊かさを守ろう」にも違反している。
 問題の本質は汚染水対策の失敗により、汚染水が増え続けている事。止水できれば海洋放出は必要ない。他の有効な施策がありながら、最も安い34億円の海洋放出を選択したが、その費用は3年間で437億円にも増えた。更に増える事は明らかだ。

 更に処理(汚染)水に伴う施策費用として、各省の総額は4,150億円(期間不明)も計上している。全て血税であり、この金は海洋放出しなければ、不必要な金であり、貧困対策や教育にも回せる金だ。中国や香港、ロシアからの海産物輸入禁止で年間約1,500億円もの機会損失になる。

 政府やメディアは『中国の対応は非科学的』として中国を非難したり、デプリに直接触れた、半減期が1570万年のヨウ素129など62種の放射性核種を含む汚染水にもかかわらず、世界中の通常運転時の原発からのトリチウム排出量と比較したり、問題の本質を歪めている。将来周辺各国住民の健康被害や生態系への影響が出ないとする保障はない。
 日本政府や東電は「海洋放出は廃炉の為には避けて通れない」と言うが、デプリ取り出しや、その保管方法等の目途が立っていない現状で、取り出したデプリの大きな保管場所確保の緊急性は無く、今急いで海洋放出する合理性は見当たらない。

 東電の「廃炉」の定義には
『燃料デプリの取り出し』という言葉があるが、この定義では、「廃炉」の意味は幅広く解釈されてしまう。デプリは実験的に1gも取り出せれば「廃炉」というのか?880トンのデプリをすべて取り出し、更地にする事が「廃炉」なのか?仮に1日1トン、デプリを取り出せた場合でも、完了するまで約2年半かかる。1日1kgなら約2400年。気の遠くなる話だ。

 海洋放出で国際的な信頼失墜含め、日本が失うものは経済的、政治的、社会的、人道的にも、あまりにも甚大である。国益と国民や地球上の全て人類の健康が脅かされていく可能性がある。いずれ日本政治・日本外交の敗北が明らかになる。それを許容した日本人の敗北にもつながる。今すぐ海洋放出を止めるべきだ。

2.公開の目的

 東電や原子力規制庁からの回答は納得できるものは少なく、反論や再質問すべき項目が多数あるが、2023年8月24日に海洋放出した後は、東電の対応は豹変し、再質問や既に提出している質問への回答を拒否し続けている。経産省は当初から回答を拒否。今回、回答が得られた東電や規制庁からの公式回答を公開する目的は、今後の東電や経産省、規制庁との交渉等の場で、同じような質問を避け、それぞれの立場で論理性のある新たな質問で東電や経産省を追い詰め、市民の力で海洋放出を止めさせる事にある。今回の公開でその一助になる事を期待している。反論も追記すべきところ紙面の制約上、多くを割愛した。又、質問や回答の全文も紙面の制限上、一部省略している。全文は「参考リンク・文献」の関連URLからご欄頂けます。

 3.汚染水海洋放出に関する東電への質問とその回答
 3-1.東電へ24項目の質問提出(2023年6月3日)

「汚染水海洋放出に関する問題点と疑問」について、24項目の質問を2023年6月3日に東電にメールにて提出していたところ、前半部分(11項目)の質問について、1ケ月後の2023年7月3日に回答があった。

しかしながら、東電からの回答は、今まで公式に発言していた内容を、ただ繰り返すだけの不誠実で貧弱なものであった。東電と政府(経産省)は科学的に丁寧に説明すると言っているが、いつもながら口先だけの科学とは程遠い内容であった。

個々の質問には根拠となるデータを示す事なく、結論のみを回答する。具体的数値の問いには答えず、あいまいのまま。さらに東電が公開している膨大なデータを見ろと、そのURLだけを示し煙に巻く。東電自ら検証し考える事を放棄し、すべて日本政府やIAEA頼りという事のようだ。

-2.東電からの回答(前半部分)5 
(2023年7月3日)

24項目の質問中、前半の11項目の回答が1か月後の2023年7月3日に届いた。
質問と回答の全文は紙面の制約上一部省略されています。理解困難な場合は「参考リンク・文献」の5から、質問全文をご覧ください。
 

【質問1.約束違反】

東電と政府は福島県漁連の「タンクに溜まっている水は国民の理解がないかぎり、いかなる処分も行わない」との要請に対し、「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」と約束した。

しかし政府は海洋放出方針を決定してから、関係者の理解を得ます。説明を尽くしますと言っている。明らかに約束違反ではないか。

【東電回答1】

〇まず、政府が海洋放出を決定したのは、「ALPS汚染水」ではなく、「ALPS処理水」です。また、安全基準を満たさない状態での放出がなされることはありません。

〇福島県漁連に対して回答した方針に変わりはありません。

ALPS処理水放出に係る実施主体である当社といたしましては、当該の文書回答も踏まえまして、引き続き、安全な設備の設置や運用などの計画に基づく安全確保や、科学的根拠に基づく国内外への情報発信、海域モニタリング強化、風評対策など、政府の基本方針を踏まえた取組を進めるとともに、ご懸念やご関心に向き合い、福島第一原子力発電所の廃炉・処理水等対策に係る当社の考えや対応について、ご説明をさせていただく取組を重ねてまいります。

【質問2.世論は海洋放出反対・公聴会の開催を!】

(経産省に提出する内容を、東電にも質問してみた。質問全文は質問詳細省略)

【東電回答2】

回答する立場にございません。

【質問3.なぜ汚染水は増え続けるのか?】

なぜ汚染水は増え続けるのか?大金を投資し造った凍土壁は役立っていないのではないか?コンクリートのような工法で広域の止水壁を作って地下水を止めるべきとの専門家の意見もでているが、なぜ行わないのか?凍土壁の失敗を認めたくない為に汚染水が増え続け、海洋放出するとすれば本末転倒ではないか?

【東電回答3】

〇陸側遮水壁、サブドレン等の重層的な汚染水抑制対策により、2014年5月は1日当たり540m3程であった発生量が、2022年度実績では90m3/日と確実にその効果は現れています。現在は、中長期ロードマップの2025 年内目標である「汚染水発生量を100m3/日程度に抑制」達成に向け、陸側遮水壁やサブドレンの確実な運用と合わせて、屋根雨水対策等の重層的な対策を進めているところです。

〇具体的には、建屋への雨水流入対策は、今後も1-4号機山側のフェーシングや1号原子炉建屋の屋根補修対策を行う計画であり、計画通りに実施していくことで、建屋流入量は更に抑制可能と考えています。

〇今後、局所的な建屋止水の効果、建屋外壁止水の検討結果、燃料デブリ取り出しなどに関する建屋周辺の廃炉作業の状況も踏まえて、2028年度までに約5070㎥/日まで、汚染水の発生量抑制を目指してまいります 。

【質問4.処理水の定義と測定結果の情報公開】

   政府による処理水の定義は『トリチウム以外の放射性物質が基準を下回って 

いる事』となっている。タンクに留められている7割近くは基準値を超えている(ストロンチウム90、ヨウ素129、セシウム137、さまざまなプルトニウム等)ので、処理水ではなく『汚染水』という事で良いか?すべてALPS処理水と言っている事は情報操作ではないか?

   すべてのタンクについて62核種とトリチウム、そして炭素14の測定結果が公開されていない。(3つのタンク群のみ公開)公開されていないと言う事は汚染水の全容がつかめない状態で、海洋放出ありきで良いのか?全容をつかむまでは、海洋放出は止めるべきではないか?また未公開データはいつまでに公開するのか?

【東電回答4】

〇「ALPS処理水」とは、トリチウム以外の放射性物質が、環境へ放出する場合の規制基準値を確実に下回るまで、多核種除去設備等で浄化処理した水(トリチウムを除く告示濃度比総和1未満)を「ALPS処理水」と定義しています。

〇環境へ放出する際には、約7割にあたる規制基準を満たしていない水(処理途上水)は、二次処理を確実に実施し、トリチウム以外の放射性物質について告示濃度限度比の総和を1未満とする方針です。

〇当社が測定した全てのデータは、当社のウェブサイト「福島第一原子力発電所における日々の放射性物質の分析結果」に掲載されています。

〇また、タンク内の「ALPS処理水等」の測定結果については、処理水ポータルサイトに整理した形でお示ししています。

福島第一原子力発電所における日々の放射性物質の分析結果https://www.tepco.co.jp/decommission/data/daily_analysis/index-j.html
 貯蔵タンクエリア毎の放射能濃度https://www.tepco.co.jp/decommission/progress/watertreatment/images/tankarea.pdf

【質問5.ALPSの機能について】

タンク保管の7割は汚染水。ALPSでの処理水は3割。ALPSは「使用開始前検査」を受けていない試運転状態。法的には「仮設」。ALPSのフィルターが破損したり、信頼性・安定性に欠ける。基準を超える7割の汚染水の割合が減っていないが、ALPSが正常に機能していないのではなかい?

【東電回答5】

〇既設、増設、高性能ALPSとも使用前検査は全て完了しています。

〇多核種除去設備は、汚染水に含まれる62種類の放射性物質(核種)を、環境へ放出する場合の国の基準以下の濃度に低減する浄化能力があり、現在の運用実績としては、規制基準を満たすまで浄化処理しています。

【質問6.トリチウムの危険性は有機結合型OBT

   トリチウムの危険性はOBT(有機結合型トリチウム)にある。HTO(トリチウム水)は生物体の中に入ると炭素などの有機物と結合して有機結合型トリチウム(OBT)に変わる。細胞はOBTを水素原子とみなした高分子で構成される。

   ところがOBTは核壊変しヘリウムに変わってしまう。ヘリウムは結合を担う能力は無いので、OBTを使った高分子結合は壊れ、細胞は破壊される。これがトリチウムの危険の実態。更にOBTHTOに比べ20~50倍滞留時間が長い。OBTは染色体など重要器官でも使われ、DNAを傷つける。

   トリチウムOBTの人体への影響は、未確認。論文も無い。有機結合型トリチウム(OBT)の人体(細胞レベル)への影響に関する論文等は無いはずです。(短時間の魚類への影響は存在するが完全ではない?)。論文があるなら提示ください。OBTに関してはIAEA、東電、規制庁はどのような見解も示していない。

【東電回答6】

〇トリチウムの健康影響については、UNSCEAR(国連科学委員会)が2016年報告書附属書Cで、トリチウムの性質、体内動態、生物効果、作業者や公衆の疫学的  データなどを整理し、見解を述べています。
〇当社が実施した、「ALPS処理水の海洋放出に係る放射線環境影響評価報告書」 

では、摂食する海産物中のトリチウムの割合につき、10%が有機結合型トリチウムである場合をベースケースとして評価するだけでなく、100%全てが有機結合型トリチウムとした場合の評価も実施しており、被ばく評価結果にほとんど影響がないことを確認しています。

   【東電回答6への反論・再質問】「見解を述べています」の回答のみで、どう結論づけたのかの記載はなく、どのような評価実験をし、その評価結果のエビデンスの提示もない。

【質問7.ICRPリスクモデルの欺瞞・線量係数矮小化】

   ICRPのリスクモデルでは電離エネルギーは体全体に、または臓器や組織に、また細胞全体に平均・均一に負荷すると仮定。しかし実際の内部被ばくでは、エネルギーは局所・部分的に集中的に負荷し、細胞を、臓器を破壊していく。ICRPの平均化概念は内部被ばくでは全く起こり得ない。ICRPのリスクモデルでは全く想定していない元素変換(核壊変)による細胞破壊が起きる。

   ICRPのリスクモデルはエネルギー量(物理量)だけを問題にしている。人体の細胞にどのような影響をあたえるかという細胞科学的観点、あるいは体内に入った時にどのような化学的反応をみせるかといった化学的な観点は一切無視。徹底的に放射線物理学の観点からしかみていない。科学的には、いびつな体系。

③『トリチウム(HTO)無害論』はICRPの1Bq換算係数(1.8×10msV)が実情とはかけ離れている事。例えば年間100万BqのHOTを摂取しても18μSvと小さい。朝日や毎日のトリチウム無害論もすべてこの換算係数からでている。ICRP内部でもこの換算係数が科学的に妥当ではないとの意見が何度となくでている。
しかしICRP勧告は頑として修正しない。しかしこの換算係数は5倍~10倍程度が妥当との専門家(ICRPの専門家も含め)の意見がある。

【東電回答7】

IAEAICRPでは、世界中で公表された複数の放射線障害に係る論文を精査し、信頼性の高いデータに基づき各基準や勧告を取りまとめていることから、非常に信頼性が高いものと考えています。

    【東電回答7に対する反論・再質問】 
全く答えになっていない。質問内容を無視。 裁判で東電が原告に反論するのは、内容でなく、誰が言っているかという事。ICRP,IAEA,UNSCEARが言っている事はすべて正しいというのが東電側の主張。内容で議論すべき。

【質問8.健康被害の実態について】

   カナダの重水炉型原発周辺では、排水されるトリチウムで健康被害を指摘している調査結果や論文がでている。特に激しく細胞をつくる4歳以下の子ども・幼児・乳児・あるいは胎児にその被害は集中した。

   日本の玄海原発周辺でも住民の白血病が多発している調査結果がある。1998年~2007年の調査では玄海町の白血病による死者数は人口10万人あたり30.8人(前半の5年平均)~38.8人(後半の5年平均)と全国平均(5.4人~5.8人)の6倍~7倍。また原発から15km離れた唐津市でも全国平均の3倍程度。魚介類、飲料水、空気中に浮遊するHTOが原因と考えられる。

   厚労省が発表した平均寿命でワースト10には、下北半島の六ケ所村、東通村、むつ市等核燃料サイクル工場が設置されている周辺の自治体の寿命が短い。これはトリチウム海洋放出に関係していないか?トリチウムに汚染された魚介類、飲料水、空気中に放出されたトリチウムを吸入した事と関係あるのではないか?ないとするなら短寿命の要因は何か?

【東電回答8】

〇トリチウムによる人体等への影響に関する疫学的調査は、大気圏核実験が頻繁に行われた1950年代から世界各地で行われているほか、原子力発電所周辺でもさまざま行われ、その結果として十分の余裕を持ちつつ現在の規制体系が作り上げられてきていると承知しています。

したがって、国際的な考え方に基づく現状の法令を遵守することにより、懸念する放射線障害は発生することはないと考えます。

    【東電回答8への反論・再質問】質問内容を無視し、回答になっていない。

【質問9.燃料棒に直接触れた汚染水の海洋放出の前例はない】

ALPS処理水と、通常の原発排水は、まったく違うものです。ALPSでも処理できない核種のうち、11核種は通常の原発排水には含まれない核種です。通常の原発は、燃料棒は被膜に覆われ、冷却水が直接、燃料棒に触れることはありません。でも、福島第1原発は、むき出しの燃料棒に直接触れた水が発生している。処理水に含まれるのは、事故由来の核種です」(山本拓議員)

溶融燃料と接触した水の海洋放出は世界的に前例があるか?前例がないなら安全だと言える確証はまったくない。デブリに触れた汚染水の海洋放出はあり得ない。

【東電回答9】

〇放射性物質を原子力施設から環境中へ放出する際に、管理対象とする放射性物質の種類については、国の規制基準の下、施設毎(事業内容、炉型など)に定められています。
〇環境へ放出する場合には、トリチウム以外のそれら放射性物質についても規制基準以下の濃度であることを確認することとしており、放射性物質を環境中へ放出する際の国の規制基準を満たす、という観点では、他の原子力施設から排水される水と、変わりはありません。

【質問10.トリチウム以外の放射性核種や溶融した物質の検証がされていない】

   政府は通常の原発でもトリチウムが発生し、海洋放出しているから、基準値以下に薄めれば問題ないとの説明をしているが、福島第一の場合は溶け落ちた核燃料に触れた水である事。政府はこの問題をトリチウムだけにファーカスしている。

   海洋放出基準は放射性核種に限定し、核分裂した安定テルル、溶解した金属特にステンレス鋼材やジルコニウム,スズ等、さまざまな有機物、コンクリート、腐食酸、硫酸還元菌、放射性炭素等は含まれていない。本件について経産省、東電、IAEA,規制庁はどのように判断しているのか?

【東電回答10】

ALPS処理水の海洋放出に当たっては、希釈前の段階でトリチウム以外の放射性物質が規制基準(告示濃度比総和1未満)を満足していることを確認するだけでなく、水質汚濁防止法に基づき定められた福島県条例の一般水質基準の対象項目について、自主的に放出の都度満足していることを確認します。

【質問11.IAEAと日本政府は出来レース】

日本政府はIAEA(国際原子力機関)を第三者機関の評価としていますが、IAEA(※)と日本政府は海洋放出ありきで日本政府と協定を締結しているとすれば、公正・ 中立な評価は不可能。原発推進のIAEA以外の第三者機関の査察も受けるべきで
 はないか?

IAEA(国際原子力機関)の立場は福島第一の汚染水の海洋放出を禁止すれば、世界中の原発を止めざるを得なくなる為、福島第一原発の汚染水の海洋放出を認可するしかないという立場。(IAEAは原発推進の立場)

【東電回答11】

IAEAのタスクフォースは、IAEAおよび世界各国(中国・韓国・ロシア等を含む)の国際専門家で構成されております。当社はレビューに真摯に対応してまいります。

 

「参考リンク・文献」
1.IAEA包括報告書 :
https://www.iaea.org/sites/default/files/iaea_comprehensive_alps_report.pdf
2.ドイツのレムケ環境大臣の声明:https://www.bmuv.de/TB3894
3.3年で437億円に増加:https://uneriunera.com/2023/07/25/kaiyouhousyutsu19/
4.4,150億円とした根拠:
https://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/hairo_osensui/pdf/sesaku_2301.pdf
5.東電への質問全文(前半部分):https://nimosaku.blog.ss-blog.jp/2023-06-12
6.福島県内自治体への世論調査:https://www.zenshoren.or.jp/2023/07/24/post-26839
7.IAEAと日本政府は出来レース』は以下:https://nimosaku.blog.ss-blog.jp/2023-05-08
8.IAEA(国際原子力機関)の立場:https://www.unic.or.jp/info/un/unsystem/specialized_agencies/iaea/


【お願い】:
質問や回答には若干間違っている可能性の部分もあろうかもしてません。
「2.公開の目的」をお読みいただき、今後の東電や経産省、規制庁との交渉の参考としてお役立て頂ければと思います。


続きは後半をご覧ください。
https://nimosaku.blog.ss-blog.jp/2024-01-16






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原発を止めた裁判長から学ぶ

「原発をとめた裁判長、そして原発をとめる農家たち」の映画を観てきた。

原発をとめた裁判長は樋口英明さん、原発をとめる農家たちは主に二本松市でソーラーシェアリングをしている農家たち・・・

 小原浩靖監督には次回の映画に「甲状腺がん患者」について、是非映画製作して欲しいと質疑・応答の中で要請したら、河合弁護士からも言われているとの事。

質後・応答の中で、小生から350人にも甲状腺がん患者が苦悩している事。UNSCEARや政府によって、被ばく線量が100分の1程度に過小評価されている事を聴衆にも伝えてきました。すぐに映画化するのは難しそうですが、いろいろな場面で「甲状腺がん患者」について発言する事を期待し、「明らかにする会」発行の冊子「チェルノブイリ並み被ばくで多発する福島甲状腺がん」を献本して、是非学んで欲しいとお願いしてきた。

樋口論理(耐震性が足りない。経済よりも人格権が優位)が原発を止めたた。非常の分かりやすい理論。裁判官には難しい論理は通じないようだ。このシンプルな樋口論理に他の裁判長が続く事を期待したい。

映画終了後、樋口英明さんのメッセージが読み上げられた。
その中で
「脱原発運動の最も強力な敵は、原発回帰に舵を切った政府でも電力会社でもない。最も強力な敵は「先入観」。「原発事故を経験しているから、
それなりの避難計画が立てられているだろう」 「規制委員会の審査に合格しているから、再稼働した原発はそれなりの安全性が備わっているだろう」との「先入観」。

「政府が推進しているから原発は必要なのだろう」 「原発は難しい問題だから、素人には分からない」という「先入観」

原発は私たちの常識が通用しない発電施設。原発は止めるしかないのです。我が国は自然エネルギーに満ちた国。原発止めても大丈夫。

能登半島沖の地震は自然界からの最後の警告かもしれない。自然界からの警告に真摯に耳を傾ける必要がある。

 ・・・ ここまでメッセージの一部・・・

この問題を福島事故時の放射能被ばくや甲状腺がんに置き換えれば、「世界中の専門家で構成されたUNSCEARが言っているのだから、間違いないだろう」とする「先入観」が、日本政府、福島医大、メデイア、市民の間に広まっている事。 環境省はUNSCEAR 2020/2021報告書の全文を読んでいなこともばれている。

「福島医大」が言っている事は正しいという「先入観」が地元メディアに広がっている事は危険な状況。
福島医大はUNSCEAR2020/2021報告書を詳しく読んでいない事が、福島医大の論文からも明らかになっている(岡山大学・津田教授談)

この「先入観」に風穴を開けるには、本命である政府(環境省、内閣府、復興庁、規制庁等、放射線審議会も?)に直接解説する事が早道だろう・・・

 当然、並行して、UNSCEAR、メデイア、市民、そして福島医大や福島県への情報提供・拡散も・・・海外及び日本のメディアに訴えるには、「外国人記者クラブ」での記者会見が最も効果がありそう・・


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海洋放出に合理性は無く、日本が失うものは甚大(2弾)

冊子の原稿の一部を掲載してみました。


1.はじめに

 IAEAは「処理水放出を推奨も支持もしていない事を強調する」とし、お墨付きは出していない。中国、ロシア、韓国以外にもドイツのレムケ環境大臣や太平洋地域諸国も反対し、国際法や国内法、国連推奨のSDGsの「海の豊かさを守ろう」にも違反している。
 問題の本質は汚染水対策の失敗により、汚染水が増え続けている事。止水できれば海洋放出は必要ない。他の有効な施策がありながら、最も安い34億円の海洋放出を選択したが、その費用は3年間で437億円にも増えた。更に増える事は明らかだ。

 更に処理(汚染)水に伴う施策費用として、各省の総額は4,150億円(期間不明)も計上している。全て血税であり、この金は海洋放出しなければ、不必要な金であり、貧困対策や教育にも回せる金だ。中国や香港、ロシアからの海産物輸入禁止で年間約1,500億円もの機会損失になる。

 政府やメディアは『中国の対応は非科学的』として中国を非難したり、デプリに直接触れた、半減期が1570万年のヨウ素129など62種の放射性核種を含む汚染水にもかかわらず、世界中の通常運転時の原発からのトリチウム排出量と比較したり、問題の本質を歪めている。将来周辺各国住民の健康被害や生態系への影響が出ないとする保障はない。

 日本政府や東電は「海洋放出は廃炉の為には避けて通れない」と言うが、デプリ取り出しや、その保管方法等の目途が立っていない現状で、取り出したデプリの大きな保管場所確保の緊急性は無く、今急いで海洋放出する合理性は見当たらない。

 東電の「廃炉」の定義には
『燃料デプリの取り出し』という言葉があるが、この定義では、「廃炉」の意味は幅広く解釈されてしまう。デプリは実験的に1gも取り出せれば「廃炉」というのか?880トンのデプリをすべて取り出し、更地にする事が「廃炉」なのか?仮に1日1トン、デプリを取り出せた場合でも、完了するまで約2年半かかる。1日1kgなら約2400年。気の遠くなる話だ。

 海洋放出で国際的な信頼失墜含め、日本が失うものは経済的、政治的、社会的、人道的にも、あまりにも甚大である。国益と国民や地球上の全て人類の健康が脅かされていく可能性がある。いずれ日本政治・日本外交の敗北が明らかになる。それを許容した日本人の敗北にもつながる。今すぐ海洋放出を止めるべきだ。


「参考リンク・文献」
1.IAEA包括報告書 :
https://www.iaea.org/sites/default/files/iaea_comprehensive_alps_report.pdf
2.ドイツのレムケ環境大臣の声明:https://www.bmuv.de/TB3894
3.3年で437億円に増加:https://uneriunera.com/2023/07/25/kaiyouhousyutsu19/
4.4,150億円とした根拠:
https://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/hairo_osensui/pdf/sesaku_2301.pdf 



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経産省と東電は海洋放出の「正当化」に答えられない

経産省は「正当化」についての検討もせず12、海洋放出を閣議決定しまっているので、今更、答えられないのだろう。このデタラメさが現在の日本政府であり、中国やロシア 太平洋諸国、ドイツ等への「正当化」を説明ができないでいる。まさに外交の敗北である。

以下は某冊子への原稿の一部

4.経産省・規制庁・東電への「正当化」に関する質問1,12,13

海洋放出の「正当化」に関する質問を、2023年7月24日に原子力規制庁13あて、7月27日に経産省12あて、7月28日には東電11に提出した。質問内容はほぼ同じものであった。
経産省や東電には2か月後に回答を督促しているが、2023年12月31日現在、未だに回答は得られていない。
紙面の制限で詳細は省略してある。質問と回答の全文は参考リンク・文献の11、12と13のURLをご覧ください。 規制庁の公式回答は5項目をご覧ください。

 経産省は「正当化」についての検討もせず12、海洋放出を閣議決定しまっているので、今更、答えられないのだろう。このデタラメさが現在の日本政府であり、中国やロシア 太平洋諸国、ドイツ等への「正当化」を説明ができないでいる。まさに外交の敗北である。

 IAEAの包括的報告書は「ALPS処理水の管理方法の最終的選択の正当性は多くの利害関係者にとって極めて重要。日本政府から明確な説明がなされるべき」としている。IAEAは日本政府の「海洋放出の正当化は個別問題」との見解を否定している。正当化を示せないままの海洋放出は国民への裏切りである。

※日本政府は太平洋諸国(PIFs)の質問に対し『ALPS 処理水の排出は「個々の側面」に相当し、福島第一原子力発電所(FDNPS)の廃炉は「全体的な慣行」に相当すると理解している。』と回答。

海洋放出を閣議決定以前に、政府と東電はどのようなプロセスで正当化を検討したのか?その定量的、定性的な検討プロセスとその結果が明らかになっていない。詳細を明らかにすべきである。

IAEAは『正当化の責任は日本政府にある』『日本政府がたどった正当化プロセスの詳細に関する評価は含まれていない。』としている。

IAEAの包括定報告書の2.3項の正当化には以下の記載がある。
 『日本政府からIAEAに対し、ALPS処理水の海洋排出に関連する国際安全基準の適用を審査
 するよう要請があったのは、日本政府の決定後であった。したがって、今回のIAEAの安全審査の 
  範囲には、日本政府がたどった正当化プロセスの詳細に関する評価は含まれていない。

5.汚染水海洋放出に関する原子力規制庁への質問と回答13
 2023年7月24日に汚染水海洋放出に関する「正当化」等に関し、原子力規制庁に質問していたところ、10日後に以下の回答が届いた。海洋放出に関する「正当化」について、原子力規制庁は関与していないとの回答であった。

原子力規制庁に質問する事で、この経産省の「正当化」問題の「まやかし」12を原子力規制庁の上層部が認識した事は成果と言える。

 
しかし、規制庁の立ち位置が一層明確になり、規制すべき部門がブレーキ役になっていず、経産省の虜になっている事が明らかとなった。

以下は原子力規制庁としての公式な回答である。紙面の制約上、詳細は省略してある。質問と回答の全文は「参考リンク・文献」の13のURLをご覧ください。

又「正当化のまやかし」については「参考リンク・文献」の12のURLをご覧ください。

1)日本政府への疑問 12  (詳細省略:4項目参照)

【質問1】 (注:経産省からの回答が得られない為、規制庁にもぶつけてみた。)

IAEA は単に「正当化する意思決定プロセスが日本政府によって踏まれたことに留意する。」としている。日本政府の正当化を認めたわけではない。
IAEAと日本政府の言っている事は矛盾だらけのまやかしであり、まさに欺瞞と言っていい。原子力規制委員会によって正当化?が審査・承認されたとの記載があるが、規制委員会は正当化をどのように評価し審査したのか?その審査の過程も含めた議事録を開示して欲しい。

2)日本政府の「正当化」主張12  (詳細省略:4項目参照)

【質問2】 (注:経産省からの回答が得られない為、規制庁にもぶつけてみた。)

この矛盾と欺瞞・まやかしに対し、規制委員会(規制庁)は、この事に関しどう評価したのか?そのプロセスも含めた議事録を公開して欲しい。
【規制庁の回答1,2】

正当化を行う主体は日本政府であり、原子力規制委員会は、政府方針によって決定されたALPS 処理水の海洋放出について、東京電力から申請があった海洋放出の設備や運用について安全性を審査し、認可したものです。

  (以下一部省略)13


【質問3-1】13

水産資源保護法違反について規制庁はどう評価したのか?(詳細省略)

【質問3-2】13

SDGsの『14.海の豊かさを守ろう』に逆行していないか?(詳細省略)

【規制庁の回答3-1,3-2】

原子力規制委員会は、水産資源保護法及び「持続可能な開発のための2030
アジェンダ」を所管しておらず、お答えする立場にありません。

4)希釈の理由の明示が無い

IAEA報告書は「希釈が放射線防護と安全の目的で行われることを意味しないように注意する必要」があり、「希釈の理由を明確に示すべきであると助言した」(41頁)と述べている。「薄めるから安全」は成り立たないのである。
政府と東電は希釈の理由と正当化について説明されていない。絶対量は変わらない。

尚、基準値は電力会社の都合で決めた値で、国が追認したもの。
【質問4】13

本件、規制庁はどう評価したのか?

【規制庁回答4】

東京電力は、政府方針を踏まえてトリチウム濃度の運用の上限値を1,500 Bq/L と設定しており、規制委員会は、この上限値が規制基準を十分に満足するものであることを確認しています。

5)海洋放出の手段は最も高価(詳細省略)

【質問5】13
 
規制庁はタスクフォースの虚偽データをどう評価したのか?タスクフォースはやり直しすべきではないか?
【規制庁回答5】
 原子力規制委員会は、海洋放出に関連する費用について、お答えする立場にありません。

6)タスクフォースへの関与と評価(詳細省略)
【質問6】13
規制庁はタスクフォースの検討結果にどう関与したか?検討結果や検討プロセスをどう捉えているか?タスクフォースはメンバー入れ替えてやり直すべきではないか?
【規制庁回答6】
原子力規制委員会は、令和3年7月の日本政府とIAEA との間での取り決めに基づき、ALPS 処理水の海洋放出に関する規制についてIAEA のレビューを受けました。レビューの枠組みについて、原子力規制委員会はお答えする立場にありません。


質問7以下省略
 

参考リンクは以下  

11.東電への正当化に関する質問全文:https://nimosaku.blog.ss-blog.jp/2023-08-18

12.海洋放出に関する政府の「正当化」説明は捏造:https://nimosaku.blog.ss-blog.jp/2023-07-19

13.原子力規制庁へも正当化に関する質問全文:https://nimosaku.blog.ss-blog.jp/2023-07-24

14.ALPS処理汚染水海洋投棄差し止め訴訟:https://alps-sashitome.blogspot.com/

15.マキジャニ博士記者会見@外国特派員協会動画:https://m.youtube.com/watch?v=yYlzuGEEdP8





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汚染水海洋放出に合理性はなく、日本は堕落の道へ

現在汚染水海洋放出に合理性は無く、日本は失うものは甚大
ー東電、規制庁からの公式回答と国内外からの反対の動きー

とのタイトルで記事を書いている。その一部をここに転載。

7.海外各国の反対の動き
-1.ドイツ・レムケ環境大臣

824日の汚染水放出当日に、ドイツのレムケ環境大臣が以下の反対声明12を出している。
その日本語訳が以下。

「環境大臣として、私は放射能のあらゆる追加的な海洋放出を極めて批判的である。そのような放出は、他の全ての道が遮断されている場合の最後の選択肢としてのみ常に効果を発揮しうるのである。そのような放出が不可避な場合は、極度の周到さが必要である。それゆえ極度も周到さが必要である。すなわちこの種のあらゆる企図は、科学的な根拠に基づいて計画され遂行されなければならない。
ただそのようにしてのみ、人間と自然に対する負荷を能う限り少なく保つか、または排除することができるのである。さらに、手続き・方法は透明でなければならない。現地の人間が決定に参加し、十分な情報を与えられていなければならない。このことを私はすでに4月中旬、札幌で開かれたG7環境大臣会合の際、日本政府に対し要求していた」

7-2.マキジャニ博士 太平洋諸島フォーラム任命専門家パネルメンバー12

『東電の汚染水投棄はIAEAの安全原則とガイドラインに違反。IAEAは、特に海洋投棄が正当化されるかどうかの検証を拒否することで、日本政府を支持するために、太平洋地域諸国の利益とIAEAのガイダンス文書を放棄した。』

-3.韓国やフィジー
韓国やフィジーでも以下の反対の動きがある事が差異止め訴訟弁護団の情報から判明した。
 この海洋放出については、韓国の憲法裁判所に4万人の市民と160頭のイルカとクジラを原告とする「憲法訴願」が申し立てられている。
 フィジーの市民団体PANは、ドイツのOcean Vision Legalのアンナ弁護士を代理人として国連人権理事会の特別報告者に通報を行った。

7-4.イタリア・メディア
処理水海洋放出開始以後、日本は国際社会の前で自らを被告席に置き、今後何年も国際的な非難に直面する。日本は"生態系の破壊者であり、地球規模の海洋の汚染者"として非難される。

8.おわりに
 海洋放出の「正当化」については、経産省も東電も答える事を拒否している。IAEAも原子力規制庁も「正当化」を判断したのは日本政府(経産省)として、自らの見解を示さず、日本政府(経産省)の虜となっている。日本政府は問題の本質を国民にも、そして世界にも説明できないまま、自ら招いた失策の海洋放出を推し進めている。

 いずれデプリの取り出しも順調にはいかず、「廃炉には避けて通れない」とする海洋放出が、国民は今すぐの必要性が無かった事に気づくであろう。しかし政府は膨大な金を電通等にばらまき、広報に力を注ぎ、自らの失敗を隠す事に躍起となるはずだ。

イタリア・メディアが「今後何年も国際的な非難に直面する。日本は"生態系の破壊者であり、地球規模の海洋の汚染者"として非難される。」と指摘。

国際的信用も失墜し、日本は更なる国際、財政・経済、社会、健康面でも堕落の道を進む事になるだろう。まさに日本政府の敗北となる。日本国民はこれを許した事で、いずれ日本人の敗北にもつながるだろう。

参考リンク・文献

2.ドイツのレムケ環境大臣の声明
   https://www.bmuv.de/TB3894

12.マキジャニ博士記者会見@外国特派員協会動画
   https://m.youtube.com/watch?v=yYlzuGEEdP8 






 


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明けましておめでとうございます。

2023年は世界政治も日本政治も悪い方向に逆回転している年だった。
その中で、もがき苦しんでいる多くの人々が、益々増加している。
その人々に政治は手を差し伸べていない。


原発事故によって350名以上の甲状腺がんで苦しんでいる患者がいる。しかし、国際機関のUNSCEARも日本政府も福島県も間違ったUNSCEAR2020/2021報告書に依拠している為に、放射能被ばくを無かった事にし、甲状腺がん患者を葬り去ろうとしている。


しかしながら、UNSCEAR2020/2021報告書には100ヶ所以上もの間違い、被ばく線量矮小化、改竄・捏造がある事が大阪大学医学部名誉教授らによって判明した。UNSCEARもこの事に気づいている。しかし、国際機関UNSCEARの間違った結論でも、国連参加国の承認を得ているものを、新たに変える事は容易ではない。


まずは日本政府、特に環境省、外務省、復興庁、内閣府等を説得させる事が重要で、その為には政治の力が必須。今年は早速政治(国会議員)の力を借りるべく、某国会議員を仲介に既に動いている。また福島県議会も動かしたい。


1年の計は元旦にあり。上記が今年の大きな目標でもある。この事で350人以上の苦しんでいる多くの甲状腺がん患者が救われる事を期待したい。この事で裁判も有利に展開される。


この真相を明らかにする事は、原発事故を防げなかった大人の責務であろう。このブログを読んでいる方の多くの共感が得られる事を強く望みたい。真相を知った日本人なら誰もが思う事では無いだろうか?この腐った日本政府や、政府の思惑に忖度し、被ばく線量を小さく見せようと工作してきた御用学者達たちは、甲状腺がんで苦しんでいる患者を突き放し、更に苦しめている。彼らは甲状腺患者を一人の人間としては見ていない。血の通った心ある人種とは思えない。
 
毎日のようにTVではイスラエル・ガザを放映しているが、今でも闘っているウクライナや甲状腺がん患者を忘れ去ってはならない。


世界で苦しんでいる人々を助ける事は、更に大きな国際政治力、国際政治のバランスが無いと一歩も動かせない。しかしUNSCEARを動かす事は、一人の個人の力でも動かす事も可能なのだ。(実際には多くの真っ当な学者や専門家の支援なしには動かせないが・・)

そして、UNSCEAR批判や汚染水海洋放出批判の第3弾の冊子の発刊。


今年は昨年に訪問した東北や甲信越の日本100名城や続日本100名城、世界遺産、縄文遺跡訪問引き続き、東海、中部、関西地域巡りも実施していく。3月には早速、京都、大阪、奈良、滋賀を中心に100名城等めぐりを計画中。
昨年同様、基本は以下の4点に尽きる・・
1.快適に生きる。
2.健康に生きる
3.楽しく生きる
4.後世に生きた証を残す(後世に良い日本を残す)

下の写真3枚目以降は昨年10月に青森県深浦で撮った日本海に沈む夕日。
日本海に沈む夕日を眺めながらのビールは至福の時・・・今年も日本海の夕日を眺めたい・・・
2枚目の写真は本日のTVから・・・


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