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東電、規制庁からの公式回答と国内外の反対の動き(後半)

 海洋放出に合理性はなく、日本が失うものは甚大(後半)

―東電、規制庁からの公式回答と国内外の反対の動き―

前半に続き後半を公開します。
前半は以下ご覧ください。
https://nimosaku.blog.ss-blog.jp/2024-01-15

-3.東電からの回答(後半)(2023年8月7日)
2023年6月3日に東電へ質問していた22項目の質問中、後半部分の回答が、約2か月経過した8月7日にようやく届いた。しかしながら、質問番号と回答番号は不一致。回答率は3割程度で未回答が多い。回答番号も間違っていた。

東電への質問は未回答の質問も含め、紙面上の制約から一部省略されています。全文は「参考リンク・文献」の9項目のURLからご覧ください。

【質問12-1)】
ALPS7種類18塔の吸着塔を通しているが、トリチウムを除き62種類核種が本当に告示濃度限界未満まで取り除かれるのか?

専門家は『炭素14やコバルト60、ストロンチウム90など同位元素は半減期が長く、海底堆積物や魚類への親和力がはるかに高く、人間と環境に潜在的にはるかに危険だ」と強調。例えば炭素14の場合、トリチウムと比較すると生物濃縮指数が5万倍にのぼり、コバルト60の場合はトリチウムに比べ海底堆積土に30万倍もよく結合する。このため汚染水を放流する前に2次処理を通じてこれら放射性物質がどれほど除去されたかを公開する必要がある』と言っている。

【東電回答12-1)】
当社が実施した放射線環境影響評価報告書においては、トリチウム以外の放射性物質である炭素14やコバルト60も含め、海底土への蓄積や魚介類への濃縮も考慮した上で、人及び海生動植物の被ばく評価を実施した結果、国際的な安全基準を大きく下回る結果となっております。

また、この評価はIAEAの包括報告書においても、「現在東京電力により計画されているALPS処理水の放出は、人及び環境に対し、無視できるほどの放射線影響となる」と結論づけられています。

https://www.iaea.org/sites/default/files/23/07/final_alps_es_japanese_for_iaea_website.pdf

当社は、ALPS処理水の海洋放出にあたり、希釈および放出する前に必ず、測定・確認用設備で69核種を測定し、その結果を当社「処理水ポータルサイト」中の「測定・確認用設備の状況」ページにて公開します。B群については既に当該ホームページでデータを公開しておりますのでご確認ください。

https://www.tepco.co.jp/decommission/progress/watertreatment/measurementfacility/

 【東電回答12-1への反論・再質問】
 東電が添付しているURLの「IAEAの包括報告書の要旨(仮訳)」は経産省が訳したもので、
都合の悪いも原文の内容は含んでいない。いつもながらの恣意的な仮訳だ。(恣意的な日本語訳を、いつまでも「仮訳」のまま放置する事は彼らの常套手段)

【質問12-2)】
専門家は『海洋放出される場合、海水と海洋生物、海底堆積物のモニタリングに地域の漁民と独立的な専門家が参加しなければいけない』と言っている。
JAEA
は独立した第3者機関といえるのか?『福島大学』+『他大学(東京大学等)』+『NPOたらちね』+『福島県漁業組合』+『福島県』で構成された第三者機関を設立したらどうか?

【東電回答12-2)(前半部分)】
希釈前のALPS処理水の分析として、東京電力ではなく国が第三者機関としてJAEAに対して委託するものであり、当社からの委託で実施するものではありません。

【東電回答12-2】(後半部分)】
ご意見として拝聴します。

【質問12-3).②】
放射能濃度確認はJAEAが実施するのか?この測定には第三者機関が実施すべきではないか?

【東電回答12-3).②】
希釈前のALPS処理水の放射能濃度の確認は、当社のグループ会社である東京パワーテクノロジーが実施する ほか、当社が委託する株式会社化研が実施します。当社が委託する外部機関は、当社とは資本関係が無く、分析に必要な能力(設備、力量)を有する分析機関を選定しています。さらに、国が第三者機関として選定した委託先であるJAEAも分析を実施します。

【質問12-3)①.③】5                :未回答
【質問13.小中学校へのチラシ配布について】未回答

【質問14.汚染水濃度の上昇問題】9        未回答
【質問15-1(上部) 遮水壁効果の問題・汚染地下水について】未回答

【質問15-1)(下部)】
港湾や外洋において放射性セシウムで汚染された魚介類が見つかる原因は何か?2017年以降2022年末までの港湾内魚介類:22000 Bq/kg《ほぼ90%以上が検出限界値以上》(外洋においての原因だけご教示願います)

【東電回答15-1)(下部のみ)】
外洋において、基準値を超える魚が漁獲されることについては、汚染メカニズムの解明に向け、国にも調査いただいているところです。漁獲された魚が、港湾内に棲息していた魚が出て行ったものなのか、あるいは違うのかなど、現時点で確定的なことは申し上げられない状況と認識しています。

福島第一原子力発電所の港湾では、魚類移動防止対策として、港湾口においては四重の底刺し網等、港湾内においては多数の移動防止網や刺し網等を設置するとともに、抜本的な対策として、敷地内の放射能濃度の低減に向けた構内排水路の清掃、敷地内のフェーシングなどに取り組み、港湾内の放射能濃度低減に努めているところです。

引き続き、漁業関係者の皆さまのご意見を伺いながら、魚類の移動防止対策や、港湾内魚類の刺し網による採捕・駆除対策を継続する等の対策に努めるとともに、港湾内の放射能濃度の低減に向けた構内排水路の清掃や敷地内のフェーシングなどの環境改善に係る取り組みも実施していきます。

【質問15-2)】
2017年以降、港湾の海水と魚介類の放射性セシウム濃度は殆ど減少していない。護岸遮水壁と凍土遮水壁の設置は無意味だったのではないのか。他の対策をしないのはなぜか?(遮水壁を設置しなければもっと酷い汚染が起きていたと考えるのか?)

【東電回答15-2)】
発電所からの放射性物質の港湾内への流出の影響については、港湾内の海水濃度は海側遮水壁の閉合以降低下しており、周辺監視区域外の水中における告示の濃度限度と比較すると、主な放射性物質であるセシウム137、ストロンチウム90の平均濃度は告示濃度限度を十分下回っている状況が継続しています。(放射線データの概要参照)

海洋への放射性物質の流出低減策として、敷地の除染及びフェーシング、道路及び排水路の清掃、建屋上のガレキ撤去、排水路及び建屋雨樋への浄化材の設置を進めており、引き続き流出の抑制に努めていきます。

放射線データの概要https://www.tepco.co.jp/decommission/information/newsrelease/radiation_data/pdf/2023/ad_20230601.pdf

【質問16.米ウッズホール海洋研究所のケン・ブセラー博士のコメント9:未回答
【質問17
汚染水の行き先と収支】  :未回答

【質問18-1)(前半部分)】
汚染地下水に含まれる高濃度ストロンチウム90(全ベータ)の起源はどのように考えるか?放射性セシウムとストロンチウム90の濃度が炉工学的には整合していない(核分裂収率と半減期は90Sr137Csはほぼ等しいので、地下水の汚染源になったはずのデブリでは両核種の比はほぼ1になる)が、これはデブリ形成の際の溶融温度の差で両核種が分別したと考えてよいのか?

【東電回答18-1)(前半部分)】
測定・評価対象核種の選定に当たって、原子炉内の放射性物質量の評価を行っており、ストロンチウム90とセシウム137の量は、ほぼ同量と評価しています。建屋内滞留水中のこれら2核種の濃度が違う理由は、周期表上も異なる族に属する違う元素であることから、水への移行のしやすさが異なることが原因と考えられます。

【質問18-1)(後半部分)】
高温で溶融したデブリでは放射性セシウムは大気に揮発してデブリ中では枯渇したが、低温溶融では残っている。ストロンチウム90は全てのデブリに残留している。構外の環境で、ストロンチウム90濃度が異常に低いのはそのためか

【東電回答18-1)(後半部分)
2核種の濃度が違う理由については、周期表上も異なる族に属する違う元素であることから、水への移行のしやすさや揮発性などの物理的・化学的な特性が異なることが原因と考えられます。

【質問18-2)】
現在、地下水によってデブリから溶出、漏洩していると考えられる全ベータ(ストロンチウム90と放射性セシウム)については放射線防護上、リスクはないと考えているのか。リスクがあるなら早急な対策が必要ではないのか?

【東電回答18-2)】
建屋内滞留水に含まれるセシウム・ストロンチウムについては、セシウム吸着装置(KURIONSARRYSARRY-Ⅱ)による浄化に加え、ALPSにより浄化した上でタンクに貯蔵することにより、敷地境界における実効線量が年間1ミリシーベルト未満となるようリスク低減を行っています。

建屋からの流出については、建屋内滞留水の水位が建屋周辺の地下水位よりも低くなるように管理しているため、考え難いです。さらに海側遮水壁も設置しており、海洋の放射性物質濃度が低いことを定期的なモニタリングにより確認しています。

【質問19海洋放出で失うものは甚大。得るものは廃炉という幻想のみ:未回答

【質問20.廃炉は幻想ではないか?】
  デプリ取り出し技術はいつ完成するのか?:未回答
  ②取り出したデプリはどこで保管するのか? :未回答

【質問20.③】9,10 
廃炉まで30~40年としていますが、東電が考える『廃炉』というのはどのような状況になる事と定義していますか?

【東電回答20.③】
福島第一原子力発電所の「廃炉」は(放射性物質によるリスクから人と環境を守るための)継続的なリスク低減を進めることであり、福島第一原子力発電所の場合、具体的には、汚染水対策、処理水対策、プール燃料取り出し、燃料デブリ取り出し、廃棄物対策を実施することです。

  【東電回答20.③への反論・再質問
   東電の「廃炉」の定義の中に『燃料デプリの取り出し』という言葉があるが、その廃炉の意味は幅広く解釈されてしまう。

【質問20.④】9,10 
廃炉まで30~40年としています。既に事故から13年以上も経過しています。現時点で廃炉(定義による)の工程の何%が進捗していると考えていますか?

【東電回答20.④】
既に中長期ロードマップ等でお示ししている通り、廃炉作業は 30 年から 40 年を時間軸として進めております。
また、事故発生から12年が経過し、これまでの緊急的に取り組まざるを得ない状態から、先々を見越し計画的に進めていく状態へと移り変わってまいりました。
この間、汚染水対策や使用済燃料プール内の燃料取り出しなど、相対的にリスクが高く優先順位が高いものについては、着実に進展してきたものと考えております。
福島第一の廃炉作業では今後も前例のない取り組みが続きますが、これまでの取り組みで得られた知見や経験、そして国内外の叡智を活用しながら、廃炉を着実に進めてまいります。

   【東電回答20.④への反論・再質問】
具体的な数値には触れず、精神論と今までの経過を説明するだけの回答が続く。しかし福島第一原発の廃炉までの30~40年のいうのは廃炉の定義によってはいかようにも解釈可能だ。都合が悪くなると解釈を変えてしまうのが日本政府や東電及び原子力ムラの常套手段。あいまいのまま「廃炉」という言葉だけが一人歩きし、住民に期待を持たせ、住民はそのマジックに踊らせ、騙されている。廃炉の定義については別途質問している。詳細は
「参考リンク・文献」の10項目のURLからご覧ください。

【質問21. 札幌でのG7共同声明の誤訳(改竄)の撤回・修正について】9 :未回答

【質問22】
廃炉の全体像が見えにくくなっています。あえて、全体像を見えにくくしているのでしょうか?あるいは全体像が描けない状況でしょうか

【東電回答22】
福島第一原子力発電所の廃炉作業は世界でも前例のない取り組みであり、今後の進むべき大きな目標である中長期ロードマップや原子力規制委員会のリスクマップをベースに、徐々に得られる新たな情報や知見をふまえ、「廃炉中長期実行プラン」を柔軟に見直し、3040 年後の廃止措置終了に向け、作業員および周辺環境の安全を最優先に、計画的に対応を進めてまいります。

4.経産省・規制庁・東電への「正当化」に関する質問1,12,13
海洋放出の「正当化」に関する質問を、2023年7月24日に原子力規制庁13あて、7月27日に経産省12あて、7月28日には東電11に提出した。質問内容はほぼ同じものであった。経産省や東電には2か月後に回答を督促しているが、2023年12月31日現在、未だに回答は得られていない。

紙面の制限で詳細は省略してある。質問と回答の全文は参考リンク・文献の11、12と13のURLをご覧ください。 規制庁の公式回答は5項目をご覧ください。

経産省は「正当化」についての検討もせず12、海洋放出を閣議決定しまっているので、今更、答えられないのだろう。このデタラメさが現在の日本政府であり、中国やロシア 太平洋諸国、ドイツ等への「正当化」を説明ができないでいる。まさに外交の敗北である。


 IAEAの包括的報告書は「ALPS処理水の管理方法の最終的選択の正当性は多くの利害関係者にとって極めて重要。日本政府から明確な説明がなされるべき」としている。IAEAは日本政府の「海洋放出の正当化は個別問題」との見解を否定している。正当化を示せないままの海洋放出は国民への裏切りである。

※日本政府は太平洋諸国(PIFs)の質問に対し『ALPS 処理水の排出は「個々の側面」に相当し、福島第一原子力発電所(FDNPS)の廃炉は「全体的な慣行」に相当すると理解している。』と回答。

海洋放出を閣議決定以前に、政府と東電はどのようなプロセスで正当化を検討したのか?その定量的、定性的な検討プロセスとその結果が明らかになっていない。詳細を明らかにすべきである。

IAEAは『正当化の責任は日本政府にある』『日本政府がたどった正当化プロセスの詳細に関する評価は含まれていない。』としている。

IAEAの包括定報告書の2.3項の正当化には以下の記載がある。
 『日本政府からIAEAに対し、ALPS処理水の海洋排出に関連する国際安全基準の適用を審査
 するよう要請があったのは、日本政府の決定後であった。したがって、今回のIAEAの安全審査の 
  範囲には、日本政府がたどった正当化プロセスの詳細に関する評価は含まれていない。

5.汚染水海洋放出に関する原子力規制庁への質問と回答13
 2023年7月24日に汚染水海洋放出に関する「正当化」等に関し、原子力規制庁に質問していたところ、10日後に以下の回答が届いた。海洋放出に関する「正当化」について、原子力規制庁は関与していないとの回答であった。

原子力規制庁に質問する事で、この経産省の「正当化」問題の「まやかし」12を原子力規制庁の上層部が認識した事は成果と言える。
 
しかし、規制庁の立ち位置が一層明確になり、規制すべき部門がブレーキ役になっていず、経産省の虜になっている事が明らかとなった。

以下は原子力規制庁としての公式な回答である。紙面の制約上、詳細は省略してある。質問と回答の全文は「参考リンク・文献」の13のURLをご覧ください。
又「正当化のまやかし」については「参考リンク・文献」の12のURLをご覧ください。

1)日本政府への疑問 12  (詳細省略:4項目参照)

【質問1】 (注:経産省からの回答が得られない為、規制庁にもぶつけてみた。)
IAEA は単に「正当化する意思決定プロセスが日本政府によって踏まれたことに留意する。」としている。日本政府の正当化を認めたわけではない。
IAEAと日本政府の言っている事は矛盾だらけのまやかしであり、まさに欺瞞と言っていい。原子力規制委員会によって正当化?が審査・承認されたとの記載があるが、規制委員会は正当化をどのように評価し審査したのか?その審査の過程も含めた議事録を開示して欲しい。

2)日本政府の「正当化」主張12  (詳細省略:4項目参照)

【質問2】 (注:経産省からの回答が得られない為、規制庁にもぶつけてみた。)
この矛盾と欺瞞・まやかしに対し、規制委員会(規制庁)は、この事に関しどう評価したのか?そのプロセスも含めた議事録を公開して欲しい。

【規制庁の回答1,2】
正当化を行う主体は日本政府であり、原子力規制委員会は、政府方針によって決定されたALPS 処理水の海洋放出について、東京電力から申請があった海洋放出の設備や運用について安全性を審査し、認可したものです。

  (以下一部省略)13

【質問3-1】13
水産資源保護法違反について規制庁はどう評価したのか?(詳細省略)

【質問3-2】13
SDGsの『14.海の豊かさを守ろう』に逆行していないか?(詳細省略)

【規制庁の回答3-1,3-2】
原子力規制委員会は、水産資源保護法及び「持続可能な開発のための2030アジェンダ」を所管しておらず、お答えする立場にありません。

4)希釈の理由の明示が無い
IAEA報告書は「希釈が放射線防護と安全の目的で行われることを意味しないように注意する必要」があり、「希釈の理由を明確に示すべきであると助言した」(41頁)と述べている。「薄めるから安全」は成り立たないのである。
政府と東電は希釈の理由と正当化について説明されていない。絶対量は変わらない。

尚、基準値は電力会社の都合で決めた値で、国が追認したもの。

【質問4】13
本件、規制庁はどう評価したのか?

【規制庁回答4】
東京電力は、政府方針を踏まえてトリチウム濃度の運用の上限値を1,500 Bq/L と設定しており、規制委員会は、この上限値が規制基準を十分に満足するものであることを確認しています。

5)海洋放出の手段は最も高価(詳細省略)

【質問5】13
 
規制庁はタスクフォースの虚偽データをどう評価したのか?タスクフォースはやり直しすべきではないか?
【規制庁回答5】
 原子力規制委員会は、海洋放出に関連する費用について、お答えする立場にありません。

6)タスクフォースへの関与と評価(詳細省略)
【質問6】13
規制庁はタスクフォースの検討結果にどう関与したか?検討結果や検討プロセスをどう捉えているか?タスクフォースはメンバー入れ替えてやり直すべきではないか?

【規制庁回答6】
原子力規制委員会は、令和3年7月の日本政府とIAEA との間での取り決めに基づき、ALPS 処理水の海洋放出に関する規制についてIAEA のレビューを受けました。レビューの枠組みについて、原子力規制委員会はお答えする立場にありません。

7)海洋放出時の拡散シミュレーション(詳細省略)

【質問7】13
規制庁は海洋放出後の拡散をどう評価したのか?その評価プロセスと結果を開示願いたい。

【規制庁回答7】
原子力規制委員会は、昨年7 22 日に変更認可したALPS処理水の海洋放出関連設備の設置等に係る実施計画の審査書「第2章 政府方針に照らした確認」において、東京電力が行った放射線影響評価を確認しています。東京電力は、放射線影響評価の中で海洋拡散に関するシミュレーション結果を示しており、原子力規制委員会は、計算領域境界部(490km×270km)のトリチウム濃度が日本周辺海域の海水中トリチウム濃度を十分下回っていることを確認しています。


6.国内外の反対の動き
-1.日本国内(差し止め訴訟)14
 2023年8月24日に強行された汚染水(アルプス処理水)海洋放出をめぐって、漁業者に対しては漁業行使権の侵害と生業を破壊する人格権侵害、一般市民には平穏生活侵害を根拠に、東電に対し、海洋放出の差し止めを、国には海洋放出関連の許可の取り消し等を求め、行政訴訟と民事訴訟を福島県内外の住民合わせて363名が2023年9月8日(一次訴訟)と、11月9日(二次訴訟)に福島地方裁判所に提訴した。

-2.ドイツ・レムケ環境大臣
824日の汚染水放出当日に、ドイツのレムケ環境大臣が以下の反対声明12を出している。その日本語訳が以下。

「環境大臣として、私は放射能のあらゆる追加的な海洋放出を極めて批判的である。そのような放出は、他の全ての道が遮断されている場合の最後の選択肢としてのみ常に効果を発揮しうるのである。そのような放出が不可避な場合は、極度の周到さが必要である。それゆえ極度も周到さが必要である。すなわちこの種のあらゆる企図は、科学的な根拠に基づいて計画され遂行されなければならない。(中略)
 さらに、手続き・方法は透明でなければならない。現地の人間が決定に参加し、十分な情報を与えられていなければならない。このことを私はすでに4月中旬、札幌で開かれたG7環境大臣会合の際、日本政府に対し要求していた」

-3.マキジャニ博士 太平洋諸島フォーラム任命専門家パネルメンバー14
東電の汚染水投棄はIAEAの安全原則とガイドラインに違反。IAEAは、特に海洋投棄が正当化されるかどうかの検証を拒否することで、日本政府を支持するために、太平洋地域諸国の利益とIAEAのガイダンス文書を放棄した。

-4.韓国やフィジー
韓国やフィジーでも反対の動きがある事が差異止訴訟弁護団の情報から判明した。
 この海洋放出については、韓国の憲法裁判所に4万人の市民と160頭のイルカとクジラを原告とする「憲法訴願」が申し立てられている。
 フィジーの市民団体PANは、ドイツのOcean Vision Legalのアンナ弁護士を代理人として国連人権理事会の特別報告者に通報を行った。

-5.イタリア・メディア
処理水海洋放出開始以後、日本は国際社会の前で自らを被告席に置き、今後何年も国際的な非難に直面する。日本は"生態系の破壊者であり、地球規模の海洋の汚染者"として非難される。

7.おわりに
海洋放出の「正当化」については、経産省も東電も答える事を拒否している。IAEAも原子力規制庁も「正当化」を判断したのは日本政府(経産省)として、自らの見解を示さず、日本政府(経産省)の虜となっている。日本政府は問題の本質である海洋放出の「正当化」について、国民にもそして世界にも説明できないまま、自ら招いた失策の海洋放出を強引に押し進めている。
 デプリの取り出しは順調にはいかず、「廃炉には避けて通れない」とする海洋放出は、今すぐの必要性が無かった事に国民はいずれ気づくであろう。しかし政府は膨大な資金を電通等にばらまき、広報に力を注ぎ、自らの失敗を隠す事に躍起となるはずだ。

イタリア・メディアが「今後何年も国際的な非難に直面する。日本は"生態系の破壊者であり、地球規模の海洋の汚染者"として非難される。」と指摘しているように、日本は国際的信用も失墜し、更なる国際、財政・経済、社会、健康面でも堕落の道を進む事になるだろう。まさに日本政府の敗北となる。日本国民はこれを許した事で、いずれ日本人の敗北にもつながるだろう。日本人が敗北する前に、日本人の手(世論)で、海洋放出を止める事ができれば、日本人は国際的に信頼される国民になれるだろう。

【お願い】

質問や回答には若干間違っている可能性の部分もあろうかもしてません。
「2.公開の目的」をお読みいただき、今後の東電や経産省、規制庁との交渉の参考としてお役立て頂ければと思います。

前半は以下ご覧ください。
https://nimosaku.blog.ss-blog.jp/2024-01-15


「参考リンク・文献」
1.IAEA包括報告書 :
https://www.iaea.org/sites/default/files/iaea_comprehensive_alps_report.pdf
2.ドイツのレムケ環境大臣の声明:https://www.bmuv.de/TB3894
3.3年で437億円に増加:https://uneriunera.com/2023/07/25/kaiyouhousyutsu19/
4.4,150億円とした根拠:

https://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/hairo_osensui/pdf/sesaku_2301.pdf
5.東電への質問全文(前半部分):https://nimosaku.blog.ss-blog.jp/2023-06-12
6.福島県内自治体への世論調査:https://www.zenshoren.or.jp/2023/07/24/post-26839
7.IAEAと日本政府は出来レース』は以下:https://nimosaku.blog.ss-blog.jp/2023-05-08
8.IAEA(国際原子力機関)の立場:https://www.unic.or.jp/info/un/unsystem/specialized_agencies/iaea/
9.東電への質問全文(後半部分)   :https://nimosaku.blog.ss-blog.jp/2023-06-12-1
10.東電が考える「廃炉」の定義に唖然: https://nimosaku.blog.ss-blog.jp/2023-08-09
11.東電への正当化に関する質問全文:https://nimosaku.blog.ss-blog.jp/2023-08-18
12.海洋放出に関する政府の「正当化」説明は捏造:https://nimosaku.blog.ss-blog.jp/2023-07-19
13.原子力規制庁へも正当化に関する質問全文:https://nimosaku.blog.ss-blog.jp/2023-07-24
14.ALPS処理汚染水海洋投棄差し止め訴訟:https://alps-sashitome.blogspot.com/
15.マキジャニ博士記者会見@外国特派員協会動画:https://m.youtube.com/watch?v=yYlzuGEEdP8












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