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海洋放出に合理性は無く、日本が失うものは甚大(2弾)

冊子の原稿の一部を掲載してみました。


1.はじめに

 IAEAは「処理水放出を推奨も支持もしていない事を強調する」とし、お墨付きは出していない。中国、ロシア、韓国以外にもドイツのレムケ環境大臣や太平洋地域諸国も反対し、国際法や国内法、国連推奨のSDGsの「海の豊かさを守ろう」にも違反している。
 問題の本質は汚染水対策の失敗により、汚染水が増え続けている事。止水できれば海洋放出は必要ない。他の有効な施策がありながら、最も安い34億円の海洋放出を選択したが、その費用は3年間で437億円にも増えた。更に増える事は明らかだ。

 更に処理(汚染)水に伴う施策費用として、各省の総額は4,150億円(期間不明)も計上している。全て血税であり、この金は海洋放出しなければ、不必要な金であり、貧困対策や教育にも回せる金だ。中国や香港、ロシアからの海産物輸入禁止で年間約1,500億円もの機会損失になる。

 政府やメディアは『中国の対応は非科学的』として中国を非難したり、デプリに直接触れた、半減期が1570万年のヨウ素129など62種の放射性核種を含む汚染水にもかかわらず、世界中の通常運転時の原発からのトリチウム排出量と比較したり、問題の本質を歪めている。将来周辺各国住民の健康被害や生態系への影響が出ないとする保障はない。

 日本政府や東電は「海洋放出は廃炉の為には避けて通れない」と言うが、デプリ取り出しや、その保管方法等の目途が立っていない現状で、取り出したデプリの大きな保管場所確保の緊急性は無く、今急いで海洋放出する合理性は見当たらない。

 東電の「廃炉」の定義には
『燃料デプリの取り出し』という言葉があるが、この定義では、「廃炉」の意味は幅広く解釈されてしまう。デプリは実験的に1gも取り出せれば「廃炉」というのか?880トンのデプリをすべて取り出し、更地にする事が「廃炉」なのか?仮に1日1トン、デプリを取り出せた場合でも、完了するまで約2年半かかる。1日1kgなら約2400年。気の遠くなる話だ。

 海洋放出で国際的な信頼失墜含め、日本が失うものは経済的、政治的、社会的、人道的にも、あまりにも甚大である。国益と国民や地球上の全て人類の健康が脅かされていく可能性がある。いずれ日本政治・日本外交の敗北が明らかになる。それを許容した日本人の敗北にもつながる。今すぐ海洋放出を止めるべきだ。


「参考リンク・文献」
1.IAEA包括報告書 :
https://www.iaea.org/sites/default/files/iaea_comprehensive_alps_report.pdf
2.ドイツのレムケ環境大臣の声明:https://www.bmuv.de/TB3894
3.3年で437億円に増加:https://uneriunera.com/2023/07/25/kaiyouhousyutsu19/
4.4,150億円とした根拠:
https://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/hairo_osensui/pdf/sesaku_2301.pdf 



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