SSブログ

チェルノブイリ被害の全貌(1)

岩波出版の 「 調査報告・チェルノブイリ被害の全貌 」
2013年4月発刊

著者
アレクセイ・v・ヤブロコフ(ロシア・科学アカデミー)
ヴァリシー・B・ネステレンコ(ベラルーシュ・放射線安全研究所)
アレクセイ・V・ネステレンコ( 同上 )
ナタリア・E・プレオブランシェスカヤ(ウクライナ)


本の内容(概要)は以下
・チェルノブイリ事故から25年にわたって行われた調査研究報告書
 295ページの大型の本
・チェルノブイリ後25年以上が過ぎたが、人の健康と環境に及ぼした
 悪影響に関するデータは現在も増え続けており、楽観を許すような状況ではない。
・5000本以上の文献を反映したものであり、1000本以上の文献を取り上げている。


本は次のように語っている。
『原子力産業に関わる専門家たちの唱える「そろそろチェルノブイリを忘れよう」
という主張は倫理的に筋が通らない』
『原子力産業界は原発によって、人類の健康と地球環境を危険にさらす。
チェルノブイリはそうした姿勢が理論上だけでなく
実際上も核兵器に匹敵する被害をもたらすことを実証している』

この本を読むことにより、チェルノブイリ事故がいかに大きなものであったか
(旧ソ連のチェルノブイリ地区にとどまらず北半球を中心にして地球規模で
悪影響をもたらした)

しかも、その真実が伝えられていなかったか、を理解することができる。
(旧ソ連、そして原子力産業により意図的に隠された!)

さらに、今だに続いているチェルノブイリ周辺国のすさまじいばかりの
健康被害などの状況から、そのようなことがフクシマでも今後起こるかも
しれないとの覚悟が必要かもしれない。
(福島の多くの人々のムードはあまりにも楽観的あるいは無知過ぎると指
摘されるかもしれない)

この本は、今後フクシマ(日本)が、早急に取るべき対策をも示唆。

以下、『 』については、本書の抜粋である。


「まえがき」より(ディミトロ・M・グロジンスキー教授=ウクライナ国立科学
アカデミー一般生物学部長。国立放射線被ばく防護委員会委員長)

『チェルノブイリの大惨事が、突如発生してこの世界を一変させてから
25年以上が過ぎた。壊れた原子炉から排出された放射性物質が
生きとし生けるものすべての上に降り注ぎ、わずか数日の間に、
大気も水も花も木も森も、そして海も、人間にとって脅威の源と化した。
北半球全域で放射能が生活圏のほとんどを覆い尽くし、
すべての生き物にとって潜在的な危害の発生源となった。

大惨事後20年間における罹病率が増加、潜伏期間の長い腫瘍性疾患、
とりわけ乳がんや肺がんが増加した。
健康といえる子供の割合が減り続けている。
ウクライナのキエフでは事故前は90%の子が健康だったが、現在は20%にすぎない。』
(チェルノブイリ事故はこの本ではチェルノブイリ大惨事と表現されている)


「序論・チェルノブイリについての厄介な真実」より
『1986年4月26日に起きたチェルノブイリ原子力発電所4号炉の爆発は、
地球上の何百万何千万もの人々にとって人生を二分するものなった。
チェルノブイリ事故では・・・・公職者は卑怯な臆病ぶりを露呈し、
何の落ち度もない住民が想像を絶する害を被る恐れがあることを警告しなかった。』

『この25年間で、原子力には核兵器より大きな危険が潜んでいることが明らかになった。』

『2005年4月。事故から20年を迎えるに先立ち、第3回チェルノブイリフォーラム会合が
ウイーンで開かれた。
(IAEA、UNSCEAR=国連科学委員会,WHO,ベラルーシュ、ロシア、
ウクライナ政府からの派遣者が参加)

この報告書で、被害者は9000人(注)(死亡または放射能誘発ガン発症)
甲状腺がんの子ども4000人(注)手術。
汚染地域では原発収束作業員と子どもたちに白内障の増加がみられた。』

(注:この数字はIAEAが意図的に調査範囲を狭め矮小化。)



『汚染地域の住民の間に広がる貧困、被害者意識、運命論にもとづく
あきらめのほうが放射能より危険だと指摘する者もいる。』

『一部の原子力産業と結びついた専門家は、絶対的に見て人間の健康に対する
悪影響は、それまで考えられていたほど重大なものではないと結論した。』

『これに対する立場を表明したのが、当時の国連事務総長コフィー・コナンだった。
「チェルノブイリは私たち皆が記憶から消し去りたいと思っている言葉です。
しかしながら、700万を超す同胞にとっては忘れたくても忘れられない。
その人たちは、あの出来事の結果今も苦しんでいます。

被害者の正確な数がわかることは決してありません。
しかし、2016年あるいはそれより早い時期に300万の子どもが
治療を必要としているということは、深刻な病気の恐れのある人が
それだけいるということです。
そうした子供たちは、子供時代だけでなく将来の生活も損なわれるでしょう。
若くして亡くなる人も多いでしょう」』

nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:地域

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0