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被害者が棄民化された現状と課題

たんぽぽ舎のメルマガの一部を転載


あれから6年 福島第一原発事故とわたし
   福島第一原発被害者が棄民化される現状と支援の課題
 

3・11から6年。あまりにも長い避難生活であるが、今年3月末には
より一層厳しい状況が待ち受けている。
それは「福島県による避難指示区域外から避難した自主避難者への
住宅無償提供の打切り」である。
福島県の方針は、もちろん国の方針に連動したものである。
本稿は国、県、東電の方針がいかに避難者を見捨てる結果となっている
のかを報告するとともに、福島原発から電力の供給をうけて生活してきた
者として何ができるかを問いかけたいと思う。

□ 国、東電、福島県の「棄民」政策

国の政策の基本は「原発事故はなかったこと」にしようとするものであ
る。その具体化が「避難指示区域」の解徐である。
国は安全・安心に生活できるという根拠を欠いたまま「帰還困難区域」
以外の避難指示を今年3月末までに解除する方針を打ち出し、解除に
反対する多くの住民の声を無視して着々と解除を強行している。

今年3月末には飯館村と浪江町(帰還困難地区を除く)、川俣町山木屋
地区の避難指示が解除される予定であり、富岡町も4月には解除の方針で
ある(帰還困難区域を除く)。
その後に避難指示が残るのは、双葉町、大熊町、浪江町の一部、飯舘村
の一部、富岡町の一部の帰還困難区域のみになる。
このような国の強行方針は、東電による避難指示解除区域の精神的損害
賠償の打切り(2018年3月末)につながり、そして先の福島県の「住宅無償
提供の打切り」につながっているのである。

□ 苦難を強いられている避難者

「住宅無償提供の打切り」は、上記の通り避難指示区域以外の地域から
避難している人々が対象である。国やマスコミは、この人々を「自主避難
者」という。自主避難というと、勝手に避難しているというニュアンスだ
が、それは事実とは異なる。
避難指示区域以外の地域も放射能に汚染されている。
帰りたくても帰れないのに、東電からの賠償は一切ない。
「住宅無償提供の打切り」はしたがって死活問題なのである。

福島県の避難者は、県内41,051人(昨年12月28日現在)、県外避難
39,818人(今年1月16日現在)であり、避難者はいまだに8万人を超える。
その要因は、帰還困難区域が残ることと、避難指示を解除した地域の住
民の帰還が進まないことである。避難指示を解除した地域の帰還状況は、
対象避難者の多い楢葉町10.5%、葛尾村8.0%、南相馬市13.7%というよ
うにきわめて少ない(東京新聞2月4日)。

福島県の被災者が避難先に移住先を求めた件数は9,552件(福島県内に
8,290件)に上る(東京新聞2月4日)。東京新聞は「政府は次々と避難
指示を解除し帰還を進めようとするが、避難住民の多くは厳しい故郷の現
実の前に、避難先で落ち着こうとする様子がうかがえる」と伝えている。
筆者は被災当初から「集団移転」を主張してきたが実現せず、住民個々
の判断によるバラバラな移転・移住が進んでいる。

□ これから支援者として何ができるか

当面の課題は「住宅無償提供の打切り」に困惑している避難者の支援で
あり、すでに多くの支援の手が延べられている。
また、避難指示区域が解除されることで自主避難の扱いとなる避難者の
ことも懸念される。
現段階では福島県は打ち切りの方針を変えていないが、まだ時間はある。
県に対する交渉支援を強化するとともに、避難先の東京都などに対する
無償提供の継続を求めていく必要がある。

「住宅無償提供の打切り」が強行されれば、次は避難指示解除地域の
仮設住宅(みなし仮設を含む)の打ち切りである。
福島県の避難者が路頭に迷うことは、大地震、大津波、原発災害に続く
第4の災害になる。第4の災害にならないように、つくすべき手はすべて
つくすことが求められている。


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