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学術学会は支配できない

新聞と雑誌からの記事を二つ。たんっぽ舎のメルマガからの転載。


◆学術会議は支配できない

前川喜平(現代教育行政研究会代表)

菅義偉首相による日本学術会議の6人の会員の任命拒否は、憲法が保障する学問の自由の侵害であり、日本学術会議法に違反する行為である。
「学者の国会」と呼ばれる学術会議は、科学者たちが学問の自由や言論の自由のもとで議論し、政府に勧告などを行う、政府から独立した自律的な機関である。その委員は学術会議が選考し、学術会議の推薦に基づいて首相が任命する。「基づいて」という法律用語は強い拘束性を意味する。
原則として推薦どおりに任命するということだ。首相の任命権は形式的なもので、実質的な任命権は学術会議自身にある。

菅首相は任命権を自分の好きなように使えるものだと勘違いしているようだ。人事権を駆使して官僚組織を支配してきた彼は、学術会議もその手で支配できると思ったのだろうが、学問の自由の世界を相手に同じ手は通じない。 彼は、学問の自由について考えたこともないし、意味も全く分かって いないのだろう。

学術会議は、任命しなかった理由を明らかにし、6人を改めて任命することを求める文書をまとめた。菅首相は6人を任命から除外した理由を記者に聞かれて「法に基づいて適切に対応した結果」と答えたが、全く答えになっていない。実のところ、理由を答えられるはずはないのである。やってはいけないことをやったのだから。(10月4日東京新聞朝刊21面「本音のコラム」より)


◆学問の自由をわきまえない菅政権 歴史に学ばない中世暗黒国家か小林節が斬る! ここがおかしい

憲法23条は「学問の自由は、これを保障する」と明記している。単純な一文であるが、それには長い歴史的背景と深い意味がある。(中略)
科学者は、客観的な事実と論理のみに基づいて物事の「因果関係」を明らかにすることにより、文明の進歩つまり人類の幸福の増進に貢献することを使命とする者である。

歴史的には、自分の野望の妨げになると考えた政治権力者、大資本家、商売宗教家から科学者が弾圧された事例は枚挙にいとまがない。そのような体験から、欧米において人権としても「学問の自由」が確立され、日本国憲法にも導入された。

だから、政治権力は学問の自由に介入してはならない。つまり、政治は学説の故に学者の扱いに差をつけてはならない・・・・・・という憲法原則が存在することを忘れてはならない。(中略)

任命権者は首相である。しかし、それは同会議の権威性を確認するために形式的に首相による任命と定めてあるだけで、首相に「拒否権」があるわけでない。(中略)

学問的実績の高い学者が学問的良心に従って政権からの提案に異を唱えたら権力を使って不利益処分を下す。これは、現代の踏み絵であり、中世の暗黒国家のようである。(10月5日号(発行は3日)「日刊ゲンダイ」より抜粋)

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