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県民健康調査検討委員会へ要望書提出

 11月24日に新たなメンバーでの県民健康調査検討委員会が開催される。その検討委員会あてに『福島原発事故による被ばくの真相を明らかにする会』が以下の要望書を提出した。

                                  〈要望書〉 


県民健康調査検討委員会各位殿       2023年11月16日
甲状腺評価部会各位殿
   福島県・県民健康調査課・佐藤課長殿
 福島医大・県民健康管理センター長、各部門長

日頃のご尽力に感謝申し上げます。


私たち『福島原発事故による甲状腺被ばくの真相を明らかにする会』(明らかにする会)は、 福島原発事故の甲状腺がんと放射線被ばくの因果関係について、福島医大の論文はじめ多くの論文やデータを真剣かつ集中的に研究してまいりました。 更に、2020年3月に「UNSCEAR2020/2021報告書」が発行されてからは、他の多くの研究者らと共に UNSCEAR2020/2021 報告書の検証をしてまいりました。 


その結果、
1.大阪大学・名誉教授の本行忠志氏によって、UNSCEAR2020/2021報告書には100ヶ所以上の間違い、線量評価の過小評価、矮小化、捏造等がある事が明らかとなりました。特にプルームによる初期甲状腺等価線量の内部被ばく値は、高エネルギー加速器研究所・名誉教授の黒川眞一氏によって約1/100(2桁以上)の矮小化が確認されました。

更に昨年7月に、いわき市等で開催された、UNSCEAR 主催の『パブリック・ミーテング』での質問や事前の公開質問等の結果、 その間違いや歪曲・捏造がいっそう明らかとなりました。
尚、UNSCEARへの質問結果や回答は『UNSCEAR2020/2021報告書検証ネットワーク』の以下のHPに公開しています。
『UNSCEAR 2020/2021報告書に日本側はどう関与したか』※やUNSCEAR 2020/2021報告書に100ヶ所以上の問題点を提起した結果、UNSCEARからは2020/2021報告書に代わる新しい報告書の刊行もあり得るとの回答を得ています。  


11月6‐8日に開催された第66回・日本放射線影響学会でも大阪大学・名誉教授の本行忠志氏によってUNSCEAR 2020/2021報告書の問題点について発表(資料1、資料2)されましたが、その場にいた元甲状腺評価部会長の鈴木元氏からの質問も異論も出なかったようです。この事はUNSCEAR2020/2021報告書作成に強く関与し、評価部会でもUNSCER報告書の内容を説明した鈴木元氏が、その問題点を認めた事に他なりません。この事によっても評価部会や検討委員会での過去の議論は白紙撤回すべきと考えます。

2.本会員の加藤聡子氏(理学博士)らによって発表されたCancers誌論文『福島の小児甲状腺がんとUNSCEAR2020/2021甲状腺量との間の地域線量反応と被ばく起源:チェルノブイリ並みの高濃度131I被ばく』(資料3、資料4)から、福島甲状腺がん発生率とUNSCEAR2020/2021甲状腺量との間の1、2巡目検査における量反応関係から、
①甲状腺がんは放射線被ばく由来である事、
②更に福島の実際の甲状腺被ばくはチェルノブイリ並みであり、UNSCEAR2020/2021報告書の50~100倍である事も明らかとなりました。


3.福島医大論文には多くの疑問や間違いがある事が判明しました。福島医大の論文は甲状腺吸収線量(等価線量)を自ら評価・検証する事なく、多くの論文は単にUNSCEAR報告書に依拠しているものであり、その依拠するUNSCEAR報告書の科学性が崩れたことで、医大の多くの論文の信頼性が崩れた事は明らかです。

更に甲状腺がんの被ばくとの関連についての福島医大論文は交絡因子の必要3条件を無視した交絡因子の調整と有意差検定の誤用といったロスマンの疫学やASA(アメリカ統計学会)の警告を無視する初歩的な誤りをしています。(資料5)


注:12.5年も経過し、未だに結論がでていない。検証を速やかに、かつ正確(科学的)に実施する為、福島医大が保有する情報を可能な限り世界に公開する事は必須です。
更に、偏った結果を防止し、速やかな結論を出す為にも福島医大に加え、第三者(他大学)にも検証を委託する事が重要ではないかと考えます。


私たちは福島原発事故以来、長期間にわたる検証・検討結果に基づいて、UNSCEAR 2020/2021報告書の間違い(線量評価の矮小化や捏造等)や福島医大論文の問題点を明らかにし、350人もの甲状腺がんは福島原発事故由来によるものである事を明らかにしました。
貴検討委員会や評価部会の皆様方にはUNSCEAR2020/2021報告書の多数の問題点(甲状腺等価線量評価の矮小化、歪曲、捏造、間違い等)をご認識いただき、正しい科学的情報に基づいて、以下の4点を早急に検証・実施されますよう強く要望いたします。


                               〈要望事項〉

1.上記資料1~5を検証し、UNSCEAR2020/2021報告書や福島医大論文を再検証・精査する事。特に甲状腺等価線量の再検証をする事。
(福島医大は事故から12.5年経過しても、未だに甲状腺等価線量(プルームの吸入による初期内部被ばく含む)の独自検証はしていない)


2.今までの検討委員会や評価部会の議論は100ヶ所以上の問題点が指摘されているUNSCEAR2020/2021報告書や、疫学統計学の初歩的な誤りが多い福島医大の報告(論文)に依拠している。上記理由により、いずれの報告書(論文含め)も科学的な正確性には欠けている事が明らとなった。

 その基本が崩れれば、 結論はまったく違ったものになる。正確な甲状腺等価線量値や疫学統計をベースに、今までの議論を再検証する事。


3.その結果として福島の小児甲状腺がんの多発が、福島原発事故による放射線被ばくに起因することを科学的な結論として認め、速やかに公表すること。
(この事が350人もの甲状腺がん患者の救済にもつながる。現状では被害者に対し人権侵害と言わざるを得ない。)


4.科学的根拠(エビデンス)を示さず、単にUNSCEAR2020/2021報告書の矮小化した被ばく線量値をもとに『過剰診断』だとする推論が崩れた事は明らか。
過剰診断についてUNSCEARもIRACも科学的エビデンスがあるかのような印象操作している。過剰診断とするなら、その科学的エビデンスを速やかに提示する事。 
(現状では甲状腺がん患者の心情を無視・軽視しており、憲法13条で保障する最も重要な価値であり、生存を基盤とする人格権の軽視と言わざるを得ない。)


注1:鈴木元氏は、過剰診断かどうかは30年過ぎないと明らかにならないと言明。
注2:過剰診断とすれば、福島医大は必要もない甲状腺がん患者の手術をした事になり、これは医療ミスになるのではないか?倫理的、科学的にも矛盾しているのではないか?


添付資料1: 放射線影響学会発表スライド:(注)
『福島原発事故による被ばく線量の推定に 使用されたUNSCEAR 2020/2021報告書 には、100以上の問題点が見られる』
注:英語で行われた学会発表スライドを日本語版にしています。

添付資料2:『UNSCEAR2020/2021報告書の甲状腺がんに関連 する項目の問題個所とその問題点のまとめ』     


添付資料3:Cancers誌論文 『福島の小児甲状腺がんとUNSCEAR2020/2021甲状腺量との間の地域線量反応と被ばく起源:チェルノブイリ並みの高濃度131I被ばく 』 

添付資料4:『UNSCEAR福島報告書の問題点 
甲状腺がんのデータからチェルノブイリ並み初期被ばくにより多発する福島甲状腺がん』


添付資料5:『福島医大論文の疑問や間違いがある例』
               
                             
   福島原発事故による被ばくの真相を明らかにする会

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