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再び鼻血論争

先日掲載した『放射性物質と鼻血論争』に関し、専門家から新たに情報やコメントを頂いたので、それを追記し再び掲載する。
専門家から頂いた情報やコメントから「『鼻血』が出た事は放射性物質が鼻の粘膜に付着した事に起因する事は否定できない」事が確信となった。小生の考察は間違いではない事も確認できた。
 
結論を一言でいうなら『双葉、大熊、浪江・津島、飯館等の住民は放射性物質が鼻の粘膜に付着し鼻血を出した可能性大。中通り住民はすべてが放射性物質の付着が原因とは言えきれないが、その可能性は否定できない。放射能(内部被ばく)に対する感受性は個人差大。』
 
 この歪められた事実を、やはり科学的に立証させる必要がある。以下の放医研のHPに記載の鼻血に関する記述に関し質問してみる予定。放医研が信頼できる組織であるかの再確認にもつながる。https://www.qst.go.jp/site/qms/39818.html
 
UNSCEAR2020レポートも内部被ばく線量評価は放医研等によって矮小化され歪められいる。これは放医研が主なメンバー構成(注1)であるUNSCEAR日本作業グループによって歪められている。
 
注1:明石真言、赤羽恵一、青野辰雄、(以上放医研)、小笹晃太郎(放影研)、茅野(JAEA理事)
 
  ・・・以下内容追記し再び掲載・・・
 
 
ツイッターで再び原発当時に、多くの住民が鼻血を出した原因が何だったのかについて議論が盛り上がった(笑)が、科学的・臨床学的視点でツイートして来る人は殆どいない。放射線技師や大学教官らの専門家?も参戦したが、結局自分の知識の範囲の域はでない。それ以外は感覚的・感情的・頓珍漢なツイートがほとんどで議論にならない。
 
この鼻血はプルームやセシウムボール等による放射性物質が鼻の粘膜に付着した事が原因にもかかわらず(内部被ばくとしてとらえるべき)、外部被ばく線量とたらえる人がほとんどで、まったく話にならない。
 
但し、こんなにこの問題を注視する日本人が多い事に驚いた。当時鼻血が出た住民がいた実態を直視せず、はなから政府やメデイア(政府広報機関)が言っている事を信ずる人達が罵声を浴びせてくるのにも疲弊した。このように騙されやすい日本人が多い事よ!自分では検証しない。(暇が無いのは事実)。そして政府や専門家(素人からみての専門家)が言った事は内容が間違っていても、鵜呑みにする日本人。
 
出たくぎを打たれないようにしようと考え、この事実を話す事によって、他人や友人から批判されたり、仲間外れにされる事を恐れて声を上げない人が多いのだろう・・・・こうやって事実が捻じ曲げられ、闇に葬られていく・・・
 
政府はじめ国際機関まで、約300人もの甲状腺がん患者すら放射線の影響を否定し続けている。
 
なぜ鼻血の問題について科学的・臨床的に政府も専門家も検証しないのであろうか??あった事を無かった事にしたい勢力が国内に多い事には驚いている。そこで放射性物質が鼻の粘膜への付着が原因で鼻血が出る事があるかについて検討してみた。
 
★まずは放医研(QST)のサイトに以下のような記事が掲載されていた。
 
Q.東京電力福島第一原子力発電所の事故当時に、放射性物質が鼻の粘膜に付着することで、鼻血がでることは考えられますか?
A.東京電力福島第一原子力発電所の事故当時に、放射性物質が鼻の粘膜に付着することで、鼻の粘膜に影響が出て、鼻血がでることは考えにくいと判断しています。
 
高線量の放射線に被ばくすることで、皮膚や粘膜が障害を受けることがあります。1%の方に皮膚障害の軽い症状である発赤が現れるしきい線量は、3から6 グレイであり、出血が起きる可能性がある放射線熱傷と呼ばれるやけどのような症状は、5から10 グレイとされています(国際放射線防護委員会(ICRP)刊行物No.103)。事故当時に、鼻の粘膜から出血するほどの放射性物質を鼻から吸い込んだとするならば、鼻腔粘膜にやけどのような症状が現れますが、そのような報告はありません。
 
鼻から吸い込むことで鼻腔粘膜に放射性セシウム137Cs(塩化セシウムの形で)が、付着したことを考えてみましょう。大きさ1μm(ミクロン、マイクロメートル)の137Csが24時間付着したままだった場合(ICRP66)で、粘膜の深さ0.4mmの部位(ICRU 56)で線量が3 シーベルト(3000ミリシーベルト、発赤が現れる線量に相当)となる条件を考えてみます。
 
そのためには、137Csが1cm2あたり、3.3×105 Bqの量で付着している必要があります。このような付着を起こすためには、成人の場合で、4.4×107 Bq(44 MBq、メガベクレル)、5歳児の場合2.1×107 Bq (21 MBq)、吸入により摂取する必要があります(ICRP66)。
しかし、吸入により44 MBqもの摂取があるとは考えられません。
 
福島県民の健康調査でホールボディ・カウンター等で内部被ばくを確認していますが、吸入により44 MBqもの摂取があれば、摂取から相当の日が経過してもホールボディ・カウンター等で検出可能なはずです。

また、福島県内の航空機モニタリングマップ等にあるセシウムの地表面濃度で比較的高い地域で1MBq/m2~ですので、仮に1 m2の土にあるセシウムを全て取込んでも1 MBqです。福島第一原子力発電所に入域して影響が生じたのであれば,退域時の身体サーベイで確実に汚染が発見できます。また敷地内の137Csの大気中最大濃度は270Bq/m3であり、1日の最大吸入摂取量は成人で6.0kBq、5歳児で2.4 k Bqであり(ICRP 71)、この1000倍以上も吸入摂取することは考えられません。
 
更に、事故から時間が経過したあとでは、放射性物質が半減期を迎えるなどして減衰し、なくなっていきます。皮膚も修復していくので、徐々に被ばくが蓄積するというケースでも、かなりあとになってから急性の症状が出ることは考えられません。
 
要約すると、1%の人が皮膚に発赤が現れるのは3から5グレイとし、線量が3 シーベルトで鼻血が出るだろうとの仮定。そのためには、137Csが1cm2あたり、3.3×105 Bqの量で付着している必要があります。このような付着を起こすためには、成人の場合で、4.4×107 Bq(44 MBq、メガベクレル)、5歳児の場合2.1×107 Bq (21 MBq)、吸入により摂取する必要があります(ICRP66)
 
そこで以下の疑問に突き当たる(現在放医研に公開質問中)
1.上記は皮膚に障害が出る線量であり、もっとも敏感な鼻の粘膜にあてはめられるかどうか?鼻の粘膜なら更に1/10程度になるのではないか?
2.上記は1%の人の皮膚に障害が出る線量。1000人に1人程度(0.1%)に鼻血【障害)が出る場合は、この1/10程度の線量になるのではないか?  
  
【検討結果】
1.二本松市の3月18日のヨのウ素(注1:16kBq/m³)のケースで計算してみた。最大時に1日が外気を吸い、そのうちの半分が鼻の粘膜に付着したという条件で他の核種(セシウム134及び137)も同じ線量と仮定し3日間付着し続けた場合

16kBq/m³×14m³(1日の大人の呼吸量)×3(3種の核種・同じ線量と仮定)×1/2×3(3日間)=1008kBq(約1Mbq)という事になる。この放射性物質の浮遊が数日間継続すれば、数倍のBq数になり、鼻血が出る可能性は更に大きくなる。
 
しかし、44Mbqとしたのは1%の人が皮膚に異常をきたす場合。0.1%の人と敏感な鼻の粘膜という事を考慮すれば1/10×1/10=1/100程度の0.5Mbq程度でも1000人に一人ぐらいの割合で鼻血が出る人がいてもおかしくない事になる。
 
つまり0.5Mbq程度の付着で1000人に一人ぐらいの鼻血が出る可能性が考えられるのではないか?(今後放医研に確認予定)
双葉や浪江、大熊あたりの放射性物質の浮遊量は二本松より一桁は多いだろうし、浮遊していた時間も重要な要素。
 
2.双葉、大熊、浪江や飯館あたりの空間線量は、3月12日午後から急激にあがり、100μSv/hを超えていた。浪江町・赤字木では170μSv/hを記録。この線量が数日間は続いており、雨によって地上に沈着したりするまでは数日間は続いていた地域もある。

この地域での鼻の粘膜への放射性物質の付着は、二本松住民の十倍から数十倍の10MBq~数10MBqと考えられる。この地域住民で屋外で仕事や遊んでいた住民は鼻血を出す程度の放射性物質を鼻の粘膜に付着していた事になる。
 
間違いなく鼻血が出るレベルだ。しかも放射線に対する感受性は個人によって大幅に異なる。子どもたちの鼻の粘膜は大人よりも敏感である可能性が大きい事は想像できる。
 
注1:3/18の時点で二本松市でI-132が16 kBq/m3と記載された論文は以下。
大気浮遊物質としての放射性物質,https://doi.org/10.18948/shasetaikai.2016.7.0_13
 
この時の二本松市の空間線量は場所によって異なるが、3.5~8.7μSv/h(注2)で、浮遊放射性物質量と空間線量値との変換係数は1μSv/hがBq/m³程度になる。この換算係数は、論文『初期内部被ばく線量評価で着目すべきプルーム通過時の実測値・推計値の総合解析』

(注3:森本祐一:元東大教授ら)のTable 1.Default ratio of radionuclidesや国立保健医療科学院のHP(注4)にある『空気中のセシウム137の濃度が増加してモニタリング・ポストの値が毎時0.01マイクロ・シーベルト増加したとすると、それは100 Bq/m3程度の増加を意味します。Cs-137だけを考慮すると0.4 MBq/m3もほぼ一致する。』や注5の論文との記述にほぼ一致する。
 
 
 
 
 
【事故当時の鼻血を出した調査結果】
 
★アワプラネットの記事
事故から4ヶ月。鼻血や下痢、倦怠感。OurPlanetTVで550件の異変を集計。幅広い年代で、普段は見られない症状が出ていた。550件を集計。1位は喉の不調で172件、2位の鼻血は106件で2割。しかも「夜中に鼻血が突然出て止まらない」。
 
★低レベル放射線曝露と自覚症状・疾病罹患の関連に関する疫学調査レポート
(震災当時からの1.5年後までの疾患を調査したもの)
―調査対象地域3町での比較と双葉町住民内での比較―
 
『双葉町では、いくつかの症が有意に木之本町に比べて症状が多かった。特に、鼻血のオッズ比が 3 以上であった。丸森町でも鼻血などの症状が、木之 本町と比べて多かった。双葉町、丸森町両方でオッズ比が 3 以上だったのは鼻血で、丸森 町でオッズ比 3.5(95%信頼区間:1.2, 10.5)、双葉町でオッズ比 3.8(95%信頼区間:1.8, 8.1)』
 
結論にも『平成 24 年 11 月時点でも様々な症状が双葉町住民では多く、双葉町・丸森町ともに特に 多かったのは鼻血であった』とある。
但し、患者数の割合は双葉で1.1%と丸森では0.8%と他の疾病に比較すると有症割合は小さめ。
 
以下がポイント
1. この調査は事故後1年半後なので、事故当時の放射性微粒子の鼻の粘膜に付着したのが原因なのかは不明も、調査期間が『平成23年3月11日から調査時点までに発症した病気』としている事から、事故当時の鼻血も含まれている。間違いなく双葉町住民が鼻血を出した人がいた事は事実だろう。
 
2. 調査対象に原発事故当時に露地野菜を食べたか?アンケート調査には双葉町では13.5%(平均10.6杯)丸森町では59%(20杯)の人が食べたと答えている。但し標準偏差が大きく多量に食べた住民もいる事がわかる。経口摂取による内部被ばくが大きい住民がいる事がこのアンケート調査でわかる。
 
3.UNSCEAR2020レポートがこのような住民を無視した、経口摂取により内部被ばくを無かった事にしたレポートである事が鮮明となった。
 
【結論】
線量の高い双葉、大熊、浪江・津島地区、飯館等の住民は放射性物質が鼻の粘膜に付着し、鼻血を出した可能性は大きい。(しかし100%と言えるかは断定できない)。
しかし福島市や郡山市、二本松市等の中通り地域の住民がの鼻血の原因は、すべてが放射性物質の付着が原因であるとは言えきれないが、その可能性があったと言える。放射線の感受性は個人差が大きい。
 
【関連論考や記事】
★郷地氏らは「放射性粒子による接触内部被曝」を挙げている。飛散する放射性粒子が鼻粘膜に付着し、接触状態が維持されて被曝するというもの。この粒子が鼻粘膜に一日付着すれば100mSv以上の被曝で、鼻血を引き起こす事が説明がつくという。
 
★公平にこの問題を扱っているSMCの記事。放射線被ばくは、鼻の粘膜にある腺からの粘液産生に変化をもたらす。これらの粘液は粘膜の保湿と保護のために非常に重要。「粘膜の毛布」ともいえる粘液がなくなると、粘膜は外界の刺激を受けやすくなり、出血しやすくなる。
 
 
★放射性PM2.5としての原発フォールアウト(セシウムボール)を考える - 赤の女王とお茶を (hatenablog.com)
 
 ・放射性PMとしての原発フォールアウトも、不溶性微粒子として、基本的な動態はこれと同様なものが想定されます。放射性であることで活性酸素の生成を通じて、さらに強い炎症促進能を持つ可能性が高いでしょう。
 
これらの機序と合わせて、環境中PMの増加が鼻血の頻度を増加させること自体はすでに報告があるため、双葉町の疫学的な結果と合わせても、フォールアウトによる鼻血増加の可能性を否定するのは無理筋というものです。
 
・ICRPに代表される被曝影響のモデルは、不溶性粒子やマクロファージに関するこのような知見に追いついておらず、その動態を反映できていません。不溶性粒子は吸収されないか、いずれ排出されるので問題なし、としているわけです。「想定外」というやつですね。
当たり前ですが、生物学的な動態を反映していないモデルでは、その動態に関する生物学的影響を考えることはできません。
 
・国連人権理事会がすでに勧告しているように、基本的な血液検査は当然として、このような想定しうるあらゆる健康影響に関して、低線量地域であっても希望すれば十分な健診を受けることができる体制を整えるべきであり、またフォールアウトや土壌汚染レベルとの関連も精査されるべきだといえるでしょう。

鼻血問題は、放射性PMという原発フォールアウトの性質と、従来の被曝モデルの限界、そして健康影響の精査の必要性をあぶり出してくれたといえます。
 
★「鼻血はありえない」に科学的根拠はあるか - Togetter
 
つまり、皮膚であれば障害を起こすような量の被曝を鼻腔にした人々は、 かなりの人数いた、と思われ、環境省や福島県の被曝による鼻血はありえない、 という主張には科学的根拠はないと結論できる。
 
★黒川眞一KEK名誉教授のコメント
 
放射性核種をあるBq数吸入したときには、吸入した空気中にこれから崩壊するその核種がどれだけあるかということを考える必要があります。核種がヨウ素132のときは半減期が2.3時間ですので、1 Bqを吸入するとそれといっしょに1.2 x 10^4 個のこれから崩壊するヨウ素132を吸入することになります。また、これらのこれから崩壊するヨウ素132が鼻の粘膜に付着したときは、そのほぼ全部が付着中に崩壊すると考えても良いと思います。
 
福島市を3月15日襲ったプルーム中のヨウ素131の濃度の時間積分は65700 Bq•h/m^3であり、ヨウ素132もほぼ同じぐらいだと思います。ヨウ素132の積分濃度を仮に50000 Bq•h/m^3とし、プルームは12時間続いておりますから、8 m^3 を吸入し、そのうちに50%が鼻の粘膜にとらえられるとすると、総計 50000 x 8 x 0.5 x 12000 = 2.4 x 10^9 個のヨウ素132が鼻の粘膜中で崩壊することになります。
 
このヨウ素132が崩壊してでてくるβ線の総エネルギーは、500 keV x 2.4 x 10^9 でありジュールに直すと、2 x 10^-4 J となります。鼻の粘膜の面積を4 平方cmとし、深さは2 mmまで到達するとすると、その体積は 0.8 cm^2で重さは0.8 g = 0.0008 kg となります。この重さで先ほどのJで表したエネルギーを割るとGyになり、0.25 Gy となります。鼻血は非常にでやすいので、このくらいの被曝では十分出ると考えます。
 
福島より原発に近いところはGy数はこの数倍以上はあると思いますから、鼻血がでても少しもおかしくありません。ヨウ素131も同じ程度の寄与ですので、鼻の粘膜の被曝量はこの2倍程度となります。
 
★Yahooニュース記事
 
1.北海道がんセンター名誉院長の西尾正道氏の見解
「…この鼻血については、通常は原子や分子は何らかの物質と電子対として結合し存在しています。セシウムやヨウ素も例外ではなく、呼吸で吸い込む場合は、塵などと付着して吸い込まれます。このような状態となれば放射化した微粒子のような状態となり、湿潤している粘膜に付着して放射線を出すことになります。そのため一瞬突き抜けるだけの外部被ばくとは異なり、準内部被ばく的な被ばくとなるのです。
 
微量な放射線量でも極限で考えると、原子 の周りの軌道電子を叩きだし電離を起こします。この範囲が広範であれば、より影響は強く出ます。被ばく線量もさることながら、被ばくした面積や体積がもろに人体影響に関与します。

事故後の状態では、放射性浮遊塵による急性影響が真っ先に出ます。放射性浮遊塵を呼吸で取り込み、鼻腔、咽頭、気管、そして口腔粘膜も含めて広範囲に被ばくすることになりますから、最も静脈が集まっている脆弱な鼻中隔の前下端部のキーゼルバッハという部位から、影響を受けやすい子どもが出血することがあっても不思議ではありません…」
 
2.東京工業大学の牧野淳一郎教授(計算科学・理論宇宙物理学)の見解
原発事故後の放射性ヨウ素放出による福島第一原発周辺の人々の鼻孔部の被曝線量を、以下のように試算、論評している。
・空間線量の最大値が少なくとも 200μSv/h であった飯舘村では東海村の 20-40倍程度として、鼻腔の被曝量は2-4Sv というとこになる。
・つまり、皮膚であれば障害を起こすような量の被曝を鼻腔にした人々は、 かなりの人数いた、と思われ、環境省や福島県の被曝による鼻血はありえない、 という主張には科学的根拠はないと結論できる。
 

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