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国連科学委員会の線量評価は正しいのか?

国連科学委員会の線量評価は正しいのか?国連科学委員会(UNSCEAR)の線量評価(大気拡散タスクグループ)に携わった方(M氏)に以下のメールを出した。

日頃のご尽力に感謝申し上げます。

お忙しいとは存じますが、以下の2つの論考に関し、ご意見賜れば幸甚です。以下の2つに対し、UNSCEARはどのように判断しているのでしょうか?

1.5月24日に黒川さんの『学習する会』で報告する案内文。詳細は5月24日に黒川さんから解説予定

『「検討委員会」やUNSCEAR(国連科学委員会)2020年/ 2021年報告(UNSCEAR2020/21報告)は福島の甲状腺線量が低いという推定のもとに多発を否定し「過剰診断」論(「がんもどき」)を唱えていますが、何のエビデンスもなく、甲状腺がんの実態に反しています。
それどころか、「福島の甲状腺線量は低いという推定」そのものを否定するエビデンスが明らかになりました。

平山英夫氏ら(高エネルギー加速器研究機構名誉教授)のグループは2015年に原子力学会和文論文誌上で発表した「福島県モニタリングポストのNaI(Tl)検出器波高データを用いた空気中I-131 放射能濃度時間変化の推定」という論文(「平山論文」)で、福島市のモニタリングポストに記録されていた精密な測定結果から、2011年3月15日から16日にかけて福島市を通過したプルームに含まれていたヨウ素131の大気中の濃度(Bq/m3)を明らかにしています。

高エネルギー加速器研究機構名誉教授の黒川眞一さんは最近、「平山論文」をもとに、福島市の1歳児の呼吸による甲状腺等価線量を60または26ミリシーベルトと推定しています。
UNSCEAR2020/21報告が推定している6.1ミリシーベルトとは大違いです。

さらに、「平山論文」の方法を用いることで、黒川さんは、福島を襲ったプルーム中のヨウ素131の沈着速度を求めました。結果は、湿性沈着では~10 mm/sec 程度であり、乾性沈着では 1~2 mm/sec程度です。
UNSCEAR2020/21報告では、沈着速度を2倍から数十倍に過大評価しています。
大気中のヨウ素131の濃度は、土壌へのヨウ素131の沈着量(Bq/m2)を沈着速度で割ることにより求められます。つまり、UNSCEARは、大気中のヨウ素131の濃度を1/2から数十分の1に過小評価しているということです。』

2.ヨウ素の放出量がチェルノブイリの1.5倍になる可能性を指摘している以下の論考(山田氏、渡辺氏)
尚、UNSCERAからは小生の質問には未だに答えてきていません。4月23日のUNSCEARからの回答は以下ご覧ください。
鈴木元氏と放医研からの回答は以下をご覧ください。
この2つの回答からも、UNSCEAR2020レポートが如何に非科学的である事かを、再確認した次第です。

【鈴木元氏からの回答】
【放医研からの回答】
お忙しいところ申し訳ございません。よろしくお願いいたします。

6月~7月実施予定のアウトリーチは具体的に日程、場所、形式等は決定したのでしょうか?

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放医研からの回答(2)

放医研に対し、UNSCEAR2020レポートの内部被ばくの矮小化の一例である、日本人の甲状腺への取り込み率を西洋人の1/2にしている理由を尋ねた。その結果は、UNCEARが参考とししている論文はサンプル数が少なすぎる事を認めた。
回答は4月12日に入手していて、すでにブログにアップしているものと思ってしたが、アップされていない為に記憶と記録の為に以下アップする。
放医研に対する質問は以下ご覧ください。
 
×××様
 
この度はお問い合わせへのお返事に時間がかかりまして申し訳ありません。
まずお断りしておきますが、お問い合わせ先となっております「UNSCEAR レポート日本作業グループ事務局」に相当する者は QST 内を含め、国内にはおりません。そこで、この度のご質問には放射線影響に関する専門機関の一つである QST としてご回答させていただくことといたしました。
 
ただ私どもは、日本の文献を英語に訳して UNSCEAR の専門家グループに提供するなどの支援は行いましたが、UNSCEAR 内でのデータの解析やその評価には参加しておりません。そこで、本回答も UNSCEAR 内での議論とは全く関係のない回答となりますことをご承知おきください。
 
ご質問①:
最近の研究(2015年学術誌論文:K5)によると「特に若い人に食事パターンの変化に伴い、ヨウ素不足が徐々に増加しうる」ことについて
 
ご紹介くださった論文では、日本人の食事パターンと年代とヨウ素摂取量の関係については調べられているものの、欧米人のヨウ素摂取量との比較ではありません。つきましては、この論文は、××様(小生)が懸念されている、日本人と欧米人の「ヨウ素の取り込み率」が有意にちがうかどうかについて、直接的な知見をもたらすものではないと思います。
 
ご質問②:
「日本人が放射性ヨウ素を摂取した場合に甲状腺への取り込みは、16.1±5.4%や、12.8±5.7%とした。 この時の被験者は15人及び6人のみで、日本人全体の平均とは言えない」ことについて
 
おっしゃる通り、日本の代表値とするには被験者数は少ないと思いますが、UNSCEAR が報告書を取りまとめた時点で、2011 年の日本人の甲状腺への取り組み率を推定するにあたり、利用可能な情報は限られていたかと思います。
今後、新たな知見が得られましたら、取り込み率の見直しを行うこともあるかもしれませんが、今のところ、この値を修正する根拠となる論文は存じておりません。
 
なお、UNSCEAR 報告書において使用された ICRP モデルでは、ヨウ素の甲状腺への移行率が 30%の場合、一日のヨウ素摂取量が 190μg もしくは 130μg と仮定しています。これに比べて、厚労省が発表している日本人の 1 日のヨウ素平均摂取量や質問 1 において引用されている Katagiri らの論文で得られているヨウ素摂取量の中央値ははるかに大きく、こうした事実と日本人の甲状腺への取り組み率が 16.1±5.4%や 12.8±5.7%であることには矛盾がない、と考えております。
 
ご質問③
福島県によるとがん患者の尿中の安定ヨウ素は1Lあたり「100μg」台と少なかった。
(日本人は300μgと言われてきた。)ことについて
本行阪大名誉教授の資料にもあります通り、尿中ヨウ素濃度はばらつきが大きいので、福島県民健康調査で得られている約 200μg/day(中央値)という値と、××様が引用されている 300(単位不明)(注)という値との違いが有意かどうかは判断できません。
 
     令和 4 年 4 月 12 日
    量子科学技術研究開発機構
      放射線医学研究
 
注:単位不明としていあるが、単位はしっかり記載されている。

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